最後は 人間の手で彫ることによって石に命を吹き込むんです。
葉や花びらの滑らかな表面が 彫刻を
本物らしく感じさせます。
より深く 強く ノミを打ちつけることで
奥行きや立体感が増します。
まるで 魔法のようだと思いませんか?
ロボットと人間の共同作業によって複雑な石のレリーフが→
完成に近づいていきます。

一方 技術者たちは 塔の設計で他にも 大きな問題を抱えていました。
塔の耐震性です。
ヨーロッパには 1,100の断層線が確認されており→
多い時は 年に
300もの地震を引き起こしています。
塔が高くなればなるほど
地震の揺れに弱くなります。
地震の横揺れは パネルの崩壊を招く
危険性があります。
地震の揺れや風など 横から力がかかると
パネルは崩壊します。
この問題を解決するために パネルの


石材を押さえつける必要があります。
このように石材を押さえつけることで
強風や地震による崩壊を→
免れることができます。
安定しています。 これなら大丈夫です。
石材を押さえつける 最も簡単な方法は
鋼鉄のケーブルで縛る方法です。
しかし これでは
塔の見た目が台なしです。
塔の内側に 鋼鉄のフレームを組みこんで
補強する方法もあります。
しかし この方法では らせん階段をつくる
空間がなくなってしまいます。
イギリスの技術者のアドバイスも受けて
チームは 問題解決のための→
独創的な方法に たどり着きました。
「万が一 地震が起これば 鋼鉄の骨組みの一部が曲がり エネルギーを吸収します」。
塔の石材の内部に 鋼鉄の骨組みを
仕込むという方法です。
この骨組みを引き締めることで
石材同士が しっかりと固定されます。
外から見れば 石だけで
できているように見えます。
こうすれば 地震や強風など
横からの力にも耐えられます。
あとは この理論を
実践に移さなくてはなりません。
実際の建設に取りかかります。
この理論が試される時です。
バルセロナ郊外の組み立て現場で

パネルに ステンレスの骨組みを→
差し込む作業が行われました。
更に 油圧ジャッキを使って石材を圧迫し 1つの塊に仕上げます。
圧迫すると 16の石材が
1つの塊になります。
ジャッキで パネルをきつく締めながら
石材に通された→
棒の先にあるナットを締め
固定していきます。
バルセロナの建築現場に 耐震加工を
施したパネル一式が到着しました。
まずは 教会の裏手に位置する
大きな塔の建設に取りかかります。
パネル1枚で 10トンの重さがあります。
扱いには 細心の注意が必要です。
今日の最大の敵は 風です。
強風で クレーンが倒されかねません。
この日 街には 強い風が吹いていました。
上に行けば 地上よりも 更に激しい風にさらされます。
今のところ 大丈夫です。 作業を始めます。
クレーンの運転士は 高さ140メートルの地点まで上っていきます。
高い所が苦手な人には
務まりそうにない仕事です。
10トンのパネルが風にあおられれば
船の帆のように激しく揺れて→
建物に激突しかねません。
あの高さから パネルが落ちてきたらどうなるか 想像してみて下さい。
悪夢ですよ。
♪♪~
風が強まる中 最初の2枚のパネルを

作業員が所定の位置に導きます。
風速が 16メートルを超えました。
(無線)「危険な状態だ」。
パネルを設置するには 風が強すぎます。
この状況では無理です。
とても つり上げ作業はできません。
1分ごとに風が強くなっているような状況です。
今は 待つしかありません。
翌日 風が やみました。
よし 始めよう。
これで 作業が再開できます。
最高の天候に恵まれないと。
♪♪~
ピッタリはまりました。
しっかりと固定されたパネルは地震や強風に耐え→
今後 何世紀にもわたって
バルセロナの空に→
そびえ続けることでしょう。
6つの塔の建築が進む中 別のチームが豪華なステンドグラスの制作を→
進めていました。