2019/02/25(月) 00:00〜00:45 地球ドラマチック「古代エジプト 王女の墓の謎」[二][字][再]


神官の娘であったネヘメスバステトは→
支配階級の一員として
王家の谷に埋葬されたのでしょう。
♪♪~
つまり 王家の谷は支配者が変わっても特別な場所であり続けたということです。
歴代のファラオが眠っているという記憶は
人々に畏敬の念を抱かせます。
神官たちは 王家の谷にある墓を
再利用しようと考えました。
2011年に見つかったKV64は→
再利用の跡がはっきりと確認された墓です。
しかし ネヘメスバステトが埋葬される際

ある問題が生じました。
500年前の王女の亡骸が
バラバラの状態で置かれていたのです。
最終的には
王女の亡骸は そのまま残されました。
なぜ 新たな支配者たちは→
亡骸を片づけてから墓を再利用しなかったのでしょうか?
(エイダン・ドドソン)王女の亡骸を
片づけなかったのは→
ほかに どうする方法もなかったからだと
思います。
というのも そこは もともと
王女の墓ですから→
亡骸を どこか よそへ
持っていくわけにはいきません。→
そこで 新しい砂を上からかぶせて 墓を
浄化したということにしたんでしょう。
こうして ネヘメスバステトが埋葬され


墓の入り口は閉じられました。
再び墓が開かれたのは
3,000年後の2011年。
発掘以来 2人の女性の秘密が
少しずつ解き明かされてきました。
中でも衝撃的な事実は
KV64の墓荒らしが集団犯罪であり→
それを組織したのは
国家そのものだったということです。
2018年1月。
KV64が発見されて7年後。
ルクソール博物館に
新たな展示物が登場しました。
♪♪~
墓から見つかった数々の遺物は展示室の中心に置かれています。
王家の谷の歴史が見渡せる
すばらしい展示です。
一つ一つに強烈な力があります。
1つの墓に2つのミイラ…。
古代エジプトの姿を伝える
タイムカプセルです。
小さなガラスの容器は紀元前1400年ごろに
埋葬された 王女の副葬品。
ひときわ目を引くのは
王女の およそ500年後に亡くなった→
ネヘメスバステトのミイラと ひつぎです。
興味深い事実が科学的に裏付けられました。
それは 王家の谷の ある時代
500年にわたる歴史です。
数々の証拠は 500年間に起きた出来事が

密接に関連していることを示しています。
秘密を解く最後の鍵は
KV64が荒らされた時期→
つまり 新王国時代が終わり 国の権力が
2つに分裂した混乱期にあります。
新王国時代の終わり頃
エジプトは政治だけでなく→
経済的にも困難な状況にありました。
ルクソールにできた新しい国家は明らかに 経済的に苦しかったんです。
経済を立て直すために新しい支配者たちが
編み出したのは奇抜な策でした。
神官たちは
王家の谷を利用しようと決めました。
そこに 黄金や貴重な資材が たくさん
埋まっていると知っていたからです。
現代の私たちは
それを「墓荒らし」と呼びますが→
当時の支配者にとっては 今で言う
「リサイクル」だったのかもしれません。
つまり
KV64に葬られた王女の墓荒らしは→
国家に認められた行為だったと
考えられます。
神官たちは
かつて 王家の墓を守る責任者でした。
しかし時を経て 国の支配者として
墓荒らしを公認する側に回ったのです。
もし 国家が 本気で墓の略奪を
止めようとしたら 止められたはずです。
KV64の隣にある KV40の墓。

2つの墓からは同じ遺物の かけらが 見つかっています。
つまり 両方の墓は 同時期に墓荒らしに
遭った可能性が高いといえます。
墓荒らしは 日中に行われました。
恐らく時間をかけて大事な物と そうでない物が→
より分けられたんでしょう。
がれきの中には多くの遺物が混ざっていました。
ネヘメスバステトの ひつぎを置く前
地面に ばらまかれていた物です。
略奪は 王家の谷の ほとんどの墓で→