2019/02/25(月) 22:25〜23:10 プロフェッショナル 仕事の流儀▽医療事故をなくせ、信念の歩み〜医師・長尾能雅[解][字]

本当の意味で沖縄に寄り添う、
それはどういうことなのか、今、
問われていると感じます。
深くおわびを申し上げる
次第でございます。
大変に申し訳ございませんでした。
申し訳ございませんでした。
今なお絶えない 医療事故。
医療行為が原因で亡くなる患者は推計 年間数万人とも言われる。
そんな中。
医療事故を未然に防ぎ→
「『安全な医療』を実現したい」と
格闘を続ける医師がいる。
日本の「医療安全」という分野を
切り開いてきた医師…
医療事故の原因を解明し
再発防止策を講じる 長尾の改革。
反発する医師もいた。
手術の器具を取り出し忘れる医療ミスが頻発。
マニュアルに弱点はないか。
医師と看護師の連携は十分か。
全ては患者のために。
道なき道を切り開く 長尾の日々に密着。
名古屋市内にある
名古屋大学医学部附属病院。
通称 名大病院。
朝8時半。医師 長尾能雅が出勤してきた。
おはようございます。
まず チェックするのはその日の外来患者の予約数だ。
(長尾)そうですね。


この人数によって 病院で働く人たちの忙しさが どのくらいかを推測する。
長尾がリーダーを務める…
全国に先駆け他の業務と掛け持ちでなく→
専従の医師や看護師 薬剤師
弁護士などがそろう体制をつくった。
長尾は もともと呼吸器内科医。
今は患者を診察することはないがそれでも毎朝 白衣に着替える。
この日 長尾が病院長をはじめ
幹部を招集した。
前の週に亡くなった患者の死が
医療事故か検討するためだ。
過去に使ったことのある薬にもかかわらず
患者に投与した直後→
急激なアレルギー反応 いわゆる
「アナフィラキシーショック」が起き→
亡くなったという。
長尾が主治医に治療の経緯について説明を求めた。
治療は 標準的な方針にのっとっていたか
医師の判断は適切だったか確認していく。
長尾は 死に至る過程で 患者に
何が起きていたかを 徹底的に追求した。
患者の不可解な死亡事案を議論する
こうした会議を公開する病院は少ない。
事故に該当するかどうか…。
しかし長尾たちには培ってきた一つの信念がある。
人間はミスをする。
だからこそ「逃げない 隠さない ごまかさない」。
そのために長尾たちが開発した
システムがある。
医師や看護師が 現場で起こったミスや


トラブルを報告するシステム。
患者誤認や薬の誤注入から→
予期できない死亡まで。
患者にとって好ましくないことは全て
「インシデント」と呼ばれ 報告される。
その数は 年間1万件に及ぶ。
事故には至らないヒヤリ・ハットの事例も上がってくるため→
他の病院よりも圧倒的に多い。
だが システムがあっても→
こうしたネガティブな報告を上げることは
敬遠されがちだ。
長尾は 早期の報告により
患者を救えた成功例を積極的に周知した。
更に 報告を上げても それによって
評価が下がることはないようにした。
この日も ある医師からの報告を受け→
医療安全管理部のメンバーが集中治療室に急行していた。
呼吸器治療で使用する器具について
注意喚起するためだ。
この器具が最近 モデルチェンジ。
患者の喉に食い込むインシデントが起きていた。
報告を上げたのは 脳神経内科の医師。
器具の先端が 気管の壁にぶつかり呼吸不全を起こしてしまったという。
その夜 早速 長尾は
メーカーの担当者を呼んだ。
病院の一人一人がトラブルに素早く対応し
被害の拡大を防ぐ。
そうした医療安全の活動は→
人の体に備わる ある機能に似ていると長尾は言う。
♪♪~

去年11月。 ある患者が 自分が受けた治療について疑問を抱き 相談に訪れた。
大屋さんは 17年前 脳腫瘍が見つかり
名大病院で放射線治療を受けた。
その後も治療を続けたが
4年前 A病院に転院。
去年再発し 再び放射線治療を受けたが→
この転院時の引き継ぎに問題があったという。
問題は 大屋さんが受けた
放射線の照射量だ。
まず 名大病院で脳腫瘍を取り除く