2019/03/05(火) 16:47〜17:53 ten.【ゲキ追X…避難指示「解除」で揺れる原発の町 震災から8年】[字]


る場所なんだけども、なんとなく、
こうね、
改めてこう来てみると、
本当にむなしさっていうか、それ
だけだね、残るのは。
第1回目の一時帰宅のときにも、
泥棒に家の中むちゃくちゃにされた。
1回や2回ではないっていうこと
だね。
>>あまりにも長すぎた8年とい


う時間。
>>同じ町民でも、
やっぱしわれわれみてぇに中間貯蔵施設の地になったとこと、
ならない地では、俺らは財産なく
なって、
お金はもらったかもしんないけど、
だからそういうあつれきもあんの
よ、お前らはいいべって。
自分の生まれたふるさとをね、
てんびんにかけるっつったら、
俺は銭金でねえと思う。
>>ふるさとを国に譲ったことは

正しかったのか。
今も自問自答を繰り返している。
>>ただ、
今回の事故っていうのは、
本当に人間が住めない状態でしょ。
それを考えたら、
誰が引き受けるのって。
この人たちはもうここには二度と
帰ってこれないんですよ。
なんぼ騒いだって。
ふるさとから追い出されたわけだから、強制的に。
>>住民の多くが大熊町を離れる
一方で、
この8年間、
国の用地交渉には応じず、
ふるさとに通い続ける男性がいる。
木村紀夫さん。
>>また来たというあいさつのつ

もりで、
いつも手を合わせてますけど。
とにかく本当に誰もいない所なんでね。
>>家族6人、
にぎやかで笑いが絶えない日々が、
ここにはあった。
太平洋を一望できた自宅。
しかし、
8年前のあの日、
津波が幸せだった生活を飲み込ん
だ。
父、
王太朗さん、妻、
深雪さん、次女、汐凪ちゃんの3
人が行方不明に。
さらに翌日には原発事故が発生。
家族の捜索は打ち切られ、木村さんも町を離れることを余儀なくさ
れた。
その後、
父と妻は遺体で発見されたが、
娘が見つからない。
当時7歳だった汐凪ちゃん。
静かな夏の海のように、
穏やかで優しい女性になってほし
いと、その名を付けた。
>>優しい感じの女性が俺の好み
なもんで、
そういう名前にしたんだけど、本
人は全然違った。
活発で。

>>木村さんが自宅周辺の捜索に入ることを許されたのは、
震災から半年がたってからのこと。
一時立ち入りの許可が得られるたびに、娘を捜し続けてきた。
次々に見つかる汐凪ちゃんの遺品
が、木村さんを励ます。
>>小学校の入学式のときに着て
たブレザーがね、出てきて。
>>時間の経過とともに薄れてい
く記憶。
身につけていたものを頼りに、
思い浮かべるのは娘の笑顔。
木村さんは一時立ち入りの際、必
ず訪れる場所がある。
>>ここは?
>>ここは熊町小学校の1年2組の教室なんですけど、
汐凪がね、
ここで1年勉強した教室です。
8年前の3月11日のまま、
今もそのまま、
8年たっても。
>>この教室を見ると、
やはり当時、
元気だった汐凪ちゃんのことっていうのは思い出されますか?
>>そうですね。やっぱり考えち
ゃうしね、
その当時のことをね。
ただなかなかこう、
思い出せることも少なくなってき
ちゃってて、
本当に断片的にしか思い出せない