2019/03/06(水) 01:46〜02:36 NHKスペシャル 東京リボーン 第2集「巨大地下迷宮」[字][再]
壁をぶち抜いて→
既存の線路の途中に新駅を作るという→
前代未聞の工事だ。
新駅の工事が始まって2年。
100人を超える地下工事のスペシャリストたちが集結をしている。
はい おはようございます。
(一同)おはようございます。
男たちを待ち受けているのは→
100年前の地下開発の黎明期に戻ったかのような 壮絶な現場だった。
去年8月。 新駅建設工事は→
地下1.5メートルの地点にさしかかっていた。
この付近から 既に埋められている
インフラ設備が現れてくる。
そこについた土を
取り除かなければならない。
覚悟していた以上の過密ぶりだった。
至る所に ガスや電気 水道管が張り巡らされていた。
頼りとなるのは 人の手である。
搬送は バケツリレー。
設計図にはない 思わぬ場所に
インフラ管が現れることもある。
数十年前からの野放図な開発のツケが
作業員を苦しめる。
大ベテランの敦沢 満さん。
35年間にわたり 東京の地下工事を専門にしてきた職人である。
一日 8時間の作業。
地下にいる間ずっと腰をかがめたままである。
すぐそばには 下水管も通っている。
長い間に管の接続部などから下水が染み出し→
悪臭が あふれていた。
朝5時。精も根も尽き果て ようやく地上に出た。
お体 休めて下さい。
この虎ノ門ヒルズ新駅。
実は 新駅建設のプランを打ち出したのは
東京メトロではない。
虎ノ門ヒルズを所有する
森ビルを中心とした→
不動産開発企業である。
東京都も そのプランに賛成した。費用のほとんどを企業が出す。
地下鉄新駅を起爆剤に 人の流れを作り→
この場所に 丸の内のような→
巨大オフィス街を築くことが
ねらいである。
その効果は 早くも現れている。
外資系企業を中心に虎ノ門は 投資先として→
大きな注目を
集め始めている。
地上で打ち上げられる華やかな計画を
文字どおり 地下の男たちが支えている。
手作業で掘り進めること 1年。
ようやく 地下鉄トンネルの周りの土を取り除き→
工事は ホーム空間の建設段階に入った。
しかし 土の中からまたしても 障害物が現れた。
巨大なコンクリートの塊だった。
当初から ここにコンクリートの塊があることは分かっていた。
しかし 想像以上の存在感だった。
高さ3.5メートル。
横幅4メートル。
1964年の日比谷線開業当時に作られた換気施設の跡だった。
作った当時は まさか
ここが掘り返されるとは夢にも思わず→
土の中に置いたままにされていた。
悪いことに換気施設とトンネルの壁の接続部は→
強固に固定されていた。
壁の裏側は 地下鉄の線路である。
強引に壊すと 裏側の壁まで崩れ
地下鉄の運行を止める危険があった。
撤去にあたり
ダイヤモンドコア工法と呼ばれる→
特殊な工法が採用された。
どんな物質よりも堅いダイヤモンド製の刃先を持つドリルで→
穴を開け 周囲への振動を
最小限に抑えようというのだ。
工事は 万が一に備え→
電車が止まっている深夜の3時間に限られていた。
地下鉄の壁への影響はないか
担当者が線路に入り 確認をする。
きれいさっぱり
巨大なコンクリートの塊がなくなった。
これで工事は
次の段階に進むことができる。
東京は
世界で一番清潔だといわれているらしい。
しかし 見たくないものを
地下に押しつけているだけじゃないのか。
お前ら 東京のきれいな街を歩く時
思い出すがいい。
その足元にいる
汗と泥にまみれた あの男たちのことを。
しかし そもそも
開発って 何のためにやるんだ。
成長? 効率性?
それだけでいいのか?
低成長 人口減の時代を迎える東京は 今→
新たなリボーンの方向性が求められている。
巨大災害への備えである。
皇居の大きさと同じ日本最大の地下迷宮 東京駅周辺。
この地下迷宮が
あの日を境に見直されている。
怖い! キャ~!