2019/03/09(土) 19:00〜19:45 地球ドラマチック「モナリザ 微笑が秘めた真実」[二][字]


16世紀には使われなかった→
化学物質も含まれていました。
下塗りの成分を詳しく調べました。
その結果 硫酸バリウムという物質が
含まれていることが分かったんです。
これによって 絵が描かれた時期と場所を
特定できます。
なぜなら硫酸バリウムでできた鉱石の粉を

下塗りの原料に混ぜることが→
ある時期に ある場所で
はやったからです。
時期は 1620年から80年
場所は フランスです。
それは科学的な事実ですね。
つまり絵の年代が 科学的に証明された。はい。
この絵は 17世紀に フランスで作られた
複製画であることが分かりました。
もちろん探しているのは複製画ではなく→
ダ・ヴィンチ自身が描いた最初の「モナリザ」です。
ラファエロが模写し 伝記作家の


ヴァザーリが感嘆した リザの肖像画。
一体 どこにあるのでしょうか?
最初の「モナリザ」は 実はルーヴルの「モナリザ」の中に潜んでいる。
そう考える1人の科学者が パリにいます。
絵画分析の分野で 世界屈指の専門家である パスカル・コットです。
よろしくお願いします。
どうぞ。
コットは 独学で物理学を修め→
絵画の秘密を解き明かす新たな技術を開発してきました。
これまでに ルーベンスやレンブラント
ピカソなど→
数々の名画を斬新な方法で
分析しています。
ダ・ヴィンチの作品「白貂を抱く貴婦人」を
解析したところ→
絵の下に別の構図を発見し→
美術史に衝撃をもたらす出来事となりました。
「モナリザ」の分析を始めたのは 2004年
ルーヴル美術館の依頼です。
当初の目的は 時間の経過によって
劣化する前の→
「モナリザ」本来の色を
突き止めることでした。
しかし コットが開発した技術は→
絵の奥に秘められた さまざまな真実を浮き彫りにしてきました。
10年を超える分析の成果が明かされます。
絵の具の層を一層ずつ剥ぐように全て分析します。→
それによって制作の過程を
再現できるんです。
最新の技術を使って?

もちろん そうです。
コットの開発した
マルチスペクトルカメラです。
まるで ダ・ヴィンチが 現代に
よみがえったかのような→
革新的な発明です。
まず 絵に光を当てマルチスペクトルカメラ特有の→
13種類のフィルターを通して
反射する光を撮影します。
それぞれのフィルターが
異なる波長の光を通し→
見えない部分まで
映し出すことができます。
撮影された画像を
一つずつ分析することで→
1枚の絵に隠された秘密を
一層ずつ明らかにしていくのです。
最初の発見は
絵の奥深くに埋もれていました。
もう一つ 別の頭が見つかりました。
大きな頭が。
一回り大きな頭の影があるでしょう?
それから鼻も もう一つ。
重なっていますね。
ああ すごい。
頭が もっと大きかったのか。
手も もっと大きかったんです。
赤い線が もともと描かれていた部分です。
現在の「モナリザ」よりも大きな構図の絵が下描きの段階で描かれていました。
しかし コットが発見した事実は

これだけに とどまりません。
では他の層を見てみましょう。
こちらです。
これは… 何ですか?
ヘアピンです。
このような。
ヘアピン?そうです。
つまり あなたのカメラで 今までは
見えなかったものが現れたんですね。
ヘアピンの絵が。
ええ よく見て下さい。 これです。ああ!
分かるでしょう?
ええ 確かに ヘアピンの絵だ。
更に 頭の周りをよく見ると
ヘアピンが 12本描かれています。
ただし ヘアピンが描かれた位置は→
下描きの大きな頭の輪郭には沿っていません。
つまり ヘアピンと頭は
別々の構図で描かれたということです。
ダ・ヴィンチの用いた技法の跡も