戦うべき相手を学ばせるのも大事な訓練。
ジリが連れてこられたのは
オオカミに襲われた家畜のそば。
そして 辺りに残る
オオカミの匂いを嗅がせます。
匂いを頼りに オオカミの後を追うジリ。
こうした経験を積むことで オオカミが自分の敵であることを学んでいくんです。
やがて
牧羊犬としてデビューを果たしたジリ。
群れを導くため 歩みの遅いものをせかし
群れから離れるものは連れ戻します。
難所の川でも
落ち着いて群れを導くことができたジリ。
すっかり一人前の牧羊犬です!
こうして牧畜を通して イヌは 人になくてはならない存在になったんです。
ちょっと待った!
なんですか ヒゲじい?
いや これって
絆が深くなったというより→
単に人が イヌを
利用しているだけなんじゃないですか?
いえいえ ジリのようなイヌにとって
人のために働くことは「喜び」なんです。
えっ? あ そうなの?
はい。 イヌの祖先であるオオカミは群れで暮らします。
狩りなどの際
仲間と一緒に働くことで→
達成感 つまり 喜びを感じていると
考えられているんです。
ほうほう ほうほう。
幼いころから人に育てられたジリにとって→
人が いわば群れの仲間。
ジリは 人と一緒に働くことで喜びを感じているというわけです。
まるで家族みたいですなあ。
ヒゲじい そのとおり。
そうそう ちょっとこちらを
見てください。はい。
2015年 有名な科学誌に
ある研究結果が発表されました。
それは「イヌは人に対して
特別な絆を結ぶ能力がある」というもの。
特別な絆?
はい。 例えば 人間のお母さんと赤ちゃんが見つめ合うと→
それぞれの体内で
「オキシトシン」という物質が分泌されます。
これは 相手を
いとおしく思い→
絆を深めるホルモン。
へえ~。
実は 人とイヌが見つめ合っても
これと全く同じことが起こることが→
わかったんです。
えっ! 同じことが!?
はい。 この事実を発見したのは
なんと日本人! その研究者によると…。
イヌの祖先であるオオカミや
人に近いチンパンジーも→
私たちとの間に
こうした絆は結べません。
多くの動物にとって
目を合わせることは敵対行動。
見つめ合うこと自体 しないんです。
そうなんだ。
イヌだけが唯一 人と見つめ合うことで
互いに信頼関係を結べるんです。
とっても うれしそうでしょ。
ハハッ 確かに。 本当の家族ですなあ。
だから 大変な仕事も
頑張れるんでしょうねえ。
オンリー「ワン」な絆を持ったイヌは
人間にとって→
ナンバー「ワン」の相棒ですな。
う~ん 「ワン」ダフル! なんてね。
第2章は 人を超える能力で
さまざまなミッションに挑む→
プロフェッショナルなイヌたち。
驚異の嗅覚で野生動物の命も守ります!
♪♪~
とある街の駅に電車が到着しました。
一番に飛び乗ったのは イヌ!?
こちらでも。
子ども料金で
イヌも電車に乗れる この国は…→
ドイツ! 世界一 ワンちゃんが
暮らしやすい国だと言われています。
リードなしでのお散歩は当たり前。
カフェやレストランも出入り自由。
飼い主と一緒に
会社に出勤だって できちゃいます。
職場にワンちゃんがいるって
どんな気分なんでしょう?
ここドイツには
ワンちゃんが自由に暮らすため→
飼い主への厳しいルールがあるんですよ。
それは 犬税。
1匹飼うのに 年に 日本円で
およそ1万5,000円を支払います。
2匹目からは金額がアップ。
無責任な飼い主の増加を防ぐ効果もあるんだとか。
その収益はワンちゃんのために使います。