2019/07/16(火) 00:20〜01:10 プロフェッショナル 仕事の流儀▽腰痛治療いまだ進化せり腰痛専門医・西良浩一[解][字][再]
躊躇せず 飛び込む。
西良さんは 生まれも育ちも
四国香川の高松市。
医師に憧れたのは 小6の時に読んだ
この漫画がきっかけだった。
18歳の時 徳島大学医学部に入学した。
高校時代から体操に打ち込んでいた西良さんは→
スポーツ医学をやろうと
整形外科を選んだ。
大学院を修了した 31歳の時
教授から一つの研究課題が与えられた。
スポーツなどで
子どもの腰の骨の一部が折れ→
腰椎がずれる…
この症状が どのように起こるのか→
アメリカで取り組んできてほしい
というものだった。
ここで西良さんは 驚くべき成果を上げる。
それまでの常識では腰椎と腰椎がずれる時→
間にある椎間板が変形してずれると
考えられていた。
ところが実際には→
腰椎との接触面にある「成長軟骨」でずれることが明らかになった。
医学の教科書を書き換える 発見となった。
西良さんは 帰国後も研究にのめり込んだ。
39歳の時には 「腰椎分離症」という症状の
早期診断法を確立。
これも海外の医学雑誌で発表され
世界的に認められた。
次は
臨床の現場でも新たなことをしようと→
そのころ広まり始めた
内視鏡手術にチャレンジ。
着実に力をつけ
手術の腕でも評判を集めるようになった。
ところが。
その病院で初めて任された手術の時のことだった。
丁寧に手術した西良さんは
渾身の出来と満足した。
ところが
5時間の その手術が終わった時→
看護師長は
医療事故を疑うかのように詰め寄った。
実は その病院の出沢 明さんは
手術を ごく小さな傷で行い→
極めて短時間で終わらせる 名医だった。
「いつの間にか自分は歩みを緩めていたのではないか」。
46歳からの再出発。
出沢さんの手術に助手としてつかせてもらい 目を凝らし学んだ。
それから 無我夢中で4年を過ごし
徳島に戻った。
今も
診察に手術 学会など忙しく飛び回る。
家族と過ごすひとときが
僅かな くつろぎの時間だ。
こんな時でも→
西良さんはなんと新たな手術法の論文を書く。
この日 西良は
手術前の検討会に臨んでいた。
この会議を西良は英語で
行うことにしている。
若い医師たちにも
海外の知見を貪欲に吸収し→
国際的に活躍してほしいと
考えているからだ。
この日の検討会の中で
西良が特に気にかけている患者がいた。
83歳の男性。
腰の骨が神経を圧迫する重度の脊柱管狭さく症を患っていた。
高齢で不整脈もあるため
全身麻酔は危険。
局所麻酔で慎重に行う方針が決まった。
患者の宮井 亨さん。
6年ほど前から症状が出始め
今は歩くのもつらい。
宮井さんは
50年以上 歯科医として働いてきた。
2年前に
町の人々に惜しまれつつ 引退した。
(取材者)気力まで?
受付や助手として支えてくれた妻 朱実さんと→
これからの人生を楽しもうとした
やさきのことだった。
一緒にね。
西良は 翌日に迫った宮井さんの手術の準備をしていた。
患部は 5番目の腰椎の その下。
この骨が増殖しカギのように突き出てしまい→
神経を圧迫していた。
両足に痛みがあるが 今回はまず 右足に影響を与えている部分の手術を行う。
5番目の腰椎の下は 他の腰椎に比べ
内視鏡を入れる隙間が圧倒的に狭い。
だが 西良は研究を進め
この2年で9件 手術を成功させた。
西良は 宮井さんの様子を確認に向かった。
すると。
(宮井)西良先生 どうも。
右だったんですよ。
以前とは違い
左の方の親指の力が落ちている。
このまま放っておけば