2019/09/10(火) 22:30〜23:20 プロフェッショナル 仕事の流儀「医療器具開発者・西村幸」[解][字]

内視鏡治療に革命をもたらした器具がある。
この極小ハサミが特に力を発揮するのは
大腸がんの治療。
業界屈指の医療器具開発者。
更なる高性能のハサミ作りに挑む。
そして7年前には 心筋梗塞にも襲われた。
薬は手放せない。
西村が住むこの町は
かつて 「東洋のスイス」とも言われ→
だが 心筋梗塞を患ったため
5年前に工場を売却。
現在は たった一人で
開発のみに専念している。
電流の熱で腫瘍を切り取る→
針状のものが主流だった。
ハサミをより小さくすることで→
今まで1つだけだった器具を→
西村が使う部品は 1mmにも満たない
極めて細かなものばかり。
また ガイドの付いた このニッパー。
ミスに動じないことが強みではない。
このスピード感と確かな技術力こそが
西村の強み。
ものづくりは 一般的に
開発の目標が定まると→
部品の発注 そして 試作 組み立てと
長期間を要する。
だが 西村は違う。
図面におこすことなく すぐに製作に入る。
それが 西村のものづくり。


(西村)あっ ご苦労さん どうも。
今後のものづくりは どうあるべきか。
この土地のものづくりの文化を医療器具の分野で復活させたい。
西村は 病院にいた。
今も 3か月に一度の検査が欠かせない。
西村の心臓は 半分が壊死し
機能していない状態だ。
そのことばかり考えている。
(西村)満足はしないし 妥協はしないし→
職人 西村 幸。
がんと共に 今を生きる。
(西村)なんつったら いいかなぁ。
(西村)なんつったら いいかなぁ…
やっぱりね あの…
半年後に入籍というスピード婚だった。
親戚の紹介で ある職人に出会う。
その仕事ぶりを見て 驚いた。
飯田さんは 道具がなければ自分で作り→
部品がなければそれもまた自分で作った。
飯田さんの口癖だった。
迷わず飯田さんに弟子入りした西村さん。
それから10年近くにわたって
職人としての姿勢をたたき込まれた。
そんなある日
西村さんは 体に異変を感じた。
がんが見つかった。
夫婦二人で絶望した。
更なる高性能なハサミの開発に
挑み続ける。
(西村)満足してないですよ。


まだまだ これからです。
極小ハサミを開発した スゴ腕職人
西村 幸。
これまでの形状とは全く異なる→
ワイヤー刃のハサミの開発。
ハサミ全体に分散し
切れが鈍ることがあった。
だが ワイヤー刃の場合
電流の熱が分散しないため→
切れ味が増すという。
この新型ハサミができれば→
大腸よりも更に壁が薄い十二指腸でも
安全な治療の可能性が広がる。
新型ハサミの試作が始まった。
ハァ…。
刃の代わりを果たす…
これをどう取り付けるか。
なければ 自分で作る。
コンマ数ミリの手作業。
(削る音)
どれが最も医師の求めにかなうかは実際に使ってもらわないと分からない。
(西村)はい おいで。 さあ おいで。
新型ハサミの切れ味は どうか。
1本ずつ 試していく。
更に 別の問題点が浮かび上がった。
切れ味については
ワイヤーを細くすれば解決する。
同時に西村のがんを発見してくれた
本間さん。
すると…。

(本間)いや~ でも良かったです ほんと。
「悩んでも 始まらない」。
課題克服の試作に挑む。
ワイヤーは 切れ味の向上のため
より細いものでいく。
これに 0.1mmのワイヤーを固定できれば
完成だ。
3週間後。
(電子音)
焦げた肉が隙間にたまる問題はどうか?