2019/12/07(土) 21:00〜21:55 NHKスペシャル シリーズ 体感 首都直下地震「終わりの見えない被災」[字]
命の危機が暮らしの危機になり
そして今度は
日本社会全体の危機へと
広がっていきます。
「すさまじい大暴落だ。東日本大震災のときの比じゃない。
このままいけば日本は滅びる」
≫政治や経済の中枢東京を襲う、首都直下地震。
国会や中央省庁など、首都機能が
長期にわたって麻痺すれば
日本全体が重大な危機に
直面します。
経済も深刻な影響を免れません。
1都3県の経済規模は180兆円。
大企業の本社機能が集中するため
国の経済の根幹が揺らぎかねません。
≫そして、専門家が
日本全体への影響が甚大になる
大きな要因と指摘するのが…。
1億トンと想定される震災がれき。
その量は、東日本大震災の
実に5倍です。
膨大な震災がれきは
東京の復興を阻むだけでなく
全国各地に負担を強いるのです。
井上≫お金の問題ということなんですけど
日本全体への影響。
首都直下地震から20年で、経済の損失が
731兆円という
試算もあるんですね。
とんでもない数字ですけども
国民1人あたりにしますと600万円の負担になります。
小野≫これ、首都圏以外の人も
みんな負担して
600万円?
井上≫そうなんですよ。
驚きますけども
この被災ツリー、まだありました。
こんな日本社会の
危機の一端を
浮かび上がらせました。
≫首都直下地震によって何が起きるのか。
第一線で活躍する
エコノミストたちに
分析を依頼しました。
エコノミストたちが懸念するのは
日本を見限る企業が相次ぎ
経済全体が
深刻な打撃を受けることです。
≫今回、エコノミスト23人に行ったアンケートです。
外資系企業が日本を離れると
予測した人は9割。
さらに、日本企業の製造拠点が
海外に移転すると予測した人は
8割に上りました。
≫被災ツリーをさかのぼると
企業の日本離れを加速させる
要因が見えてきました。
1つの中小企業の被害から始まる
被災の連鎖です。
東京都にある
およそ45万の企業。
その99%が中小企業です。
大田区にある従業員68人の会社。
電子機器などの
製造・開発を行っています。
≫取引先は
大手自動車メーカーや
重機メーカー
ロケット開発を行う大学など。
100以上の企業や研究機関に
製品を納めています。
この会社では、被災しても
事業を継続できるよう
備えてきました。
しかし取引先の被災による影響は
自分たちでは
防ぐことができません。
部品を仕入れている
取引先の中には
従業員数人の
小さな会社もあります。
たとえ1社でも供給が止まれば
サプライチェーン全体へ影響が及ぶ
おそれがあるといいます。
小芝≫1つでも会社が倒れると
どんどんドミノ倒しみたいに…。
森永≫北海道の地震のとき
実際に起こっていて
北海道で生産が止まったので
全国の生産が止まったんですね。
でもそれだけじゃなくて実はそれで
例えば輸出ができなくなると
何が起こるかというと
売り場を失うんです。
つまり、いったん売り場を失っちゃうと
生産が回復しても
また売れなくなっちゃう。
先ほどの土木学会の
731兆円かな
あれは、そういう効果までは