2019/12/07(土) 21:00〜21:55 NHKスペシャル シリーズ 体感 首都直下地震「終わりの見えない被災」[字]


テリー≫やっぱり脱出したいという方
多いじゃないですか。
脱出するっていったってそれこそ患者は
決まっているわけですから。
高速道路は使えない。
小野≫そして今でさえ

混んでいるのにこんな地震があったら
どんなことになるんだろうと
思っちゃうんですよね。
井上≫発災から1週間程度で
首都直下地震では国道など
一部の道路が
通行可能になるんですが
交通渋滞が起きます。
ツリーでもう1回、詳しく見ていきます。
まず、交通渋滞の理由は
こういったことが考えられます。
小野≫道路陥没。土砂崩れ。
そして車の殺到のところに物資輸送
ボランティア
域外避難とありますね。
井上≫物資輸送やボランティアは
被災地のために
入ろうとするんですが
それで結果的に車が増えてしまい渋滞につながる。
小野≫放置車両は?
井上≫これも避難しないといけなくて
車から逃げたり
あるいはなんらかの事情で
その場で亡くなってしまって


車がずっと道路を塞いでしまう。
テリー≫あとガソリンが切れる
可能性もありますね。
井上≫こういった複合的な要素が
交通渋滞に
つながっていくわけです。
その結果、VTRにも出てきた花梨ちゃんのように
転院が困難になったり
救助が遅れたり物資の輸送が困難になる。
あるいは入院ができていても
医薬品が届かないということも
起きるんですよ。
小野≫今、東京都内で入院している人で
どのくらいの人が
こういう危険に
さらされているんですか?
井上≫東京だけでいいますとおよそ10万人の方々が
入院しているんですね。
となると、そういった方々が
転院しようとしても
なかなかできない。
あと、透析患者の方々も
3万人いるとされていまして
この人たちも
病院に行こうとしても
道路が寸断されていたりして
行けなくなってしまう。
テリー≫薬も当然
なくなっちゃいますね。
小野≫こういう方たちが

出てくるだろうということは
被災ツリーのようなことをして
初めて見えてきたんですか?
室崎さん。
室崎≫やはり、こういう議論をしていくと
要するに何万人の人が負傷して
負傷も、家が壊れて負傷するだけじゃなくて
避難所に行って
体調を崩すこともあるので
下手すると10万人ぐらいの
患者さんが病院に
殺到するわけです。
そういう数字が見えてくると
病院のお医者さんだけでは
とてもうまくいかない。
さらに病院そのものが
潰れてしまっているということが
ありますよね。
そのギャップをどう改善するのか。
そうなると、例えば
転院をさせたほうがいい人と
させないで
自分で治療したらいい人
きちんと区別していかないと
みんな転院している途中に
命を落とすことに
多分なってしまうと思います。
小野≫被災ツリーの分析から
見えてきたことは
ほかにもありますか?

井上≫生き残った人たちにもこんな危機が襲いかかるんです。
≫首都直下地震では
これまでにない深刻な水不足が
起きるという指摘があります。
≫近年の地震被害をもとに専門家が行った
シミュレーションです。
オレンジ色は1週間後も断水しているエリア。
最悪の場合、3600万人に
影響が及ぶといいます。
断水の大きな要因は水道管の破損。