2019/12/15(日) 21:10〜22:00 NHKスペシャル 食の起源(2)▽『塩』〜人類をとりこにする“本当の理由”〜[字]
マリウスさんはこのタイミングに注目しました。
実は 同じ頃 祖先たちが もう一つ
あることを始めていたんです。
何?
それは 穀物や野菜を大量に育てる農耕です。
人類が農耕を始めたのは
およそ1万2,000年前。
それが ルーマニアにまで伝わったのが
まさに 8,000年前。
塩作りが始まった時期と
ぴたり一致します。
その後も…
なぜでしょうか?
あ~ 野菜を
食べるようになったってこと?
一体 どういうことなのか?
マリウスさんが考える 祖先に起きた食の大事件をのぞいてみましょう。
一面の麦畑。
農耕によって たくさんの穀物や野菜を手に入れた祖先は→
それさえあれば おなかを満たすことが
できるように なりました。
ところが…。
あれっ? 苦しんでる。
なぜか ナトリウム不足を起こす祖先が
増え始めたのです。
実は 大量に食べ始めた穀物や野菜には
ナトリウムがほとんど含まれていません。
更に 問題となったのが 野菜などに
多く含まれる カリウムという物質です。
問題起こすの?
カリウムは人体に必要な栄養素。
しかし 血液中に増え過ぎると
不整脈が起き→
最悪の場合
心臓が止まってしまうこともあります。
そこで とり過ぎたカリウムを
体の外に捨てようとするのが腎臓です。
ところが この時 尿の中から
大事なナトリウムを取り戻す→
あの精巧な穴で 思わぬ事態が。
尿の中にカリウムがたくさん流れてくると…。
あっ なぜか ナトリウムを吸収する穴を
閉じてしまいました。
これでは ナトリウムを
体の中に取り戻すことができません。
実は こうして尿の中に押し戻した
ナトリウムを使って→
余分なカリウムを
体の外に捨てる仕組みになっています。
私たちの腎臓は
ナトリウムを取り戻すことよりも→
カリウムを排出することを
優先させるんです。
そのため カリウムの多い農作物を
食べれば食べるほど→
ナトリウム不足に陥ってしまうはめに。
そこで 編み出したのがナトリウムの塊→
塩の結晶を作り出す 製塩技術。
あ~ じゃあ これも必然なんだ。
つまり 必死に手に入れようとした
大量の塩は→
ナトリウム不足を克服するための→
いわば サプリメントだったと考えられるのです。
枝豆なんて最高じゃない。
はあ~ 面白いねえ~。なるほどね。
野菜を食べ始めたら…。
そういうことだね。
カリウムをいっぱいとることによって…。
ナトリウム不足になり足りないから作ろうと。
頭よすぎだね。
人間は。
理にかなってたわけです。
そっか~。
実は ナトリウム不足になるのは
人間だけじゃないんです。
これは 夜のアフリカの映像です。
ゾウが なめているのは…。あっ あれ塩か。
そうなんです。
塩がとれるとこがあるんです。
そこに待ってれば
絶対に草食動物は来るわけ。
そうです。
あ~ なるほど。
じゃあ 何か 本人たちは
当時の人たちは→
ナトリウムとか
そういうふうには考えなかったけど…。
本能で 何となく
体にないなと思ったら勝手に…。
塩とると 調子よくなったりとか
そういうことがあって→
それで 塩とる技術が
発展していくわけですね。
さて その祖先が一生懸命探して
作り上げてきた塩の数々。
今回 スタジオに
たくさん持ってきてみました。
うわ~ すごい これは。
いや~ もう 何か 岩塩だ…。いっぱい あるんだね。
宝石みたいですね。