2020/02/04(火) 00:20〜01:10 プロフェッショナル 仕事の流儀「魔性の花に魅せられて〜育種家・鷲澤幸治〜」[解][字][再]


黒蝶は大ヒットとなり鷲澤さんは それ以降→
次々と斬新なダリアを世に送り出した。
ダリアはやがて 結婚式など華やかな舞台に欠かせない花として→
認められるようになっていった。

そして鷲澤さんは国内外で数多くの賞を受賞し→
「ダリアの神様」とまで
言われるようになった。
しかし その陰で
長年 負担を強いてきた家族は→
壊れかけていた。


妻のヒフミさんは 飲めなかった酒を口にするようになっていた。
3人の息子たちは 鷲澤さんのことを
父とは呼ばなくなっていた。
60代になり 鷲澤さんが
やっと家に帰るようになった頃→
ヒフミさんは認知症になった。
孤独だったからこそ のめり込んだ幸せを運ぶ花。
それを求めるほどに
置いてきぼりにしてしまった家族。
やり直せない後悔と 消せない情熱。
そのはざまで 鷲澤さんのダリアは今日も咲いている。
8月の ある日のことだった。
雑草を抜いていた鷲澤が ふと口にした。
鷲澤が「若い人」と呼んだのは…
18年前から ここで働くようになり父と同じ道に入った。
康二がダリア園で働きたいと言った時→
鷲澤は 「やれるもんなら やってみろ」と突き放した。
今では園長を任されるまでに成長したが
二人の関係は ぎくしゃくしたままだ。
同じ場所で働いていても
二人の間には ほとんど会話がない。
互いを気遣いながらも
歩み寄ることはできずにいた。
そんな親子の育種家としての腕が
試される場があった。
生産者たちの投票によって
秋田県のブランドダリアを選ぶ選考会。
選ばれた品種は 「NAMAHAGEダリア」という
ブランドとして→
県の後押しを受けて 売り出される。

10月の選考会に向けて康二も育種に励んでいた。
しかし 育種の方法は
鷲澤とは違い 人工交配。
茎の丈夫な 生産者が育てやすい品種を
作ろうとしていた。
どうも 秋田にようこそ。
(笑い声)
どうも。
≪乾杯!
鷲澤は 花業界の関係者たちを
もてなしていた。
一代かぎりで終わるつもりだったが
そうもいかなくなった。
自分の後を継ぐ者に 何を残してやれるか。
あっ これ 余計なこと…。
2日後。
東京で暮らす長男の孫が帰省してきた。
鷲澤は この日を
何よりも楽しみにしていた。
早速 ダリア園に誘うも…。
はい はい。
2日後 孫の佑真がダリア園を訪れた。
分からない? 将来 分かんないって?
犠牲にしてしまった 家族への思い。
それを 素直には伝えられない鷲澤。
9月 新品種が咲き始めた。
鷲澤は 康二が育種したダリアをこっそりと見ていた。
評価は厳しい。
そして 自分の花も 見て回る。
(取材者)グッときました?

うん グッときてる。
72歳になった鷲澤。
最近 昔は見えなかったものに気がつくようになった。
そういうことです。
ダリアの花盛りに選考会が開かれた。
ダリア園に集まったのは
70人以上の生産者たち。
その投票によって選考が行われる。
二人の育種の成果が試される。
最終候補は11種類。
投票の上位3位までが秋田県のブランドとして売り出される。
票が出そろった。
せ~の…。
1位は 康二の育種した紫のダリア。
鷲澤のダリアは2位だった。
(男性)俺も これ ちょっとよくて…。
これ いいっすよ。
実は 康二もまた
父のダリアを一番だと思っていた。
並んで言葉を交わす親子。
それは 半年間の取材の中で初めて見る光景だった。
♪♪~(主題歌)
選考会後の二人。
鷲澤はダリアと引き換えに
家族を犠牲にした。
(男性)ベイビーピンクとして。
だが今 家族をつないでいるのもダリアだった。
その幸せを また誰かに。
プロフェッショナル?そういうの 考えたことないけども→
やっぱ あの 自分と