今 精神疾患のため医療機関を受診する人の数は→
348万1,000人に上ります。
その発症のピークは→
10代後半から20代前半といわれています。
しかし これまで長い間→
子どもの心の不調は
家庭や学校の問題とされ→
精神医療には つながってきませんでした。
そうした現状の中 国は今→
子どもたちへの教育を
重視し始めています。
学習指導要領が改訂され
2022年度から 全国の高校で→
精神疾患についての授業が
実施されるのです。
医療機関でも 徐々に→
児童・思春期専門の精神科が増えてきており→
子ども特有の悩みに
耳を傾けようとしています。
シリーズ「変わり始めた精神医療」。
第1回の今夜は→
子どもたちの心と どう向き合うか
考えます。
栄さんは 教育現場で
精神疾患について伝える活動→
また 研究をされていますけれども→
今回の この指導要領の改訂についてはどう受け止めていますか?
私自身は ソーシャルワーカーとして
病院に勤務していたんですけど→
出会った子どもたちが大人になった時に
振り返った時に→
一番最初 初診がですね→
耳鼻科であったりとか小児科であったりとか…。
なかなか精神科っていうのが出てこない。
耳鼻科というのは 最初幻聴が聞こえたってことですか?
そうですね。 先生方に お話ししても
先生方も「それは自分の甘えじゃないか」→
保護者の人も「あなたが しっかりしてたら
治るんじゃないか」っていう→
怠けと間違えられることも
あったりすると→
ちゃんと教育をしてもらうっていうことは
大切なポイントだなと思っています。
アルタイルさんは 今 19歳でして…。
僕は 高校1年生の時にかかったんですけど→
その時は やっぱり
知識も何もなかったので→
いろいろな人に理解されるっていうのは
すごい難しいことだと思うんですけど…
松田さんは 広島県で もう20年以上→
児童精神に携わってこられましたけれども。
そうですね
子どもの精神科っていうのは→
精神科の中でも
非常にマイナーな分野で→
本当に あの 関心がある人が
一部でやってるという領域だったので。
しかも やっぱり
いろんなリスクがありますよね。
子どもたちと向き合うっていうのは
いろんなことが やはり起きてくるので→
ある意味で覚悟がいります。
松田文雄さんが院長を務める広島市内の病院です。
1994年から
児童・思春期専門の病棟を設け→
子どもたちの治療をしてきました。
子どもは大人と比べ 自分自身の状態を正確に言い表すことが難しいため→
丁寧な聞き取りが必要です。
時間をかけて 症状の背景にある本人の気持ちを引き出していきます。
更に 言葉には表れない
子どもたちの心境を→
さまざまなアプローチで分析します。
「家で何してる?」っていう流れの中で→
「音楽聴いてる」っていう返事
返ってきたら→
「何ていう曲?」とか。
次に会うまでに 大抵YouTubeか何かで聴いてみます。
(取材者)家でですか?
はい。
この歌詞を じっと眺めてると→
ああ こんなふうなこと言いたいんだろうなって。
メッセージとして受け取ってますね。
好きな音楽やゲーム 趣味の中から→
心の奥に抱えているものを
探っていくのです。
子どもの診察を始めた当初
年間900人ほどだった外来患者数は→
去年 1万8,000人を超えました。
発達障害や不登校が社会に広く知られるに伴い→
受診する子どもは増加しています。
かつては精神医療につながらず→
小児科や児童相談所で
解決するとされてきた子どもたちです。
こうした子どもたちへの治療では→
本人だけでなく 背景にある発育環境家族関係にも目を向けることが→
より大切と松田さんは考えています。
自立していない子どもは→
家族と共に過ごし 学校に通う中で
その影響を大きく受けるため→
ケース会議で詳しく分析していきます。