2020/05/03(日) 21:00〜22:10 NHKスペシャル「調査報告 クルーズ船〜未知のウイルス 闘いのカギ〜」[字]
陳日昇さん。
不安を感じながらも通常どおり
ステージに立っていたといいます。
≫後に夫を亡くすことになる女性。
感染者が出たことは知らず楽しい時間を過ごしていました。
≫感染確認から2日後の2月3日。
≫船側は感染確認を乗客に伝えたものの
ショーやパーティーを続けました。
≫感染確認後も変わらぬ日々を過ごしていた
数日間。
ウイルスは、その隙をついて
爆発的な感染を
引き起こしたとみられています。
これは乗客が感染した日を
推定したグラフです。
発症した日と潜伏期間の
データを基に導き出しました。
2月2日から4日の3日間に
感染が集中していた可能性が
浮かび上がりました。
感染は一体どうやって広がったのか。
今回、NHKの
独自取材によって判明した
船内の感染者の分布です。
赤い印は、感染者の部屋の位置を表しています。
その数は712人。
乗客・乗員の実に19%にも及びました。
乗客に感染者が出た場所の
分布を見ると
偏りや規則性はないことが
分かります。
このことは
ある1つの感染パターンが
カギになっていることを
示していると専門家は言います。
≫複数の人が接触する
可能性がある場所はどこか?
専門家が注目したのは共用施設。
豪華客船ならではのフィットネスや劇場
カジノや、バーなど
多くの人が集まる場所です。
例えば、ホテルのロビーにあたる
アトリウムといわれる空間。
これは、感染が集中したと
推定される
2月2日に
アトリウムで撮影された映像です。
ダンスパーティーなどが
開催されていました。
≫ウイルスはどうやって
ヒトからヒトへ感染していくのか。
ウイルス学が専門の
ドナルド・ミルトン教授は
会話だけでも感染が広がる
可能性を指摘しています。
実際に
インフルエンザにかかった患者で
実験を行ったところ
3分の1は吐く息の中に感染力のあるウイルスが
含まれていました。
≫もし、このパーティー会場にすでに発症している
感染者がいた場合
事態は深刻化します。
京都工芸繊維大学の山川勝史さん。
せきをする人がいたときに
飛まつがどれくらい拡散するか
シミュレーションしました。
もし、パーティー会場に
その人がいた場合…。
(せき込み)
≫せきにより感染者から飛まつが飛び散り
目の前の人に吹きかかります。
一部は床に落下します。
しかし、赤で示した
サイズの小さな飛まつは
空気の流れに乗って
しばらくの間、漂い続けます。
感染症の専門家は
こうした飛まつによって
感染が広がる可能性を
指摘しています。
密閉、密集、密接
後に「3密」と名付けられる
リスクの高い空間。
クルーズ船の解析で改めて浮かび上がりました。
≫さらに、別のメカニズムが
感染拡大を招いたと指摘する研究者もいます。
一度に500人を収容できる
船で最大のレストラン会場。
早朝から深夜まで
ビュッフェ形式で食事ができる
人気の場所でした。
2月4日。
最初の感染者の連絡が
船側に入って3日後の様子です。
≫こうした場で
起きたと考えられるのが
接触感染です。
今回、専門家と実験を行ったところ
ウイルスが広範囲に