2020/05/03(日) 21:00〜22:10 NHKスペシャル「調査報告 クルーズ船〜未知のウイルス 闘いのカギ〜」[字]
拡散するリスクが
浮き彫りになりました。
安全を確保するため十分な換気を行い
被検者には体調確認や消毒を
万全にしたうえで
参加してもらいました。
感染者役は5分に一度せきを手で押さえる設定で
ウイルスに見立てた蛍光塗料を
手のひらに塗ります。
参加者には30分間
自由にビュッフェを
楽しんでもらいました。
ウイルスに見立てた蛍光塗料はどこまで広がるでしょうか。
≫青白く光ったところが
塗料のついた場所。
食器や手など
広い範囲に広がりました。
≫ナプキン、すごい…。
≫最も遠い場所に座っていたこの女性も。
1人で食事していた男性も。
なんと、全員の手に広がり3人は顔にまでつきました。
≫広がった原因は
例えば、このふた。
通算12回
人が手で触れています。
ほかにもトングや
飲み物の容器の取っ手などが
媒介していることが分かりました。
一方、積極的に対策さえすればリスクは格段に減らせます。
店員が料理を取り分けたり
客にこまめに手を清潔にするよう促したりすると…。
先ほどの実験と比べて
顔への付着はゼロ。
手への付着も
30分の1にまで減りました。
≫接触感染は
ビュッフェに限った
話ではありません。
ドアノブや電気スイッチエレベーターのボタンや
階段の手すりなど
不特定多数が触れやすい場所
ハイタッチサーフェス
といわれる場所に
危険は潜んでいます。
武田≫結果的に感染が広がってしまったこと
などについて
クルーズ船を運航する会社に
取材したところ
乗客や乗員の健康を守るため
できるかぎりの対応をしたと
答えました。
船内で人知れず感染が進む中
クルーズ船は横浜に戻ってきます。
乗客・乗員3700人の命を
どう守るのか
医療現場は難しい判断を
迫られていくことになります。
≫クルーズ船が
横浜にやってきたのは2月3日。
感染が
どれくらい広がっているのか。
検疫のため
厚生労働省の職員たちが船内に乗り込みました。
この時期、政府関係者からは
事態を楽観視する声が上がっていました。
≫しかし、検査の結果
31人中10人の感染が判明。
政府内の空気は
一変したといいます。
クルーズ船対応の責任者だった
加藤厚生労働大臣が取材に応じました。
≫国はすぐに乗客全員を14日間
船内に隔離する方針を決定。
医療施設ではない場所での隔離を
不安視する声も出ましたが
乗員を含む3000人以上を
直ちに収容できる施設は
ありませんでした。
≫クルーズ船内での難しいオペレーションを
仕切ることになった
正林督章さんです。
陽性が判明した10人に
感染の事実を直接、伝えました。
≫対応は、主に2つのチームで
当たることにしました。
1つは厚労省や保健所の
職員たちからなる検疫チーム。
乗客・乗員のPCR検査を行い
陽性かどうか判定します。
感染が分かると
神奈川県庁に置かれた搬送チームが病院に振り分けます。
感染症の専門的な知識を
持っていましたが
想定外の連続だったといいます。
≫最初の搬送が行われた5日。
防護服のスタッフたちが
目にしたのは自力で降りてくる
感染者の姿でした。
≫クルーズ船から病院に感染者を送る調整に当たった
中澤よう子さんです。