2020/12/05(土) 08:00〜08:15 【連続テレビ小説】おちょやん「第1週 うちは、かわいそやない」[字]

(柝の音とチンドン太鼓の音)
(黒衣)東西東西!
(千代)全国のお茶の間の皆々様方→
今回の物語は
僅か9つで親に捨てられ→
何もかもなくした
私 千代が→
大阪は道頓堀を舞台に やがて
大阪のお母さんとまで呼ばれるほどの→
大女優になるまでの一代記に…。
(テルヲ)長い長い!番組終わってまうわ お前!
まあ まあ まあ。
お父ちゃん!
(テルヲ)大体 お前 誰やねん。
見てのとおり 黒衣です。ご存じない?
お芝居で 役者さんらの
お手伝いさしてもろてんの。
そこにおっても
おらんいうことになってましてな。
(テルヲ)いや おるやないけ。
いてません。 見えません。
いやいや 待て!
お父ちゃん!
(騒ぐ声)
私ども一同 皆様方に 涙あり 笑いありの楽しいひとときをお届けできるよう→
誠心誠意 努めてまいります。
今後とも ごひいき お引き立てのほど…。
こっちや!
願い上げ 奉りまする~!
あっ 申し遅れました。


タイトルは 「おちょやん」だす。
♪♪「涙色したブルー こぼれて ひろがって」
いよいよ 今週から始まりました「おちょやん」。
毎週土曜日は 私 黒衣が 1週間のお話を
ええとこ取りでご紹介さしてもらいます。
それでは 始まり始まり~。
♪♪~
物語の始まりは大正5年。
大阪・南河内の小さい村で千代ちゃんは生まれ育ちました。
恨みなや。
うちらも生きてかなあかんさけな。
今度は われが うちらを食べさす番や!
千代ちゃんの家族はちっちゃな養鶏場を生業に→
細々と暮らしておりました。
おお 千代 酒や酒。
それより こいつ 卵もう産みよれぃんさけ
町で売ってきて。
われ そいつ捕まえる時 わいの流星丸に
何もしやぃんかったやろな!
この流星丸は観賞用の鶏で
びっくりするくらいの金額で→
取り引きされることもあるっちゅう
話ですわ。
ほんまかいな。
この どあほ! あねなもんに有り金 全部 使いさらして→
うちら 今日 食べるもんも
あれぃんちゅうのに 何が流星丸じゃ!
じゃかあしい!
親に偉そな口たたきさらすな!
うちは お母ちゃんと約束したんや。


ヨシヲを守るて。 この家を守るて!
親やったら 親らしいことさらせ!
ひゃ~ たくましな~。
売ってきたら! フッ…。
待っとけ! ヘッ!
はあ… ほんま 生きるて しんどいなあ。
千代ちゃんは5つの時にお母ちゃんを亡くして以来→
学校にも行かず
家の仕事を手伝っていました。
偉いな~。
(ヨシヲ)おなか減ったなあ…。
おなか減った…。
分かったさけ。
ここは お隣の小林さんとこの家です。
お隣いうても歩いて30分はかかりまんねんけど→
遠っ!
(きみ)そうや 晩飯食うてけや。
(辰夫)ヨシヲも腹減ってんねやろ。
うん!
(きみ)気ぃ遣わんと 好きなだけ食いや。
優しいお隣さんで よかったわ。せやけど 子供らは…。
どねしたんや?
(勝次)一緒に食いたない。何ぬかす!
(勝次)そいつら シラミわかしとんねんで。
うつってまうやんけ。
確かにシラミは わいたけど
もう おれぃんわ!
そねやったら 何で学校 来やぃんねん。
千代ちゃんが家のことしたりヨシヲの面倒見んとあかん。→
そやさけな 学校にも行かれぃんねん。

かわいそうやと思わへんけ?
しやぃん… うちは かわいそやない!
去ぬで!(きみ)ちょっとちょっと待って 千代ちゃん!
(戸の開閉音)
(風の音)
 回想 
(サエ)見てみい 千代。
(サエ)あんたが生まれた時もな
あねなお月さんが出てたんやで。→
ここ来たら何でか泣きやんで