2020/12/13(日) 04:30〜05:00 イッピン・選「名匠への道 琉球の技は生き延びる〜沖縄 工芸品〜」[解][字]
更なる高みを目指します。
15世紀から450年続いた琉球王国。
王家の庇護のもと→
独自の発展を遂げたのが
琉球漆器でした。
そこには
さまざまな技法が駆使されています。
中でも 外国への献上品に使われ
珍重されたのが→
螺鈿です。
貝殻の内側→
真珠のように
輝く部分を切り出し→
貼り付けています。
3年前 「イッピン」では→
その伝統を受け継ぐ
漆職人を訪ねました。
(小野)こんにちは~。
前田春城さんと貴子さん夫妻です。
製作していたのが こちら。
現代的なデザインですが→
あの螺鈿の技法が使われています。
これが琉球漆器で多く使われる螺鈿の材料です。
熱帯の海でしかとれず
虹のような輝きを放ちます。
貝の輝きを生かすために→
どの部分を どこに貼り付けるのか→
その見極めが大事なんです。
職人技が発揮されるのは ここから。
針を使って切り出していきます。
この部分の厚さは0.08ミリ。
少しでも気を抜くと
思いどおりの形になりません。
切り抜いたら 漆の上に貼り→
その上から漆を塗って…。
乾いたら 研ぎ出していきます。
漆を塗っては 研ぐ。
この作業を何度も繰り返し→
漆の黒をバックに→
鮮やかに輝く 螺鈿細工が完成するのです。
あれから3年。
(女性)こんにちは~。
ご無沙汰しています。
前田さん夫妻は沖縄県が進める→
あるプロジェクトに関わっていました。
琉球王国が残した名品をもとに→
それと全く同じものを作ること。
当時の職人の技を解明し
後世に伝えていくのです。
この日 前田さんの工房に
世代を超えた職人たちが集まりました。
去年の4月から
ここで技法の再現に挑んでいるのです。
琉球王家ゆかりの品と考えられる→
螺鈿細工の傑作。
龍と雲が優美にかたどられ→
輝きを放っています。
プロジェクトを引っ張るのは
前田貴子さんと春城さん。
そして ベテラン職人の宇良さんです。
琉球漆器の あらゆる技法を→
マスターしている
宇良さん。
もちろん
螺鈿細工の腕前も→
超一流です。
この漆器に関する文献は全く残っていません。
頼りは現物を撮影した この写真。
宇良さんが 貝をどう使ったかを貴子さんと検討します。
この写真は 去年の10月
貴子さんたちが首里城で撮ったもの。
職人の目で
名品を細部まで克明に記録しました。
ところが その翌日…。
首里城で火災が発生。
中に収められていた文化財の
およそ4分の1が失われ→
あの漆器も熱のために
大きなダメージを受けてしまったのです。
いまや これらの写真が→
技法の再現のための唯一の手がかりとなりました。
一つの大きな謎が
立ちはだかっていました。
貝に線を彫り込む→
毛彫りと呼ばれる技法。
その線に 小さな三角形が いくつも…。
こちらは現代の琉球漆器で見られる→
毛彫りの線。
針を使って彫りますが→
三角のギザギザはありません。
どうしたら こんな線が出せるのか。
漆器に施された毛彫りの ほぼ全てに
この線が見られます。
今では 失われてしまった技が
使われているのでしょうか。
先端を鋭く削った金属の棒→
刀と呼ばれる道具を使ったのではないか。
刀の刃先は どんな形だったのか。
どの刃先があの三角のギザギザを出せるのか。
2か月にわたる試行錯誤の末→