2020/12/15(火) 08:00〜08:15 【連続テレビ小説】おちょやん(12)「うちのやりたいことて、なんやろ」[解][字]


高城さん まだ いてはって。
…って この人 行った時のまんまや。

あの…。はあ…。
おなかがすいちゃったんだけど
お食事 まだかしら。
へえ!
♪♪~
ん~。
お酒 お持ちしましょか?
ぶどう酒 頂ける?
えっ?
私 あれしか飲まないのよ。
あの真っ赤な血のようなお酒を飲むとこう 気分が 高ぶってくるの。
へえ…。
<女優さんてみんな こないなもんなんやろか>
あなた
何でお茶子さんになろうと思ったの?
えっ?
ああ いきなりで ごめんなさい。
私 そういうの


すごく気になっちゃうの。
なろ思たいうより
それしかあれへんかったんだす。
ん~ じゃあ 本当は
違うことがしたかったってこと?
いや そういうことやのうて…。
高城さんは何で役者さんになろ思いはったんだす?
私? う~ん…。
(節子)何で高城百合子がここ いてんの?
(富士子)ほんで 何で
千代と仲よう しゃべってんの?
理由は いろいろある。
男に負けたくなかったし→
家族とか 親戚とか
誰も頼る人がいなかったから→
私は自分の力だけで
生きていかなくちゃならなかったの。
でも 一番の理由は… そう言われたから。
誰にだす?自分自身に。
こう 自分の体の内側から→
そうしろ そうしろっていう声が聞こえたの。
分かる?
さっぱり分かりまへん。
あっ… アハハ。 そう。 フフフ。
ほんなら今は 辞めいう声が聞こえてんのだすか?
すんまへん 今の忘れとくなはれ。
私は ただ しようと思うことは→
是非しなくちゃならないと
思ってるばかりだす!
これ うちが初めて百合子さん見た時の

お芝居だす。
ちょっこと待ってておくれやす。
(戸を閉める音)
うち それ読みとうて
一生懸命 字ぃ覚えたんだす。
正直 今でも
意味は よう分かれしまへんけど→
あの時のことは忘れられへん。
百合子さん 覚えてはりますか?
すっかり忘れてた。
でも思い出したわ。
私には 神聖な義務が ほかにもあります。
どんな義務というのだ。
私自身に対する義務ですよ。
(拍手)それや! それだす!
やっぱり ちゃうなあ ほんまもんは。
何より 第一に お前は妻であり 母である。
そんなことは もう信じません。
高城百合子さんは この時所属している鶴亀株式会社の方針で→
舞台役者から映画へ転向するように
命じられていたそうや。
百合子さんは それに抵抗しはった。
当時の日本映画界は まだまだの状態で→
百合子さんの求める演技は
映画の世界にはないと思たんやな。
千代ちゃんは
そないな話は何も知りません。
知らんけど とにかく百合子さんを
励ましたかったんや。
ああ もう奇跡なんか信じない!

私は信じるよ。
さようなら。
(拍手)
もう行くわ。
あなた 名前は?
千代だす。 竹井千代。
千代ちゃん… そんなにお芝居が好きなら自分でやってみたら?
一生一回
自分が本当にやりたいこと やるべきよ。
旦那さんにお似合いの帽子も
ありますよ~。
(みつえ)そや うち 髪留め欲しい。
(宗助)ああ それやったら さっき向こうで売ってたわ。 買いに行こうか。
(シズ)旦さん みつえに甘すぎます。
無駄なもん買うたら あきまへん。
無駄なもん ちゃうもんなあ。
髪留めやもんなあ。
お母ちゃん お願い。
しょうおまへんな。
わて しんどなったさかい