2020/12/16(水) 08:00〜08:15 【連続テレビ小説】おちょやん(13)「うちのやりたいことて、なんやろ」[解][字]


♪♪~
こら びっくりやなあ。

わてやったら 恥ずかしゅうて家に閉じ籠もってしまうわ。
別に 人さんに後ろ指さされるようなこと
何もしてしまへんよって。
そやけどな… 昔のことがあるさかいな。
(富士子)今も昔も お茶子と客の色恋沙汰は ご法度やさかいな。
(里子)何でだす?
ここは芝居の街や。
芝居茶屋は役者さんと芝居小屋のおかげで
商いさせてもろてる。
そんな わてらが
役者さんと色恋沙汰起こしたりしたら→
芝居茶屋そのもんの信用を失いかねん。
昔のこと知ってる人も道頓堀には ぎょうさんいてはる。→
あらぬ噂やとしても→
岡安から足が遠のくお客さんが出てくるかも分かれへんな。
ほんまに ただの噂やねやろか…。
ご寮人さんかて 女や。もし まだ未練残してはったとしたら…。
(そしゃく音)


何してはんのだす こないなとこで。
(みつえ)お帰りなさい。
(宗助)お… お帰り。
どないしましたんや。
まだ仕事は終わってまへんで。
(宗助)わしも え~っと…。
(湯飲みが割れる音)
里子! 何べん言うたら…。
すんまへん。
わてと 早川延四郎さんとのこと→
あんたらには はっきりさしといた方が よろしわな。
わてと あのお人は
お茶子と役者いう間柄にもかかわらず→
昔 確かに
恋仲になりかけたことがおました。→
旦さん お母ちゃん みんな…。
岡安の看板に泥塗るようなことになってしもて→
ほんまに申し訳ない。
堪忍やで。 このとおりだす!
(シズ)小次郎さん
ちょっと火ぃ借りますわな。
♪♪~
(椿)あら~。 岡安さん 1升だけかいな。(笑い声)
(椿)どないしたん。 今日は えらい
お客さん少ないのと違う?
うっとこは ひい ふう みい よ…
いや~ もう分からんなあ。
4升 20人かそこら来はりますねん。
忙しいなあ。
忙しい忙しい。

どっかの誰かさんに ありもせえへん噂流してもろたおかげだす。
火のないとこに煙は立たんって
いうしなあ。
そうだす。 アハハハハハ。
福富さんは 大事おまへんか?
(椿)ん? 何のこと?
乞食の頭領の小次郎さんに聞きましたんやけど→
そちらの あやめさんが
千日前のカフェー辺りで→
新派の二枚目さんと
何やら あいびき繰り返してはるて…。
(あやめ)あれは
うちを ごひいきしてくれてはる人に→
いっぺんだけ ごちそうになっただけや。
あいびきちゃう!
ぼたんさんが 万太郎一座の若いのと
活動写真見てたいう話も聞いたような…。
(ぼたん)し… 知らんわ! 人違いやわ!
椿さんは…→
何もあれへん。
(笑い声)そら ひがみもしますわな。
どういう意味やの!
気ぃもまんといておくれやす。
岡安には 火のないとこに煙立たすような
いちびりは一人もいてしまへんよって。
千代ちゃん 一本!
ほな。
千代ちゃん 一本! 一本!
ぽん ぽん ぽぽぽぽ ぽん!
ぼたん あいびきしてんの?

あやめ あいびきしてんの?違いますねん。
何で うちにはないのや~!
千代ちゃん 一本!
おはようさんでございます。
おはようさん。
ちょっ ちょっ…。
えっ えっ えっ えっ!
早川延四郎いいます。
へえ よう知ってます。
これを シズに…→
女将さんに渡してくれへんか。
岡安のお茶子さんやろ。 頼む!
それは でけしまへん。
明日は楽日や。
あさってには大阪を離れる。
最後の手紙のつもりで書いたんや。
どうしても伝えたいことがあって。
けど そやな… また 私の身勝手や。
すんまへん お役に立てしまへんで。
あ~ ちょっと待って!