2020/12/19(土) 13:05〜13:50 麒麟(きりん)がくる(36)「訣(けつ)別」[解][字][デ][再]
そう思わぬか。
気をお遣いになるのであれば
親しきお大名にも→
いま少し お気を遣われるべきかと。
何?
徳川家康殿の領地に 武田信玄が
攻め込んでいるとの知らせが入りました。
武田勢は
2万以上の兵だと聞いております。
家康殿の軍は せいぜい7,000~8,000。
3,000の援軍では到底 勝ち目がございますまい。
しかたあるまい。
こちらも ギリギリでやっておる。
越前の朝倉が
北近江に1万5,000の兵を繰り出し…。
明日 わしも出陣する。
家康を助けてもわしが負けたら元も子もあるまい。
信長様には 公方様がついておられます。
そのお声一つで畿内の大名が はせ参じましょう。
しかし 家康殿は違います。
家康殿は信長様を敬い→
頼りにしておられます。 我らも 家康殿に
どれほど助けられたか分かりませぬ。
せめて あと3,000。
いや 2,000でも構いませぬ。 援軍を!
十兵衛。
夢の話をしたであろう。 公方様がそうまで当てになるお方と思うか?
信玄も 朝倉も 浅井も 皆
公方様が上洛を促しておられる。
わしを追い落とすつもりか?
さようなことは断じて…!
公方様をお支えしているのは
信長様であると→
公方様もご存じのはず。
決して追い落とすなどと!
もし さような動きがあれば この十兵衛が
食い止めてご覧に入れまする!
ふむ…。
以前 帰蝶が申しておった。
十兵衛は どこまでも十兵衛じゃと。
あの鳥を 公方様にお届けせよ。
はっ。
(若侍)申し上げます!ん?
(若侍)遠江より急ぎの使者が参り
遠江の三方ヶ原において→
徳川様と我が援軍が
武田の軍勢に大敗したとのこと!
(駒)これは 徳大寺様の館へお持ちして。
これは 頂妙寺。
(望月東庵)駒!
(駒)はい。ああ…。
今 二条城から使いのお侍が見えて
これを駒に渡してくれと言うて→
お帰りになった。
いや~ 随分急いでおいでで…。
公方様からの文だ。
今までお渡ししたお金全部 鉄砲を買わせてくれと!
戦に勝ったら返すって…。
この鵠は 来るのが遅かった。
は?
(義昭)もはや これを受け取るわけにはいかぬ。
何故でございますか?
わしは信長との戦を覚悟したのじゃ。
公方様…!
(義昭)信長が わしによこした十七ヶ条の異見書じゃ。
罵詈雑言じゃ!→
帝への配慮が足りぬだの将軍の立場を利用し→
金銀をため込んで
まことに評判悪しきゆえ→
恥ずべきであると!
(義昭)もはや 我慢がならぬ。
今や 武田信玄が上洛の途上にある。
朝倉と浅井が信玄に呼応して 近江で信長を挟み撃ちにすると伝えてきておる。
徳川も既に敗れ 松永も敵に回った。
信長の命運は尽きた!
松永様を敵に回すよう はかられたのは
公方様ではありませぬか!
はかったとは何事!
あ…→
申し訳ございませぬ!
明智殿。
上洛の折は 信長殿には
一方ならぬ恩を受けた。
しかし このところの信長殿は 帝 帝と
御所のみに顔を向けておられる。→
武家の棟梁など なきもののごとく
振る舞われておる。
明智殿にも熟慮頂き
我らと共に公方様をお支えし→
新しき世のための戦に
はせ参じて頂きたい。
戦に はせ参じよと?
誰との戦に?
信長様と戦えと!?
(三淵)明智殿は 今や幕府にとって なくてはならぬお方!
ここは なんとしてもご決心頂きたい!
公方様 どうか いま一度…いま一度 お考え直しを…!
決めたのじゃ。
わしは 信玄と共に戦う!→
信長から離れろ。