2020/12/20(日) 05:15〜05:45 桂文珍の演芸図鑑 選「六平直政 三遊亭わん丈 神田伯山」[字]
え? 仲間を大事にするんだよ。→
お前たちが持ってねえもん
俺だけ持ったらケンカになんだろ」。
「ならないよ それは。
じゃ 兄貴もない…」。
「じゃ じゃ じゃ… こうしよう。
お前たちさ→
行きつけの店なんてのがあるだろ?
そういうところへ行って→
今日は借りてこよう。
いや 心配しなくていいよ。→
月の終わりんなったら
またみんなで金出し合って→
なっ 返したらいいんだから。
なっ 立って。 行っつくれ。→
行きつけの店な~!→
おお 帰ってきた 帰ってきた。おう お前 早かったな。 何持ってきた?」。
「おう おらったったった!
へへっ かつ節」。
「おっ かつ節 いいねえ
だしが肝心だ こういう時は。→
お前 それ 高かったろ」。
「うん!→
買えばね」。
「お前 変なこと言ったな。お前 それ どうしたんだよ」。
「兄貴 知ってっかな
あの~ 角の乾物屋」。
「おお 知ってるよ」。
「あすく行ったんだよ。→
したらね 店の前にね こう かつ節がね
並んでんだよね うん。→
ほいでね それを2本 こう取ってね
『おやじ』っつったらね→
おやじが居眠りしてんだよ」。
「待て待て待て。→
ダメだよ 勝手に持ってきちゃ」。
「そうじゃないの ねっ。→
おやじが居眠りしてるところ 俺の都合で
起こしちゃ悪いじゃない ねえ?→
また後で俺が来ればいいだけの
話だな~っと思ったから→
ちゃ~んと 1本置いて帰ってきた」。
「いや お前 はな2本とったろ お前」。
(口笛)
「下手だな ごまかし方が。→
もういいよ 知ってる店だから。→
奥持ってって かいて!だしのかき方 分かるね 頼むよ うん。→
次は 何持ってきた?」。
「おっ おらったったった!→
数の子」。
「おっ 数の子 いいねえ。→
だしが肝心で また こういう時に
いいんだよ 数の子ってのはな。→
高価なもんだ。 お前 それ 高かったろ」。
「うん。 買えばね」。
「増えたね。 お前 それ どうしたんだよ」。
「兄貴 知ってっかなああの~ 角の乾物屋」。
「知ってるよ。 よ~く知ってるよ
今日 何か よく聞くからさ」。
「あすく行ったんだよ。 そしたらね
たるがあって その上 数の子 山積み。→
これ持ってったら
みんな喜ぶだろうなと思ったやさき→
突風が ピュ~。
数の子 飛ばされちゃいけねえと思って→
懐に手ぇ入れたら 大きな風呂敷。→
この風呂敷をね数の子の上にバサッと掛けてね→
『おやじ』っつったらね
おやじが居眠りしてんだよ」。
「待て待て待て待て。 ダメだ…」。
「そうじゃないの。 持ってきてない。→
おやじが居眠りしてるところ
俺の都合で起こしちゃ悪いでしょ?→
だから また 後で 俺が
来ればいいだけの話だなと思ったから→
風呂敷 こうやって持ってきたら
数の子ついてきちゃった」。
「かわいくないよ。
ダメだよ そんなことしちゃ。→
もういいよ でも うまそうだから。
奥持ってって 数の子 塩気抜いて。→
食いやすいようにして 食いやすいように。
頼むよ。 次は? 何持ってきた?」。
「親分 あっしは
これを持ってまいりやした」。
「親分って言うな。
うち 盗賊の一味じゃねえんだよ。→
これ何だよ」。
「これは 干ししいたけだな」。
「乾物屋だな? お前も。
お前も行ったの…」。
「そうなんだよ。 乾物屋行ったら
おやじが居眠りしててね…」。
「それもう おやじ死んでんじゃないの?」。
「大丈夫 大丈夫。 俺が持って帰ろうかなと思ったやさき おやじが目を覚ました。→
今邪魔だなと思って
首んとこカ~ンってやったら また寝た」。
「死んじゃうよ ほんとに。
ダメだよ そんなことしたら。→
もういい 奥持ってって。 まだいるか?」。