2020/12/20(日) 21:00〜21:50 NHKスペシャル パンデミック 激動の世界(6)「“科学立国” 再生への道」[字]


大きな影響を与えた科学者です。
その後 東京大学の学長などを経て→
1998年 文部大臣に起用されました。
このころ 日本は 科学論文の数が
アメリカに次ぐ 世界第2位に浮上。
科学立国日本の全盛期でした。

そんな中 有馬さんに委ねられたのが国立大学の大改革です。
各大学が 自由に競い合い
更に研究力を高めることはできないか。
有馬さんらの構想を基に 2004年
国立大学の独立法人化が行われました。
この時 科学者たちを奮い立たせようと
重視したのが→
研究資金の見直しでした。
国から各大学には毎年 大学の規模に応じて→
運営費交付金という→
いわば 運転資金が出されてきました。
それに加えて有馬さんが
強化したのが競争的資金です。
研究者が国に対して 自分の
研究内容を申請書でアピール。
審査で選ばれると 期限つきで
資金が与えられます。
有馬さんは
この競争的資金を増やすことによって→
科学界が活性化すると期待したのです。
ところが 事態は 有馬さんの思惑とは違う方向へ向かいます。
2006年
国の財政改革が厳しく求められる中→
大学の土台を支える運営費交付金を→


毎年 1%ずつ減らすことが→
閣議で決定されたのです。
その結果 選ばれた研究者に 期限つきで与えられるお金は増えたものの→
期限に縛られない各大学の運転資金は
先細っていきました。
まさに今 この影響を受けているのが→
新型コロナの特効薬の開発に挑む鹿児島大学 馬場研究室です。
減ってしまった運営費交付金で
給与を賄えるのは→
正規職員の馬場さんと
准教授の岡本さんまで。
一方 外山さんは
競争的資金などによって→
期限つきで雇うことしか→
できなくなってしまったのです。
外山さんは家に帰れば
3人の子を持つ お父さんです。
研究が休みの土曜日。
朝7時駅へと向かう外山さんの姿がありました。
週末は病院で
薬の調剤のアルバイトをしているのです。
ハハハッ それもあります。
生活を考えると 本当にこのまま研究者を続けていけるのか→
悩んでいます。
そうですね ただ そこはすごい…
科学立国を目指すつもりが
逆に科学の土台を弱らせてきた日本。
その後 打ち出された国の科学政策も→
必ずしも土台を立て直すことにはつながっていません。
それでは どうぞ。

2015年には 安倍政権が医学分野の活性化をねらって→
日本医療研究開発機構→
通称 AMEDを設立しました。
それまで各省庁は
成果が期待できる医学系の研究に対し→
それぞれの予算から
個別に支援を行っていました。
そのお金を AMEDに一括して
財源を拡大。
有望な研究は
より短期間で成果をあげられるよう→
資金を集中的に投入する仕組みに
改めたのです。
初代理事長を務めた末松 誠さんです。
新たな組織が果たした役割について聞きました。
この時 安倍政権のねらいは
いち早く研究成果を実用につなげ→
医療関連の産業を
育てることにありました。
そこで まず AMEDは
再生医療やがん治療など→
実用化の手前まで進んでいた研究を
集中的に支援。
短期間で成果をあげることに
つながりました。
一方で 若手研究者への支援も
打ち出していましたが→
末松さんは
思うようにはいかなかったといいます。
そうです そうです そうです。

今回のパンデミックで浮き彫りになった科学が土台から揺らいでいるという現実。
しかし その科学に対して
私たちの社会は→
ますます 短期間で成果をあげることを
期待するようになっています。
この先 日本は どう科学を
育てていけばいいのでしょうか。
12月 政府は また
新たな財源を設けて→
科学を支援する計画を