2020/12/26(土) 21:00〜21:50 NHKスペシャル「患者が“命を終えたい”と言ったとき」[字]
♪♪~
弾き始めたのは よく
長谷川さんと一緒に歌っていた曲でした。
♪♪~
大丈夫よ。(泣き声)
頑張っていくしかないかなと
思うんですけどね。
次の日の朝。
苦しむ姿を 家族に見せることなく長谷川さんは 息を引き取りました。
命を終えたい。
その思いが引き起こした 京都の事件。
林 優里さんは アメリカに留学し→
その後 東京の設計会社で働いていました。
9年前に ALSを発症。
全身の筋肉が 徐々に動かなくなり→
食べることができなくなりました。
胃ろうで 栄養をとりながら→
24時間の介護を受けていた林さん。
やがて 人工呼吸器も必要になると言われていました。
その後 目で意思表示することも
できなくなるのではと→
不安を訴えるようになります。
「自分では何ひとつ自分のこともできず。→
惨めだ。
こんな姿で生きたくないよ」。
林さんは 主治医に 繰り返し
延命の中止を求めていました。
しかし 神経難病の場合→
一度つけた胃ろうや人工呼吸器の中止は行われていないのが実情です。
主治医が応じることはありませんでした。
そして 去年11月見ず知らずの2人の医師に→
最期を委ねることになります。
林さんの主治医は取材に対し こう答えています。
患者が 命を終えたいと言ったとき
どんな言葉をかければいいのか。
研修会を開き 全国の医療関係者と共に
考え続けている医師がいます。
荻野美恵子さんです。
大学病院に勤務する荻野さんは→
神経難病の患者 およそ40人の訪問診療も
行っています。
この日 訪ねたのは
4年前に ALSと診断された男性です。
井関 徹さん 58歳です。
病状が進行し 3年前から呼吸を補う器具が必要になりました。
妻の由味子さんが
昼夜を問わず たんの吸引など→
あらゆる介助を行っています。
気管を切開して人工呼吸器をつけるかどうか→
選択する時期を迎えていました。
人工呼吸器をつけなければやがて 呼吸不全に陥ります。
一方 つければ
命をつなぐことができますが→
声を出すなどの意思表示が
難しくなります。
最新の調査では ALSを患う人の
およそ4人に3人が→
人工呼吸器をつけずに
亡くなっています。
井関さんは 一貫して
つける意思はないと伝えていました。
荻野さんは
どちらの選択も促すことなく→
対話を続けていました。
代わりましょうか? 大丈夫?いち にの さん…。
離れて暮らす長男の健太さんが訪れ
家族全員が集まりました。
健太さんは 10月に
結婚式を控えていました。
大学卒業後
大手流通グループに就職した井関さん。
29歳で結婚し
2人の子どもを育てました。
ALSを発症したのは 53歳の時。
単身赴任をしていましたが 早期退職し→
自宅での療養を選びました。
家族を思いながらなぜ延命を望まないのか→
私たちは問いかけました。
井関さんからこの先 負担をかけたくないと聞いた時→
家族は その理由は納得できないと
伝えました。
しかし 生き続けてほしいとまでは
言えませんでした。
いろんなこと考えました。
荻野さんは 井関さんの選択を→
言葉どおりに
受け取ることができずにいました。
患者の本心を見極めようとする荻野さん。
担当していた患者を巡ってつらい経験をしていました。
16年前 40代のALSの男性に→
死なせてほしいと頼まれた母親が人工呼吸器を止める事件が起きたのです。
男性は 別の病院で
人工呼吸器をつけていましたが→
やがて そのことを後悔していると
母親に訴えるようになりました。
荻野さんは 母親に相談されましたが→
人工呼吸器を外すことは難しいと伝えるしかありませんでした。
考えられないっていうか… その~…
(チャイム)
荻野さんは 井関さんに対して→