2020/12/27(日) 04:30〜05:00 イッピン・選「名匠への道 未来へ 輝きはさらに深く〜熊本 肥後象嵌〜」[解][字]


分かりますよね。
はじめまして!

はじめまして!
はじめまして 映美くららと申します。
稲田と申します。
ありがとうございます。
昔の有名な武将が使ってたつばを→
小さくしてみたり
わりと 男性がぐっとくる感じに→
あえて したいなと思って
そんな感じになったんですよ。
稲田さんがこだわる 独特の黒。
これが渋さを出すうえで欠かせないといいます。
(稲田)その方法は…
それを僕が 今 何か こう…
稲田さんが肥後象嵌の職人になった
25年ほど前→
鉄を さびさせるための溶液は→
化学薬品が一般的でした。
でも そうではないものが あったのです。


人間国宝 米光太平さんの つば。
どこか温かみを感じさせる→
赤みがかった黒。
特殊な溶液を使って出したものでした。
米光さんは江戸時代から伝えられた製法で→
その溶液を作っていたのです。
名匠 米光太平さんの黒に感動した稲田さん。
しかし 溶液の作り方を記録した文献は→
なかったといいます。
米光さんを知る
先輩の職人から詳しく聞き出し→
溶液の製法が やっと分かりました。
これだけでは ありません。
最も重要なもの それが この土です。
赤土に含まれる酸化鉄が→
あの色を出す
決め手になるといいます。
溶液は できましたが→
それを どのように使うかまでは分かりません。
試行錯誤を続けること5年。
ついに理想の黒を出す方法に→
たどりつきました。
まず 鉄を溶液の中に直接入れ→
炭火で熱した網の上へ。
その上から 更に溶液を塗っていきます。
乾いたら また液の中へ。
この工程を20回以上 繰り返します。
熱せられた鉄が酸化して
さびると同時に→
赤土の酸化鉄が付着して→

徐々に焦げ茶色になっていきます。
理想は全体的に満遍なく
やっていくんですけど。
用心しながら しっかり こう
様子を見ながら→
ムラが出ないように
サビをのせていくという感じですね。
火加減を見ながら 1時間半→
神経を集中させ続けます。
♪♪~
赤土の酸化鉄は とてもデリケートで→
片ときも目を離せないからです。
頃合いを見計らって…。
表面のサビを削り落としました。
♪♪~
古来の技法を追求する 稲田さん。
でも この黒をきわめるまで→
まだ道は遠いと感じています。
僕が再現性があるものまでちゃんと引き上げた状態で保たないと…→
そこを保たないと
多分 もう なくなってしまうもの。
かつての名匠たちの仕事ぶりが→
稲田さんを刺激し 励まします。
もっと やっぱ 昔の…
僕が…
肥後象嵌ならではの黒。
飽くことなくそれを追い求める稲田さんです。
熊本県北部の玉名市。
肥後象嵌に 新鮮な風を吹き込んでいる→
若手職人が ここに。

♪♪~
(スタッフ)こんにちは~。
(伊藤)こんにちは。
伊藤恵美子さん。 職人になって17年です。
渋さと重厚さが特徴の肥後象嵌ですが→
伊藤さんの作り出すものは→
どれも どことなく西洋風。
伊藤さんの願い。
それは若い女性たちが→
気軽に手にすることができる象嵌。
でも かわいいだけじゃありません。
咲き乱れる花に囲まれて飛ぶ鳥。
直径4センチのペンダントですが→
細かな陰影がつけられ→
鳥も草花も生き生きと見えます。
それには秘密が。
22歳で職人になった伊藤さん。
仕事を覚え始めたころでした。
遠く離れたヨーロッパの国スペインでも→
象嵌が盛んなことを知ります。