なにも 今すぐ ご譲位をせずともと→
思われておられるのでは?
(二条)実澄[外:725B24C5997D38268FD2127520E5B3E8]→
善は急げと申しますぞ。
(実澄)信長殿に聞いておるのじゃ。
本心を明かせられよ。
帝の叡慮がそこにござるなら…。
時を移さず行うべきかとも…。
なるほど…。
(正親町天皇)
関白には やや焦りがあると見える。
(実澄)御意。→
二条関白は将軍 足利家と深いつながりがあり→
何かと有利な立場でござりました。
が 今は その敵である信長につかねば→
全てを失いかねませぬ。
恐れ多くも 帝のご譲位を利用し→
信長を手元に引き寄せたいとの思惑が
あるやに見えまする。
(正親町天皇)信長はどうか?
あの蘭奢待切り取り以来 二条関白と関わりが深くなられたようで→
朝廷のことなど
万事 関白に相談しておる由。
信長は 公家たちの暮らしを助けるために
さまざまな手を打ってくれてはいるが→
関白に近づき過ぎると 足利家と同じ道を
たどることになりかねぬ。
御意。
万葉好みの かの珍しき鳥はいかがいたしておる?
(実澄)明智十兵衛でござりまするか?
信長のことを最も知っている男じゃと女官たちが噂をしておる。
実澄 かの者と話したいと思う。
(実澄)は…。
♪♪~(鼓と笛)
♪♪~
(伊呂波太夫)京 所司代一番のお偉方が
ご家来衆もお連れにならず→
お危のうございません?
鼓の音を久々に聴きたくなった。
もしや 鼓の上手な近衛様が
戻ってきておられぬかと思うてな。
危ない危ない。
今 前久様が京においでと分かれば→
二条関白様が放っておきませぬ。
では まだ丹波においでか。
前久様の妹君は 丹波 黒井城城主
赤井直正殿に嫁がれた。
そこを根城に動いておられるのは
知っている。
それで?
もう一度 お会いしたいのだ。何のために?
太夫には 頼み事ばかりで心苦しいが
ほかに手がない。
ご自分で
丹波へお行きになるおつもりですか?
丹波の国をこの目で見てみたいのだ。
敵ばかりですよ。それゆえ相談している。
無論 礼はする。
礼など不要です。
そのかわり 前久様が京へ戻れるよう
信長様にお頼み頂けませぬか。
今 二条様を押さえられるのは信長様だけ。
十兵衛様から→
強くおっしゃって頂ければ…。
それは難しい。
やれるだけやってみて頂けませぬか。
丹波くんだりで→
近衛家の当主が
苦労しているのを見ると…。
そのことは まず 前久様にお会いしてから
相談しようではないか。
よろしうございます。
丹波の園部までおいで頂ければ→
お目通りを計らいましょう。
私が前久様に話を通しておきます。
園部か。 道の詳しい者はおるか?
丹波の裏道に詳しい者が一人いますよ。
駒ちゃんの所に。
ん?
(菊丸)どうぞ。
(なか)今 私が飲みたいと思うていたのはこれなのよ!
先生 うちにもこういう人が欲しいのよ。
どこで見つけてきたの?
(望月東庵)ハッハッハッハ…。
見つけたわけではございません。→
ブンブンのように
勝手に飛び込んできたのです。
はい 私はブンブンでございます。
ブ~ン ブ~ン。
アハハハハッ! 面白い! ハハハッ!
はい ご苦労さん。
お頼み申す。
十兵衛様!ハッハッハッハ!
菊丸! まさか
ここにいるとは思わなかったぞ。
太夫に聞いて驚いた!
申し訳ござりませぬ。
ご挨拶に伺わねばと思うていたのですが
とてもお偉い方になられていたので→
恐れ多くて…!