ハハッ 何を申しておる。
わしは どこまでも十兵衛ぞ。
太夫から聞いてくれたであろう。また一緒に旅をしよう。
はい! 丹波の園部まで。
うむ。駒さんが 向こうにおいでです。
お話しなさいますか?
ここにおれ。
うむ。
御免。
商いは繁盛と聞いておる。
変わりはないか?
(駒)何も変わりはありませんが
菊丸さんが来てくれて→
万 はかどりました。
それは よかった。
(駒)先日 枇杷庄へ行き
公方様にお会いしてきました。
(駒)とてもさみしい所で…
お会いした時 涙ぐまれて→
私も泣いてしまって…。
必ず また京へ戻ると…諸国の大名たちと力を合わせ→
信長様を倒すと…
そのあとも 戦の話ばかりで…。
≪(菊丸)あの~ 明日
丹波に一緒に行ってくれる芳三さんが→
亀山で薬を置いてくる寺の名を
確かめたいと言ってきてるのですが…。
(駒)すぐ 終わりますから。
菊丸さん 入ってきて下さい。
(駒)大村から亀山への帰り道にある
お寺のことだと思うの。→
言いますよ。 観音寺と蓮光寺です。
はい。
余部への帰り道に寄る寺は…。
(町衆姿の男)これを。
♪♪~
芳三に渡してきます。
♪♪~
丹波は 反信長勢力の国衆が あまたおり園部は その中心であった。
♪♪~
ここまで来れば大丈夫だ。大変世話になった。 かたじけない。
どうぞ お気を付けて。
うむ。
ああ 一つ尋ねたい。
はっ。
そなたは
この丹波の国に詳しいようだが→
この国で私の話に耳を傾けてくれそうな
有力な国衆は誰だと思う?
丹波は 難しい国でございます。
船井の小畠永明様なら あるいは…。
やはり そうか。
フッ… さすがに詳しいのう 菊丸。
分かった。 かたじけない。
(鼓の音)
(鼓の音)
(近衛前久)どうじゃ?ハッハッハ…。
いや まことにお見事でございます。
この国は退屈なのじゃ。鼓を打つしか すべがない。
しかし そなたが参ると聞いて
いささか光明が見えた。
信長がいよいよ
この丹波に攻め寄せるのじゃな?
戦をするかどうかは まだ何とも…→
その前にお聞きしておきたき儀がございまして。
ん?
近衛様は 二条様に追われ→
幕府に追われ 一向宗本山 本願寺に
助けを求められた。
その一向宗が 幕府と信長様と戦に及ぶと
その一味に加わり→
その流れで この丹波に来られた。
しかと間違いはございませぬな?
今後 前久様は
どちらの側につかれるおつもりなのか→
それをお聞かせ願いたいのです。
そもそも私は信長のごとき武将が好きなのじゃ。
何の因果か 信長が二条と手を結んだゆえ
かかる仕儀と相成った。
しかし 既に幕府は消え
二条も落ち目と聞く。
この際 信長につかずして誰につく。
喜んで そなたとこうして会うておるのじゃ。
私にできることなら 何でも手伝う所存ぞ。
♪♪~
では まず 船井荘の小畠永明様に→
会わせて頂けませぬか?(前久)小畠?
あれは さほどの力はないぞ。
会って話を聞いてみたいのです。
丹波の民が 何を望んでいるのか。
幕府への年貢は どのように集められ→
争いのもとは 金か領地か。
川の氾濫も多い所と聞いております。
治水は どうなっているのか
我らがそれに どう手を差し伸べれば→
争いが収まるのか…。
(前久)その志は結構なれど丹波は都に接した国ゆえ→
朝廷や幕府や
それに連なる諸大名らの腐れ縁があり→
利害も複雑に絡んでおる。 これを