この森の奥には人間など一人もいない。
誰もが そう信じていた。
だが ある日…。
うわさや 伝説にすぎなかった
素っ裸の人間が→
突如 姿を現したのだ。
弓矢を持っている。
こちら側に向けて 威嚇する。
裸の男たちは イゾラドと呼ばれる→
文明社会と一度も
接触した事のない先住民だった。
♪♪~
イゾラドが現れたという源流域は→
河口から
5,000キロのかなたにあった。
人間や文明が遡っていった川の道。
私たちはその果てに向かっていた。
イゾラドが現れたのは この川を
更に3日遡った所だという。
私たちは
ペルー政府と交渉を重ね→
調査団に同行する許可を得た。
そして 専門家や武装警官と共に→
奥地を目指した。
(猿を呼ぶ声)
猿だ。
(鳴き声)
20年ほど前まで
集落が一つもなかった源流域は→
動物の姿が濃い。
この年 その源流域では→
イゾラドの目撃情報が
相次いでいた。
イゾラドとは 文明社会と接触した
事のない先住民をいうが→
これほどの目撃例は→
記録をたどっても過去100年 一度もない。
調査団が向かったのは→
実に7回もの目撃が報告されていた→
モンテ・サルバードだった。
モンテ・サルバードは アマゾンでも最も上流にある集落の一つだ。
20年ほど前に開拓された集落には
10家族→
100人の先住民が暮らしている。
イゾラドが現れて以来 政府はここに監視所を置いていた。
集落で ただ一つ
壁があり 鍵がかかる小屋だった。
イゾラドのものだという
弓矢が保管されていた。
集落には 森でイゾラドに遭遇し
弓矢で襲われた青年もいた。
奇跡的に一命は取り留めたが→
胃のほとんどと腎臓の一部を失った。
その 森で青年を襲ったイゾラドが→
ある日 川の向こうからこちらに向かってきた。
集落は パニックとなった。
若い女性と子ども全員が→
鍵のかかる監視所へと逃げ込んだ。
集落のリーダーは 家々からバナナをかき集め 贈る事にした。
敵ではない事を
伝えようとしたのだ。
イゾラドが弓矢を置いた。
しかし 腰巻き以外何も身につけてない男たちが→
川を渡って 近づいてくる。
虫よけの木の実でも塗りつけたのか。
顔が
赤や黄色に見える男たちもいる。
そして
川の真ん中で足を止めると→
こちら側を 盛んに指さし始めた。
集落の人が 笛を吹いて見せる。
(笛の音)
イゾラドも 何かを取り出し 応える。
(笛の音)
動物のまねをすると彼らもまねをする。
(笛の音)
しばらくしてバナナを載せたカヌーが届けられる。
(笛の音)
イゾラドの一人がこちらに向かって何かを掲げ→
カヌーの中に入れる。
長さ 30センチほどの木。
イゾラドが使うナイフで
返礼の品のようだった。
この接触の後 今度は 家族を
連れてやって来るようになった。
その数 115人。
モンテ・サルバードの住民より多いイゾラドの大集団だった。
野性的な顔だち 長い髪。
ペルーでは 姿を見せたイゾラドの事をマシュコピーロと呼んだ。
凶暴で野蛮な人間という意味だ。
さまざまな言葉を投げかけると→
マシュコピーロが
反応を示す言葉があった。
集落の人たちが話す
先住民の言葉が→
一部 通じる事が分かった。
(動物の鳴きまねの声)
バナナを渡し 少しの会話を試みる。
集落の人たちとマシュコピーロとの不思議な関係が続いた。
(雨の音)