成長することとなります。
舞台は 紀伊半島
世界遺産の熊野地方です。
この深い山の中に→
当時の激動を 今に伝える絶景がたくさん残されています。
国の天然記念物 古座川の一枚岩。
高さ150m 幅500m。
地上に現れている一つの岩としては
日本最大です。
1,400万年前に出来た この岩。
実は 西日本の成長を物語る痕跡です。
熊野地方には
こうした巨大な岩がたくさんあります。
日本一の落差を誇る 那智の滝。
これも一塊の岩。
出来た年代は 古座川の一枚岩と同じです。
古来 人々は こうした熊野の巨石に神々の存在を感じてきました。
神倉山。 1,000年以上続く
熊野信仰の中心の一つです。
その御神体は ゴトビキ岩です。
毎年2月 ゴトビキ岩を中心に行われる日本最古の火祭り。
岩の前でおこした火を家に持ち帰り
一年の無病息災を祈ります。
熊野地方に点々と残る巨石の場所を
地図に書き込んでみると…。
くっきりと半円が
浮かび上がってきます。
実は 巨石が並ぶ この半円こそ→
西日本を成長させた激動を教えてくれるのです。
地質学者の三浦大助さんは→
その激動を 20年以上にわたり追い続けてきました。
注目したのは
あの巨大な古座川の一枚岩です。
岩石の成分を分析してみると
特徴的な岩だと分かりました。
ガラス質の粒が見えます。
マグマが 地上に噴き出す寸前で固まると出来る岩石です。
この火砕岩が
あの半円に沿って並んでいることから→
三浦さんは かつて紀伊半島で
とてつもない大噴火が起こったと→
結論づけました。
カルデラ噴火とは→
地下にたまった
膨大な量のマグマが噴出して→
その上の地盤が陥没する 巨大噴火です。
噴き出す溶岩や 火山灰の量は→
通常の噴火の数千倍以上にもなります。
紀伊半島で起きた地球史上 最大規模のカルデラ噴火。
その激動を ジオルーペで目撃しましょう。
今から1,400万年前。ジオ・カレンダーの7月。
紀伊半島は まだ凹凸の少ない低地で→
巨大なゾウの祖先やワニの仲間などが暮らしていました。
ある日 平和な世界が一変します。
(地響きの音)
(鳴き声)
巨大カルデラ噴火の始まりです。
大地が切り裂かれ
噴煙が連続して立ち上ります。
南北40kmもある
巨大な半円の火口からマグマが噴出。
ついに 大地が陥没しました。
地下のマグマが更に押し出され噴出します。
噴火が収まったあとには
膨大な火山灰が積もり→
当時の紀伊半島と
その周辺の大地を成長させていました。
そして
半円の火口に残った赤いマグマは→
やがて 冷えて固まり
硬い岩となりました。
その後 雨や風によって
もろい噴出物が削られていきます。
長い時を経て 硬い岩だけが残りました。
それこそが あの 古座川の一枚岩。
そして 熊野地方に点在する
数々の巨石です。
巨石が並んでいた
不思議な半円は→
まさに カルデラ噴火の火口
そのものだったのです。
最新の研究によれば
1,400万年前のほぼ同じ時期に→
西日本の広い範囲で
巨大カルデラ噴火が→
多発したことが分かってきました。
原因はフィリピン海プレートにあります。
当時 表面は 1,000度を超える高温に
なっていました。
そのプレートが
西日本の下に沈み込み→
地下で
膨大なマグマが発生。
次々と
巨大カルデラ噴火をもたらしたのです。
超巨大噴火の膨大な噴出物が大地を広げ→
西日本は どんどん成長していきました。
ジオ・カレンダーの7月。
西日本を見舞った大激動でした。
その後 東日本でも