2021/01/01(金) 19:20〜20:33 NHKスペシャル「三千万年の旅 列島誕生ジオ・ジャパン」[字]


2つの巨大な噴火の痕跡。
原山さんは 各地に残る証拠から→
北アルプスでは かつて巨大カルデラ噴火が起こり→
それが激しく隆起したと
結論づけました。
そして 世界を驚かせる
大胆な仮説を唱えたのです。
なんと 原山さんが思い描くのは
高さ1万mの幻の火山。
この噴気も



その余熱によるものです。
そして 原山さんは→
幻の巨大火山の更なる痕跡を見つけたのです。
ここは槍ヶ岳を見渡す展望台。
指さすのは 火山灰が積もった地層です。
画面の左から右へ
20度傾いています。
更に爺ヶ岳では 火山灰の地層が
より大きく傾いていました。
爺ヶ岳の山頂 標高2,600m付近では→
もともと水平に積もっていたはずの地層が→
全て垂直に立っているのです。
この大規模な地層の傾きから原山さんは→
カルデラ火山そのものが
直立したと考えました。
原山さんがイメージするのは
こんな風景です。
地層が20度傾いた槍ヶ岳。
爺ヶ岳は カルデラが垂直に立った高さ1万mの巨大火山。
こうした姿が
原山さんには見えるというのです。
そんなことが本当に起こるのか?
原山さんの説を裏付けるように→
300万年前から 日本列島には巨大な力が
かかり始めたことが分かってきました。
原山さんの研究仲間の高橋雅紀さん。
各地の調査やデータから 300万年前→
日本列島の運命を変えた出来事が
起きたと考えています。
日本の太平洋沖で接し

互いに影響を及ぼし合う→
3枚のプレート。
注目したのは フィリピン海プレートです。
フィリピン海プレートは 当初→
日本列島に対し北向きに沈み込んでいました。
ところが 300万年前
地下で太平洋プレートにぶつかり…。
進路を北西に変えたというのです。
これが何を起こすのか?
高橋さんは
実際のプレートと同じ形の模型を作り→
試行錯誤を繰り返しました。
そして一つの答えにたどりつきました。
フィリピン海プレートの進路を
北西に変えたところ…。
なんと フィリピン海プレートを追いかけるように→
太平洋プレートの沈み込むラインが→
日本列島へと接近していきました。
この時 何が起こるのかは簡単な方法で分かるといいます。
もともと平らな大地ですが…。
押されて盛り上がり 山となりました。
高橋さんの計算によると
300万年前から現在までの間に→
太平洋プレートの沈み込むラインは→
30km 日本列島に近づきました。
突然 日本列島を東から西へと押し始めた
この強い力は→
東西圧縮と呼ばれています。
東日本を中心に列島には 猛烈な圧力がかかり→
平らな大地を変身させたのです。

そして この東西圧縮こそが→
北アルプスに幻の巨大火山を生んだ
パワーの源だと考えられます。
さあ ジオルーペで 原山さんが思い描く→
北アルプス誕生のドラマを目撃しましょう。
およそ300万年前
ジオ・カレンダーの11月24日を境に→
爺ヶ岳や 槍穂高連峰で
巨大カルデラ噴火が次々と起こりました。
噴火が終わっても 地下には→
冷え切っていない軟らかいマグマだまりが残りました。
その軟らかい大地が
東西圧縮によって西向きに押され…。
こらえ切れず 山の西側が裂けます。
裂け目で滑り始めてカルデラが立ち上がっていきます。
槍穂高は20度傾き 爺ヶ岳は直立。
直径10kmの爺ヶ岳カルデラは高さ1万mに。
まさに 幻の絶景。
しかし…。
実際には
1万mになることはありませんでした。
高くなる度に
風雨によって浸食されていきます。
そして 硬く とがった岩だけが残り…。
北アルプス特有の岩の殿堂が生まれました。
北アルプスを中心とする
日本の屋根誕生への大激動。
ジオ・カレンダー
12月19日の出来事でした。
北アルプスだけでなく