2021/01/06(水) 12:00〜12:25 100分de名著 マルクス“資本論”[新](1)「“商品”に振り回される私たち」[解][字]


わざわざ こんな分厚いし→
難しそうな本を読む価値 あるのかなと

思われるかもしれないんですけれども→
当時の社会も 今の社会も
金儲けのシステムなんです。
金儲けを 一番優先するシステム。
でも その結果として格差が 例えば広がったりだとか→
過労死をするような働き方が
広まったりだとか→
更にいうと 環境問題が
どんどん悪化したりしていると。
マルクスは まさに そういう問題を
実は解決しようと→
この「資本論」という本を書いた。
いわば 実践の書がこの「資本論」なんですね。
確かに
自分も ぼんやり生きてますけども→
この 何か 目の前の金つかみ競争
みたいなことが生み出してる→
何か 不安みたいなものはあるな


っていうのは すごくよく分かるんですよ。
ちょっと一旦 止まろうぜ
この金つかみ競争 止まらないと→
その先に 崖がありそうだぞ
っていうのまでは 何かあるよね。
はい。 やっぱり最近
異常気象なんかも多いですしね。
そうだよね。
身近で感じますよね。
多分 異常気象だから 一旦…
一旦 止まろうぜって言っても→
その隙に 誰かが金を儲ける可能性がある
っていうことに びびり続けてるっていう。
うんうん そうです。
そこの答えが この中にあるんならそれは知りたいです。
じゃあ 読んでいきますけれど。
はい。
まず 押さえておきたい
概念があるそうなんですね。
この 「物質代謝論」。
これ斎藤さん どういう概念どういう意味なんでしょうか。
ありとあらゆる この地球上で生きている
生命を持ってる生物たちが→
呼吸とか 何か
ものを食べたりとかっていうのは→
自然に働きかけて それを摂取して
消化して 別のものとして排泄する。
そういう循環の過程を マルクスは→
「物質代謝」というふうに呼んでるんですけれども。
これのバランスが非常に悪いというのは

いくら無知な自分でも よく分かるので。
今の人間っていうのは
森林を 同時に バンバン切り開いたり→
地底に埋まってる化石燃料を
どんどん掘り出して…。
そういうことを やっていくと→
人間と自然の関係っていうのはどんどん変わってしまって→
最終的には 気候変動とか ダメージは
人間に返ってきちゃうんですよね。
だって 人間も自然の一部なので。
そういう矛盾を考えていこうとする概念がこの「物質代謝」。
すごいですね。
割と 最新の問題にも当てはまる概念を→
150年前に
もう書いているっていうことですね。
そういうのも
全部 循環なんだよというのを→
マルクスは教えてくれる。
それが この概念ですね。
すごいですね。 では いよいよ
「資本論」 読んでいきましょう。
朗読は 俳優の岡山天音さんです。
人と自然との循環 物質代謝。
その中で
人に特有の関わり方があります。
「労働」です。
野生動物は おなかがすいていたら→
目の前の木の実を すぐ食べてしまいます。
しかし 人は 「もう少し熟してから」とか→
「来年も収穫できるように世話をする」など

意識的な労働で 自然へ働きかけます。
そして 労働が生み出すのは 「商品」です。
「資本論」の冒頭は商品に関する一文から始まります。
朗読で出てきた
これ 冒頭部分ですね。
冒頭は この 商品の分析から→
考察が始まるということなんですけれども→
斎藤さん これ どういうことですか?
普通に読むと まあ要するに「商品の分析」を→
これから していくよっていう
文章なんですけれども→
実は もうちょっと注意深く見てみると
主語は 「社会の富」なんですよ。
資本主義においては
「社会の富」は 商品として現れる。
でも じゃあ裏を返せば
資本主義じゃなければ→
「社会の富」は商品として現れなかったよね
というふうにも読めますよね。
そうですね うん。