(清子)このまま
客の数が減り続けるみたいやったら→
山村千鳥一座は 今月で打ち切るて。
≪(清子)私に一つ考えがあります。
(清子)「正チャンの冒険」って漫画です。
子供も 大人も→
今まで うちに来てくれへんかった
お客さんが集まるんやないかと。→
台本も書いてみました。
(千鳥)図に乗るんじゃない!
堪忍してね。
ほかのみんなには今の話 せんといてな。
不安になると ええ芝居できへんさかい。
あんたも 座長に口答えはあかんで。
≪(戸の開閉音)
♪♪「オレンジのクレヨンで描いた太陽だけじゃ」
♪♪「まだ何か足りない気がした」
♪♪「これは夢じゃない(夢みたい)」
♪♪「傷つけば痛い(嘘じゃない)」
♪♪「どんな今日も愛したいのにな」
♪♪「笑顔をあきらめたくないよ」
♪♪「転んでも ただでは起きない」
♪♪「そう 強くなれる」
♪♪「かさぶたが消えたなら」
♪♪「聞いてくれるといいな」
♪♪「泣き笑いのエピソードを」
♪♪~
(呼び鈴)(千鳥)何してんの稽古行くわよ 支度して!
(千代)あの これ…。
ああ…。
必要ないから
もう そのまま捨てといて。
ちょっことくらい
見てあげてもええのと違いますか?
こない いろいろ考えてくれてはんのに…。
清子さんとは 長いこと一緒にやってきはった お仲間なんだすよね?
これ 見てあげておくれやす!
私は私のやりたい芝居をする。
そんな 客に こびを売るような
子供だましの芝居 へどが出る!
あなたも もう来なくていいから。
我慢して一緒にいられたってこっちが不愉快になるわ。
さっさと出ていきなさい!
そやな。 ほな そないさしてもらいます。
何が山村千鳥一座や。
昔 ちょっこと活動出てたんかどうか知らんけど→
今 あんたのことなんか
だ~れも知らんわ!
お稽古で
大概 偉そうなこと言うてはったけど→
ご自分は ちょっことも
お稽古しはりませんやん。
うちは みんなが楽しいと思えるお芝居が
やりたいんだす。
自分のことしか考えてへんお人に
そないな芝居 作られしまへんわな。
大好きなお芝居を あんたみたいな人から
学びとうあれしまへん!
短い間だしたけど お世話になりました。
いや お世話しました~!
≪(戸が開く音)
…って つい言うてしもた。
(宮元)そうかそうか。
真理ちゃん 堪忍やで。せっかく教えてくれたのに。
(真理)なあん つかえんよ。
謝ることないちゃ。
そうかそうか。 ブフッ…。
何で そないに うれしそうやの?
えっ そんなことないで。
(真理)平田さんと賭けとったがやと。
千代ちゃんが 辞めるか辞めんか。
何や うちが辞める方に賭けてたん?
平田が辞めへん方に賭けるって言うから
僕は辞める方にせな 賭けにならん。
ほんま しゃあない人やな。
あっ ええとこに来た お前。
平田さん すんまへん
期待裏切ってしもた。
(平田)そないなことより 千代ちゃん。
そないなことってあっ お前 ごまかす気やろ。
お客さんや。
清子さん。
こんばんは。
あのあと辞めたって聞いてびっくりしたわ。
すんまへん。 あれほど
口答えはあかん言われてたのに。
堪忍な。 私のために
こないなことになってしもて。
ええんだす。
どうせ時間の問題やったさかい。
清子さん よう あないな人と
10年近うも一緒にいてはりますなあ。
ああ~!
あいつ ほんま しょうもないで!
すぐ怒鳴るし 口悪いし
もの投げるし わがままやし。
清子さん?
性根ねじ曲がってるし ババアやし→
化粧濃いし ババアやし!
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