ええっ！
あかん…　何が何やら　よう分かれへん。

これから女給として頑張ろ思た時に「女優になれへんか」て。
そない　やすやすと
女優になれるはずあれへん。
そら　女給よりは女優の方が…→
女優よりは女給の方が…。
女優で女給の…。
女優！？女優！ゆっ！？
結局　千代ちゃんは→
やるとも　やれへんとも返事をできませんでした。
頼むちゃ　千代ちゃん。
私と代わってま。
そないに女優になりたいの？
有名になったらあ家出した故郷の家族も見返せるしぃ。
家族…。
堂々と胸張って会いに行くがやちゃ。
うちな　行方知れずの弟がいてんねん。
もし　うちが有名になったら→
会いに来てくれるかも分かれへん。


そうなるかもしれんちゃあ。
うち　やってみるわ。
おおきに　真理ちゃん。
ところが…。
どないしてん。
昨日　逮捕されたて…。
え～！　詐欺師やったんかいな！
（洋子）遅なって　すんません。
一方　女優の採用試験を受けた真理ちゃんと洋子さんは…。
で　どやった？
合格したがやちゃ～！はあ～！
ほんまかいな？
私は少ししか出番ないけど→
洋子さんは　ちゃんと
セリフのある役ながいぜ！
（水田）すごいやないか。　２人とも…。
洋子さん　真理ちゃん…。
堪忍だす。
どうしたがけ？
何や　うち　心から　お祝いできへんねん。
おめでとうより先に悔しいが来てしまいますねん。
うちは　だまされたのに
あんたらばっかり何でやて…。
小さい頃　奉公に出て
つろうて　さみしいて→
そないな時　いつもお芝居があったんだす。
うちは　お芝居が大好きや。
うちが元気貰たみたいに
今度は　うちが誰かの力になりたい。
せやさかい　女優になりたい。

いや　なります。
そう言うて
映画の撮影所にやって来た千代ちゃん。
一体　何するつもりなん？
（守屋）ちょちょちょちょちょちょ　ちょっと待て。あんた　勝手に何してんねんな。
偉い人て　どこにいてはります？
はよ出ていって…。
ええやんか　ちょっこと中入るくらい。
追い返されるに決まってるやないか。偉い人に頼み込んで→
試験受けさしてもらお思て。
（笑い声）
（宮元）おかしい！　あかん！　おかしい！
何のツテもない千代ちゃんは→
撮影所の入所試験を受けようと
あらゆる手を尽くしましたが→
そう簡単にはいきませんでした。
（真理）千代ちゃん。そんな中　真理ちゃんが→
座員募集のチラシを見つけてきて…。
山村千鳥一座…。
（宮元）
懐かしい名やな～。　東京の女優さんや。
４～５年前まではな
活動写真も　ちょこちょこ出てた。
早速　採用試験を受けることに。
（千鳥）さっさと　おやんなさい。
やるの　やらないの！？
＜この人　何で　こないに怒ってはんねやろ…＞
やります。
お願いと申しますのは→
ただ　お目通りさえ　かないますれば…。

（清子）＜この子…＞
（千鳥）＜ひどすぎる…＞
たった一つ　生きがいの…。
もういい～！
何なの　足元ばっかり見て。
裾に　ちょっこと綻びが…。
繕いまひょか？
お黙んなさい！
清子！
明日８時。
おめでとう　合格や。
翌朝　千鳥さんの家を訪ねた
千代ちゃんですが…→
合格したんは役者と違て　身の回りの
世話をさせるためやったんやて…。
やること　みんな済まして
時間が空いた時には→
お稽古してもらわれしまへんやろか。
私は毎日　少なくとも８時間は寝ることにしてますから→
それ以外の時間でね。