(銃声)
本願寺は毛利や上杉などと手を結び
反信長勢の中心であった。
信長と本願寺の戦いは
7年余りにも及び→
この戦のさなか 参戦していた松永久秀が
突如 陣から逃亡を図り→
織田家中に衝撃を与えた。
♪♪~
(セミの声)
♪♪~
(たま)父上は
母上がお亡くなりになった折→
皆に内緒で 母上の爪の切れ端を
小さな入れ物の中に収めて→
それを今も
大事に持ち歩いておられるのです。→
それを耳の所で こうやって振ると 爪が
かわいらしい音を立てるのだそうです。
(駒)そう。
お父上は そんなお話までなさるのですか。
以前は無口な父上だったのに…
母上がお亡くなりになってから→
いろいろ
話しかけてきて下さるようになって…。
そう お駒さんの話も時折出ますよ。
美濃にいらした頃のこと…。
へえ~ どんなことをおっしゃいます?
内緒。あら!
(笑い声)
(明智十兵衛光秀)女子同士で何の密談かな?
今日も薬の話を申し上げておりました。
うむ。
たまが 駒殿から薬のことを学びたいと
言いだした時は→
どこまで本気かと疑うたが…。
覚えるのが それはお早くて十兵衛様の腹痛ぐらいでしたら→
もう立派に調合おできになると
思いますよ。ほほう!
それはありがたい。 では
たまを医者にして 長生きするとしよう。
お任せ下さりませ!
申したな!
(笑い声)
こちらへ参る時 太夫が来て十兵衛様の所へ行くのなら→
これを届けてほしいと頼まれました。
ゆっくりしていかれるがよい。
おお… これは実澄[外:725B24C5997D38268FD2127520E5B3E8]。
(三条西実澄)明智殿 その後 お変わりはないか。
はっ。 戦に追われ
歌を詠む間もないありさまにて。
まことにお恥ずかしき限りでございます。
そなたを中で待つ御仁も同じことを申しておった。
いつまでたっても戦が絶えぬ。
目が回ると。
は…。
(実澄)そうじゃ。
お上が 一度そなたと話をしてみたいと
仰せになっておる。
帝が?
信長殿の行く末を案じておるのじゃ。→
では また…。
(松永久秀)よっ! 来たな。
(伊呂波太夫)どうぞ こちらへ。→
今 三条西のじい様が出ていかれたでしょ。お会いになりました?
いいから座れ。 おい…。
(松永)あのじい様とは長いつきあいでな。
死んだ女房が何かと世話になっておった。
京へ来る度に 昔話をするのだ。ハッハッハッハ…。
私も酒を頂こう。
おや お飲みになるのですか?
フフッ… 珍しい。
時折 飲んでは わしに絡むのじゃ。フッフッフッフ…。
今日は飲みます! 飲まずにはおられぬ!
ふたつき前加賀で戦をしていた羽柴秀吉殿が→
総大将の柴田勝家殿と
大げんかをしたあげく→
勝手に陣を捨て 近江へ帰り
大騒ぎとなった。
理由はどうあれ 戦のさなかに
陣を抜け出す者は死罪と決まっておる。
信長様も 秀吉殿に切腹をさせると
大層なお怒りで→
家臣一同 ひたすらとりなし
ようやくお許しを頂いた。
それは松永様もご存じのはず!
わしには秀吉の気持ちがよう分かる。
あの無能な柴田勝家が
総大将になれたのは→
織田家の代々続く重臣の家柄だからだ。
非は 謙信相手に柴田ごときを総大将にした信長殿にある!
それは…!
(松永)信長殿は→
家柄筋目にこだわらず よう働く者を
お取り立てになるという評判じゃ。
だが 実は違う。
わしがおる大和もそうじゃ。
守護の原田直政が討ち死にした。
次の守護は 当然 わしかと思うていたが信長殿は即座に筒井順慶に決められた。
筒井が