2021/01/10(日) 20:00〜20:45 麒麟(きりん)がくる(40)「松永久秀の平蜘蛛(ひらぐも)」[解][字][デ]
押せ 押せ~!
(喚声)
♪♪~
よいか。
わしの首をこの箱に入れ名物と共に焼き払え。
(一同)はっ!
げに 何事も一炊の夢。
♪♪~
ううっ! うううっ…。
あああああ…!
ううっ!
あああああ~!
南無三宝!
(信忠)エイエイ。
(一同)オ~!
(信忠)エイエイ。
(一同)オ~!
(一同)エイエイ オ~!
エイエイ オ~!
(泣き声)
(織田家若侍)明智様がお見えでございます。
帰蝶様。
お久しうございます。
(帰蝶)久しいのう。→
そなたの噂は よう聞いておる。戦続きで難儀をしている由。
恐れ入りまする。
殿は?
(帰蝶)向こうの部屋で泣いておられる。
は?
(帰蝶)近頃 時折お泣きになるのじゃ。
こたびの理由は何であろう。
松永殿の死を悼んでおられるのか。
松永殿のあまたの名品がこのありさまになったことを→
嘆いておられるのか…。
このごろ 殿のお気持ちが私にも よう分からぬ。
帰蝶様がお分かりにならぬのなら
誰にも分かりませぬな。
(帰蝶)殿は
何かを怖がっておられるように見える。
怖い?
駿河の国に富士という日の本一の高い山がある。
高い山には神仏が宿り そこへ登った者は
たたりを受けるそうじゃ。
殿は 朝廷より右大将の官職を賜った。
足利将軍と同じ身分になられた。
天下一高い山じゃ。
ここまで登り詰めるとはゆめゆめ 思わなんだ。
登れ登れとけしかけた私も
殿と一緒に たたりを受けるやもしれぬ。
けしかけたのは 私も同様。
共に たたりを受けなければなりませぬな。
(帰蝶)殿は
それを恐れてお泣きになるのかも…。
私は少々疲れた。
(帰蝶)この城は石段が多すぎる。→
殿は天にも届く立派な城を
お造りになろうとしているが→
上がるのに息が切れる。→
近頃は 戦の度に親しい者が大勢消えてゆく。
私は そろそろ
この山を下りようと思うのじゃ。→
美濃の鷺山の麓に
昔いた 小さな館がある。→
そこで暮らしてみようかと…。
帰蝶様…。
戦が終わって 穏やかな世になったら
遊びにおいでなされ。
渋くて おいしい茶を一緒に飲もう。→
約束じゃぞ。
♪♪~
(織田信長)佐久間信盛は役立たずじゃ。
松永の茶道具を無傷で持ち帰れと
命じておいたのに このざまじゃ。
申し訳ございませぬ。 お下知は
佐久間殿より聞き及んでおりましたが→
すぐ城に火の手が上がり
手のつけようがなく…。
そなたを責めてはおらぬ。
わしは佐久間に命じたのだ。
(帰蝶)では 私はこれにて。
十兵衛との話は済んだのか。
はい。
わしを見捨てて鷺山へ行くという話はしたのか。
いたしました。
わしは その話を昨日聞いたのじゃ。
帰蝶がいなければ 何かの折→
わしは誰と相談してやっていけばいいのだと問うたら→
十兵衛に相談すればよいと
そっけない答えじゃ。
どう思う。
弱りましたな。
わしがか? そなたがか?
殿も 私も…。
では…。
(せきばらい)
忙しい中 わざわざ来てもろうたのは
2つ用件があるからじゃ。
はっ。
そなた 松永が所持していた天下の名物平蜘蛛という釜を存じているな?
は…。