2021/01/11(月) 01:20〜01:50 JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス[字]


手紙が来たんです
「拝復 旅先で」
「こんな学生みたいな紙の手紙でお許しください」
っていうのは これは
こういうルーズリーフじゃないですかね
あるいは これ破いて

こういうノートがありますけど
これを 旅先で
破いてくださったんですね
だから 「こんな旅先で
こんな学生みたいな紙の手紙で」
「お許しください」って
最初に書いてありまして
「一度 田中さんの小生に関する
ご文書を拝見してから」
「是非 解説を
お願いしたいと思って」
「新潮社に申し入れ」
「だんだん ずうずうしく二冊もお願いしてしまいました」
「どうしても あなたのような」
「真のリズールのご解説をいただきたかったのです」
「いつか
お目にかかる日を楽しみに」
「早々 三島由紀夫
8月7日 田中美代子様」です→
やっぱり感激しましたよ→
これ以上の手紙ないじゃないですか
<三島由紀夫の死について>
<50年間 田中美代子さんは考えていることがあります>
私 川端さんのことを


考えるんですよね
川端文学っていうのを
三島由紀夫が初めに知り合ったときに
もう とても感激しちゃって
わざわざ訪ねて行って
そのままずっと
一生続けて交際をしていて
で 常に
お互いの作品を批評し合ったり
それでね 私はすばらしいことだなと思ったんですね
川端さんをうらやましく思ったし
そしたら
よくよく見てみるとね
お互いの往復書簡っていうのを
見てみると
微妙に だんだん
関係が変わってくる
それが ちょうど昭和20年代は
非常に心酔して
常に色んな
賛美の言葉を捧げてる→
だけど 次第に
相手の正体というとあれだけど→
相手の性格の裏側
っていうのが見えてきて→
うまく隠して
賛辞になっているんだな→
っていうのが
よく分かってくるようになって
<ノーベル賞をめぐり

2人の関係が微妙になります>
みんな 第一人者は
三島由紀夫だっていうふうに言うし→
ノーベル賞が発表されるまで みんな
そう思ってたんだと思うんですね
(田中)で 後で聞くと
確かに川端さんは→
わざわざ
頼みに行ったんだそうですよね→
私は初めは 単なる手紙だけかと
思ったんだけど→
ちゃんと
君は まだ若いんだから→
これから
いくらでも もらえるから→
今回はね 僕の方にくれとか
頼みに行ったみたいよ→
推薦文にして書いて
出してあげた
ものすごく 強力なね
推薦者になってるんだけどそれは とんでもないことで
お前がくれる…
もらうノーベル賞は
俺によこせって言ってるのと
同じじゃないですか
まあ 他にも
資格のある人は何人もおりましょうけどね
例えば 三島由紀夫君は
若すぎるなんていうことで
こっちに回ってきた

いうことはあるんでしょう
(田中)
楯の会のパレードを断って以降→
関係が もう悪化したみたい→
三島由紀夫は周り中からバッシングを受けて→
その時 もらったばかりの
ノーベル賞をもらった川端さんが→
それについて 一言でもね
例えばパレードのときに挨拶→
まあ ちょっとの間ですよね