働きすぎが引き起こす悲劇 「過労死」。
誰もが 被害者にも加害者にもなりうる
社会のメカニズムを→
マルクスは 「資本論」で描いていました。
「100分de名著」「資本論」。
労働者を死に追いやる原因を
資本主義の構造に見いだします。
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(テーマ音楽)
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「100分de名著」 司会の安部みちこです。伊集院 光です。
今月は
マルクスの「資本論」を読んでいます。
経済学の本で難しいと思いましたけど
結構 身近な問題と密接ですよね。
そうですね。 何か 最近こう
ちょっと感じてた疑問みたいなものと→
すごくリンクすることもあって
ちょっと興味深く 参加しております。
指南役は 経済思想家の斎藤幸平さんです。
よろしくお願いします。
お願いします。
よろしくお願いします。
今回は どのような話になりますか?
はい 今回のテーマはズバリ 「労働」です。
どうして我々は
こんなに働いているのか。
これだけ技術も発達して
我々 豊かになってるのに→
過労死のような問題が
なくならないのかということを→
マルクスを使いながら 考えていきたいな
というふうに思います。
労働問題も
いろいろ あると思うんですけれど→
まずは
どういったことから見ていきますか?
そうですね
まず この労働問題を考えるにあたって→
資本主義にあたって どういうふうに→
利益が生み出されていくのかということを考えていかなければなりません。
で その際に 絶対に
まず押さえておかなければいけない→
概念というのが
「資本」という概念。
一般にはですね
例えば お金だとか→
あるいは
その企業が持っているビルとか→
そういうふうなイメージを
お持ちになる方が→
多いかと思うんですけれども 実は
マルクスは 全然違うふうに考えていて→
「資本とは 価値増殖の運動である」
というふうに言ってるんですね。
運動ですか?
運動として 資本を捉えるというのがマルクスのユニークさになります。
動いてるものというイメージが
全くないですね 資本に。
何か 全然 ぴんとこないです。
運動… その動きそのものなんでしょうけど はい。
さあ どういうことなのか
「資本」について 読んでいきましょう。
一体 どういうことなのか。
マルクスは 「G-W-G′」という式で→
「資本」を表しました。
「G」は ドイツ語でお金を表す 「Geld」。
「W」は 商品を表す 「Ware」の頭文字です。
例えば パン工場の場合。
元手となるお金が 最初にあります。
そのお金で パンを製造し 売ることで→
元手よりも多いお金が手に入ります。
「G-W-G′」と繰り返すことでどんどん お金が増えてゆく。
この お金儲けの運動が
マルクスの言う 「資本」です。
一方で 資本主義以前の社会では→
商品から始まる 「W-G-W」となります。
例えば 靴職人が靴を売って
お金を稼いだとします。
そのお金で パンを買う。
パンは 食べてしまえばそこで おしまいです。
お金から始まる 「G-W-G′」のように
更に価値が増えていくことはありません。
資本主義社会は モノを使うことよりも
売ることを重視します。
人は 価値増殖し続けるという
システムの歯車になっていくのです。
資本主義の「資本」が 運動だというのは
とても意外な定義なんで→
教えて頂けますか?
2021/01/11(月) 22:25〜22:50
NHKEテレ1東京
100分de名著 マルクス“資本論”(2)「なぜ過労死はなくならないのか」[解][字]
無限に進む価値増殖の運動「資本主義」。それがやがて労働者を過労死にまで追いやってしまう仕組みを明らかにし、この暴走にブレーキをかけるためには何が必要かを考える。
詳細情報
番組内容
労働者が受け取る賃金と、それを超えて生み出される商品の価値との差額「剰余価値」。資本の価値増殖運動に巻き込まれた資本家たちは、少しでも多くの剰余価値を得るために労働者の労働時間を常に延ばしていく。労働者も自らこの論理を内面化し、価値増殖運動の歯車になってしまう。第2回は、資本主義がやがて労働者を過労死にまで追いやってしまう仕組みを明らかにし、この暴走にブレーキをかけるためには何が必要かを考える。
出演者
【講師】大阪市立大学准教授…斎藤幸平,【司会】伊集院光,安部みちこ,【朗読】岡山天音,【語り】目黒泉
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 生涯教育・資格