2021/01/16(土) 21:00〜22:00 NHKスペシャル「“感染爆発” 危機をどう乗り越えるか」[字]
男性に直接確認しました。
≫男性の答えは
望まないというものでした。
その日のうちに
家族への確認も行われました。
積極的な治療を行えば
回復の可能性があることを伝える一方で
リスクについても説明しました。
≫2人の娘は父親の意思を尊重することにしました。
≫重症の患者が急速に増え
人工呼吸器やECMOが
ひっ迫する中
自分ではなく
若い人に使ってほしいと
申し出る人も出てきています。
≫症状が急変する新型コロナ。
患者の家族も、突然命をめぐる選択に直面します。
この日、70代の患者が
搬送されてきました。
≫医師は、駆けつけた家族に
患者本人の思いを伝えました。
≫家族の希望は
できるかぎりの治療を
受けてほしいというものでした。
面会ができないため院内の専用電話で2人をつなぎ
話し合ってもらうことにしました。
≫医師たちは家族の思いも受け止めたうえで
改めて患者本人の意思を
確認しました。
≫その後、症状が改善し
一命を取り留めましたが
患者も家族も極限の状況の中で
難しい判断を迫られるのです。
病院は、患者に寄り添った医療を
この先どこまで続けられるのか
不安を募らせています。
武田≫もし、私やあなたが
あす、発症して
症状が重くなっても
すぐに入院できるとはかぎらない。
命の危険が迫っても
高度な治療を
諦めなくてはならない
可能性がある。
今は、まさにそういう状況なんです。
浅野≫本当に
ぎりぎりの状態の中で
治療を続けている
医療現場ですが
医療ひっ迫の背景に何があるのか。
気になるデータがあります。
新型コロナの患者の受け入れが
可能だとする病院は
公立病院や公的病院では
7割か8割に上っているのに対し
日本で最も多い民間病院では
およそ2割にとどまっているんです。
武田≫尾身さん、欧米ほど
感染者が爆発的に多くないのに
医療がひっ迫する。
それは、こうしたミスマッチがあるからだという指摘を
よく聞くんですけれども
尾身さんは、どう捉えていますか。
尾身≫実は、その答えは
日本の医療制度そのものに
大いに関係があると思います。
具体的にいえば3つの理由があります。
まず1つ目は
国や都道府県の影響力が
公的機関に比べて
民間の医療機関には
およびにくいということが
あります。
それから、日本では
ベッドをなるべく万床にしないと、医療経営上
成り立たないという
現状があります
それは、国際的に比較しても
人口あたりの医師の数
看護師さんの数が少ない。
また、ICUの数が少ないという
そういうことが
大いに関係していると思います。
武田≫2番目の理由の
ベッドを
満床に近い状態に
しておかなければいけない
とすると、いざ
こういう事態になったときに
なかなか柔軟に対応できないと。
尾身≫余裕がないということだと思います。
武田≫そうしますと
今の危機的な状況を
しのぐために
医療機関の問題はどうすればいいんでしょうか?
尾身≫パンデミックというのは
こういう危機は毎年
起きるわけではないですよね。
従ってそうしたことの準備として
いつも、たくさんの病床を