♪♪~
このカップ
つかむと 手のひらに吸い付くような→
気持ちのいい感触。
漆黒を背景に浮かび上がる竜。
これ 下駄なんです。
どちらも漆を使った工芸品。
静岡で
独自に発展した技法によるものです。
親から子へ 代々伝えられ→
今も 若き職人たちが技の習得に懸命です。
何年も修業を重ね
一人前の職人を目指しています。
新型コロナウイルス。
それは 職人たちの生活にも大きな影を落としました。
でも こんな時だからこそ
伝えられた技を極めたい。
そんな思いだといいます。
厳しい状況の中で 黙々と腕を磨く。
名匠を夢みて
歩み続ける職人たちの姿を追いました。
静岡市内にある工房。
代々 下駄を作ってきました。
その下駄は 漆を塗った高級品。
塗下駄と呼ばれます。
それだけではありません。
漆に あるものを貼り付けます。
卵の殻です。
その名も 卵殻貼りという技法。
卵の殻を細かく割り→
モザイクのように漆の上に貼っていきます。
佐藤仁美さん。
この世界に入って10年。
まだまだ 道は遠いといいます。
(佐藤)いろんなパーツを…
(佐藤)合いそうなパーツを探して
貼っていきます。
4年前
「イッピン」では この工房を訪れました。
(高梨)こんにちは~。
(佐野)こんにちは。
この時
卵殻貼りの技を見せてくれたのが→
佐野成三郎さん。
仁美さんのお父さんです。
すごいきれい。 触って大丈夫ですか?
(佐野)大丈夫ですよ。
すご~い!
1年ですか…。
細かく砕いた卵の殻。
その大きさは一つ一つ 微妙に異なります。
それを見極めながら漆の上に貼っていき→
さまざまな絵柄を浮かび上がらせます。
これは 想像上の動物 麒麟。
ただ 形をなぞるのではなく→
動きと迫力を出します。
でも ここに至る前に肝心なことがあるといいます。
下地作りです。
これが ちゃんと できなければ下駄として使えないのです。
(佐野)昔は もう
これば~っか毎日やってましたからね。
ここの…
漆を塗って こう 研いでくと→
下が でこぼこしていると
なかなか研げなくなってしまってね。
あれから4年。
仁美さんも腕を上げてきました。
でも 漆の下地は
いまだに難しい作業です。
漆を どこまで平らに塗れるか。
少しでも でこぼこがあると履き重ねるうちに→
表面の卵殻が
剥がれてしまうこともあるんだとか。
成三郎さんも見守ります。
使うのは ヘラ1本のみ。
仁美さんの塗った下地です。
少しムラがあるようです。
どうしたらいいのか。
ここ ついてない…。
4年前に見せてくれた成三郎さんの下地。
「ヘラの先に力を入れるな」→
という言葉どおり→
成三郎さん 力を抜いて→
スーっと塗り込んでいます。
…なんだなと思って 今 焦りました。
卵殻貼りで 存分に腕を振るうためには→
下地という基礎をしっかりと身につける必要があります。
4年前 静岡を訪ねた高梨さん。
今回は リモートインタビュー。
バーッて並んでて。 すごいな。
こんにちは~。こんにちは。
ご無沙汰してます。
こちらこそ。
お元気ですか?
おかげさまで 元気です。
お父さんから見て どうですか?
仁美さんの下地塗りの作業は。
一生懸命やろうという気持ちは
あるみたいですけど→
なかなか