♪♪~
(
サイレン)
<あの日
町は炎と煙に のみ込まれました>
このカバンなんですわ
。
(
男性) 持ち出せたのは。
<炎が迫る中
持ち出せたもの>
この遺骨と写真
。
<しかし…>
<バスの中で火事を知り何も持ち出せなかった人も>
(
サイレン)
<147の建物を焼き→
人々の人生に大きな影を落とした→
新潟…>
(サイレン)
<あれから1年
被災者は 何を感じているのか>
<私達は
アンケートを行いました>
<
「ストーブも 火が 炎が見えるのが怖いということで→
撤去となりました
」>
(
井合作蔵さん) 何かね…。
<見えて来たのは
被災者から今も消えない→
炎の記憶です>
<海と山に挟まれた糸魚川市の市街地>
<それは
一昨年12月22日のことでした>
<火元のラーメン店の店主は
鍋を火にかけたまま外出>
<40分後
店主が戻ると→
厨房は炎に包まれていました>
<通報は 午前10時28分>
<消防が到着した時には
すでに2階まで炎上>
<両隣にも
燃え広がっていました>
<出火から1時間後→
火元から120m離れた場所で→
撮影された映像があります>
(サイレン)
(
サイレン)
<燃えた木の切れ端>
<こうした火種が強風にあおられ燃え移りました>
<飛び火です>
(強風の音)
<この日の…>
<勢いを増す炎は→
次々と建物を
のみ込んで行きます>
<飛び火は
10か所で発生>
<町は
30時間 燃え続け…>
<あの日の夜→
自宅をのみ込む炎を見詰める夫婦がいました>
<年の瀬に焼け出された
山岸さん夫婦は→
親戚の家に身を寄せました>
[外:FBD48A799B4F6802745508A76590E3BC](着信音)
(
山岸さん) あっ トシユキさんだ。[外:FBD48A799B4F6802745508A76590E3BC](着信音)
もしもし
。
(
山岸さん) いや~。
<布団に入っても
一睡もできず→
食事は
喉を通りません>
<火事の2日後
初めて立ち入りが許されました>
<目の前にあったのは…>
<変わり果てた わが家>
<そこは
かつて地元では名の知れた料亭でした>
<子供達を育て上げ→
50年以上 暮らして来ました>
<その家が…>
<焼け出された人の思い>
<テレビ新潟は→
連絡が取れた85人にアンケートを行いました>
<この一年
何に悩みどう過ごして来たのか>
<
「父は未だ12月22日に居ます」>
<そう記したのは…>
<90歳の父 作蔵さんと2人で暮らしています>
<作蔵さんは
かつて紳士服店を営み→
週1回
なじみの散髪屋に通うのが楽しみでした>
<しかし
あの日 自宅は全焼>
<80年以上
暮らしたわが家を失いました>
<仮住まいでは
外出の回数が減り→
体の不調を訴えることが
多くなりました>
何かね…
。
<清美さんは
そんな父の様子をつづっています>
<
「多少のフラッシュバックは覚悟していましたが→
老齢者にとって
又→
焼失した場所から一歩も
動いた事がない身にとっては→
信じ難い事
」>
<
「目眩や幻覚があったり→
忘れっぽい症状も
強くなりました」>
<炎を見ると火事を思い出す
という作蔵さん>
<買ったばかりのストーブは
すぐに処分しました>
<親戚の家に身を寄せていた
山岸さん夫婦は→
市が手配したアパートに
移りました>
<ここには
毎日のように声を掛け合っていた→
隣近所の姿はなく→
訪ねて来る人はほとんどいません>
(
ノリさん) ここはね。
ちょっと
お茶 飲みに来ない?
(
山岸さん) さりとて…。
<アンケートからは
他にも→
心の叫びが聞こえて来ました>
<62歳 男性>
<
「被災者は 顔は笑っていても内心は不安です」>
<
「暗やみを歩いて行く感じ」>
<
「一つの不安をのり越えると→
また新たな不安が
あらわれて来る」>
<76歳
女性>
<
「掘り出したら燃え残った写真もでてきたが→
余り
みる気も起こらない>
<
「テレビでも火災のニュースがあると→
スイッチを切る
」>
<
「トラウマかもしれない」>
<糸魚川市では
火事の直後から→
保健師などが月に1度
被災者を訪問>
<体や心の変化に
耳を傾けています>
でも
110ありますね。
大丈夫ですよ
低いっていうほどではないので。
<あの日から
自宅が焼ける夢に→
もう何度も
うなされています>
<祝儀用品を扱っていた→
岡田さんの店です>
<創業から270年>
<歴史ある店は 焼け崩れました>
<さらに
掛け替えのない思い出も…>
(
岡田さん) 思い出の ホントに…。
<火事の後
赤い色を見るのが嫌になりました>
<体調を崩し
日常生活を送れなくなった人もいます>
おはようございます
市役所の保健師です。
<アパートに
仮住まいとなってから→
夫は
ベッドに横たわることが多くなり→
体重が35kgまで減りました>
環境も大きく変わりましたからね。
ショックだったんでしょうね
。
(
女性) そしたら それからね…。
(
女性) そしたら 「これ 奥さん→
介護認定
受けてもらわにゃダメだよ」って言われて。
<市が定期訪問を続ける
被災世帯のうち 3割が→
火事から1年たっても
精神的なケアや→
介護支援を必要としています>
<アパート暮らしを始めて半年がたつ 山岸さん夫婦>
<去年の夏→
瓦礫がなくなった自宅の跡を訪ねました>
(
山岸さん) お~。
(
ノリさん) そうだね。
<庭があった場所には→
ノリさんが毎年 楽しみにしていた花が→
今年も咲いていました>
(山岸さん) どうも。
(
ノリさん) ホントにね。
(
ノリさん) 出掛けてください。
(
山岸さん)はい ありがとうございます。
うん
ありがとね。(ノリさん)ありがとうございます。
<
「頑張りましょう」>
<ご近所さんの
その言葉に→
少し背中を
押された気がしました>
<糸魚川市では→
火災に強い町づくりが始まりました>
<延焼を防ぐため
道路の幅を広げ 広場を整備>
<家を再建しない人のためには→
市営住宅>
<これらは
被災者が手離した土地を→
集約して造ります>
<家をどうするのか>
<この一年
被災者は難しい判断を迫られました>
<76歳
女性>
<
「親代々の生活した土地からは→
離れられない
」>
<70歳
女性>
<
「新築した家が焼けてしまい→
建てる元気がありません
」>
<糸魚川市の調査では
被災した108世帯のうち→
半数が
「被災地内で再建」→
2割弱が
「被災地内の市営住宅に入居」→
そして
3割は→
「
別の場所で再建」と答えています>
<11月
山岸竹治さんノリさん夫婦は→
再び
自宅があった場所へ>
(
ノリさん) ここが ず~っと…。
<元の土地に→
自宅を再建することを決めたのです>
<隣近所だった人が
皆 戻るわけではありませんが→
少しでも
元の暮らしを取り戻したい>
(
山岸さん) こういうのが…。(ノリさん) 出来るんです。
(
山岸さん) 2階 ふた部屋と…。
早く行きたいな~なんてね
。
だけど
あんまり急がして…。
<92歳と86歳の再出発>
来月ぐらいには 柱が立つんじゃないかと思うんですけどね。
ハハハ…
3年ぐらいは。
<炎が怖いと
ストーブを処分した井合さん親子は→
別の道を選びました>
(井合清美さん)ね~ キレイになったね~。
<先祖代々
250年以上受け継がれて来た この地から→
離れることを決めたのです>
<その心境を 娘の清美さんは…>
<
「雪の中にうもれた瓦礫の山を見て→
そのギャップに
頭の中での整理がつかず→
どうする事が
一番良いのかの決断は→
難しいものがありました
」>
<
「『にぎわいのある町に』と言う方向に お役に立つならと→
手離す事を決断しました
」>
<手離した土地は→
町のにぎわいと 防災を目的とした広場となり→
井合さん親子は
少し離れた場所で→
新しい生活を始めます>
<この一年つらいこともありましたが→
いろいろな人に
支えられて来ました>
<
「皆様の温かい ぬくもりで→
仮住いを
乗り越えられています」>
<
「あるお店では 店頭にマフラーが飾ってあったので→
購入しようとしたら→
店のおばさんが『気持ちだけ』と言って→
お金を取らずに
渡してくれました」>
<
「とっても嬉しく→
心と首が暖かくなりました
」>
(
清美さん) 雪 降ってたけど温かい涙を流させてもらって→
大事にしようと思って
。
やっぱり
自分では買えないものなので。
多分
一生使う 大事に使います。
<雪解けとともに
再建が進む糸魚川市>
<その影で
トラウマを打ち明けられない人や→
自分の心の不調に
気付かない人もいて→
その支援が課題となっています>
<「まさか自分の家が燃えるなんて…」>
<
「もし あの火事さえなかったら…」>
<誰もが
その悔しさをのみ込んで生きています>
(
サイレン)
<全国では→
およそ14分に1回 火災が発生>
(
サイレン)
<また今日も→
炎の記憶が 生まれているのです>
(
サイレン)
<荒れる日本海で
越前がにを取る>
<30年以上
水揚げトップを誇る父親と→
その背中を追う息子の
13年の記録です>
2018/04/02(月) 01:00〜01:30
読売テレビ1
NNNドキュメント「消えないサイレン〜糸魚川大火 トラウマと再起〜」[解][字]
2016年12月に起きた新潟・糸魚川大火。テレビ新潟が行ったアンケートからは、大火が今も被災地に暗い影を落としている実態が浮かぶ。被災者を苦しめる炎の記憶とは。
詳細情報
出演者
【ナレーション】
二又一成
番組内容
『父は未だ12月22日に居ます』アンケートにそう記した66歳の女性。同居する90歳の父親は火災の後、体調を崩しがちになり、炎が怖いとペレットストーブも撤去したという。新潟・糸魚川市で2016年12月22日に起きた大規模火災は147棟を焼いた。テレビ新潟が被災者に行ったアンケートからは、炎の記憶がいまも暗い影を落としている実態が浮かびあがる。被災者の苦悩、選んだ再出発の形とは。大火のその後を追った。
監督・演出
【ディレクター】
表修平
須山司
柳井宏治郎
制作
テレビ新潟
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント