♪♪~
(桜子)達彦さんに隠すつもりは なかった。
ちゃんと話して
分かってもらおうと思った。
ちょうど1年前→
付きっきりで看病しとった達彦さんのお母さんが亡くなった。
達彦さんの事も
あの遺書が届いて→
私 一度は
もう駄目かもしれんって思った。
大好きなピアノにも
触りたくないくらい→
寂しくて きつくて 心の支えが
欲しくて たまらん時に…。
♪♪~
冬吾さんが そばにおってくれた。
♪♪~
回想 (冬吾)「私の人生はどこにある?」って→
ちゃ~んと
ここにあるんでねえか?
もし あの時 冬吾さんが
そばにおらんかったら→
私は 前を向いて
生きていけただろうか?
音楽を 続けていけただろうか?
♪♪~
生きていけなかったじゃないかと
思う。
♪♪~
冬吾さんに 私は助けられた。
♪♪~
ほいでもね私の片思いだったんだよ。
♪♪~
(笛子)片思いなんて 嘘だね。
片思いでもない。
気の迷いでもない。
もっともっと
抜き差しならんもんが→
2人の間には あったよ。
(杏子)だとしても終わった事でしょう。
ねえ お姉ちゃん。
うちらの部屋には 位牌がある。
浩樹さんの奥さんと娘さんの。→
あの人は 毎朝 必ず2人に 手を合わせるの。
あの人の心の中では
2人は 生きとるんだなって→
私は いっつも 感じとるわ。
ほいでも それで いいと思うの。
夫婦だからって→
相手の過去も 未来も全部 独り占めしようなんて→
無理な話だもん。
相手の過去も 受け入れられる。
ケンカしたり
たまに ひびが入ったりしても→
一緒におって
何度でも やり直せる。
それが
夫婦っちゅうもんじゃないの?
お姉ちゃんは→
冬吾さんの 誰にも負けえへん奥さんに なればいいんじゃない?
ねっ。
(笛子)ずるいよ。
しゃべっとるのは 桜子だけ。
あんたは何にも 言い訳せんのだもん。
何で 私と一緒になったの?
ほかにも選べたでしょうに…何で 私だったの?
私にしかない
いいとこ 言ってみんよ。
お前のいいとこが…。
うん。
おっちょこちょい。
人の話を聞かねえで すぐ怒る。
寂しがり屋の やきもちやきだな。
強情っ張りなくせに頼りねえしな。
何よ それ。
全部 悪いとこばっかしじゃん。
いいとこなんか
一つもないじゃん。
だから いいんでねえが。
♪♪~
女子はな
凸凹のある方が いいんだ。
尖ったとごや 足りねえとごの
いっぱいある方がな。
♪♪~
達彦さん ごめんね。
(達彦)ん?
ほいでも 私 やっぱり 本当の事を知っといてもらいたかった。
たとえ 達彦さんの
おらん間の事でも。
私は… 達彦さんが好き。
できれば一緒に生きていきたいと思う。
ほいでも 達彦さんが
許せんちいうなら…。
有森。
桜子って 呼んでいいか?
いいよ。
桜子。
寂しい思いさせて ごめんな。
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