2020/12/27(日) 04:30〜05:00 イッピン・選「名匠への道 未来へ 輝きはさらに深く〜熊本 肥後象嵌〜」[解][字]

♪♪~
葉を いっぱいに茂らせた樹木。
漆黒の闇を背景にして→
金と銀の葉が落ちています。
象嵌という技法で表現された世界です。
この技法 江戸時代の京都で発達し→
公家や武士裕福な商人たちを魅了しました。
更に 京都だけでなく→
各地で独自の進化を遂げていきます。
伝統に新たなセンスを加えようとする→
現代の職人たち。
しかし
新型コロナウイルスの感染拡大は→
大きな衝撃となりました。
百貨店などの即売会は軒並み中止。
ついには…。
こんな時だからこそ→
自分を見つめ 新たな一歩を踏み出したい。
未来を模索する→
若き職人たちを
追いました。
♪♪~
今日の…
手にしているのは 京象嵌のペンダント。
奥田さん こんにちは。(奥田)はい こんにちは。
お久しぶりです。
(奥田)お久しぶりです。
お元気ですか?
京象嵌の技を引き継ぐ職人です。
「お久しぶり」とは→


2年前 その工房に お邪魔していたから。
すごい世界ですよ これ。
驚いたのは その細かさ。
直径 僅か3センチの円の中に
金と銀。
それに黒を配した風景が
広がっていました。
それを可能にしたのが この作業。
鉄の板に細かく溝を刻んでいきます。
なんと 幅1ミリの間に→
10本近くも!
今度は板の向きを変え…。
さっきの溝と直角に交わる溝を刻みます。
そのあと 斜めにも。
一面 凸凹になった鉄の板。
布目といいます。
これで準備完了です。
木の幹や枝→
葉の形に切り取った 金と銀の板。
それを先ほどの鉄の板にのせ
金づちで たたきます。
ぴったり はめ込まれました。
象嵌とは「象」を「嵌る」こと。
金や銀の形を凸凹の板の上でたたくと→
しっかり食い込んで固定される→
という仕組みです。
黒は精製前の生の漆→
生漆で作り出します。
これを全面に。
金や銀の上にも塗っていきます。


じか火で あぶると…。
漆が焼けて 真っ黒になりました。
表面の漆を こすり取ると…。
黒い地に金と銀の輝きが。
最後に幹や枝 葉に陰影をつけ→
立体的にしていきます。
伝統の技法から生まれた→
モダンなペンダントです。
京都を訪れる外国人も興味津々。
でも あの新型コロナウイルスが。
今は気持ちを静めて技を磨くことだと→
自分に言い聞かせます。
京象嵌の特徴は→
その華麗さ きらびやかさ。
九州 熊本県。
熊本市を中心に→
京都とは また違った味わいを持つ象嵌が→
進化してきました。
肥後象嵌です。
江戸時代 藩の庇護のもと→
刀のつばなどに使われ 広く知られました。
いかにも武士が好みそうな渋さと重厚感。
その技を受け継ぐ現代の職人たちが大事にしているのが→
この独特の黒です。
京象嵌の黒は漆を焼いたもの。
肥後象嵌の黒は
多くが鉄をさびさせて→
生まれたものなんです。
熊本市内 金峰山という山の中腹。
あるこだわりを持ち続ける職人が

ここに。
44歳です。
その いちずな こだわりは→
おしゃれなアクセサリーにも。
カジュアルなジャケットを着ててもつけやすかったりするので→
やっぱり こう 使いやすいものとして
ピンバッジを選びました。
形に加え 注目すべきは その黒。
左の普通の製法で出した黒と比較すると→
少し赤みがかっているのが