2021/01/05(火) 08:00〜08:15 【連続テレビ小説】おちょやん(22)「女優になります」[解][字]

(黒木)いいねえ…。→
君 出てみないか?
私が これから作る活動写真にだよ。
(平田)またお待ちしてます。
時は寛永 将軍 家光の世。
お取り潰しとなった大名家の姫君が
隠れ住んで市井の人々と語らううちに→
身分や財宝よりも大切なものを見つけて
真の幸せを得るというお話だ。→
その主人公の姫君役を
是非 君にやってもらいたい。
(真理)羨ましいねえ。
私も活動 出たいがやちゃ。
ねえ 洋子さん。
(千代)何や夢みたいやなあ うちが姫君て。
夢じゃないよ。
お断りします。
うん。 …ん?
正直 よう分かれしまへん。けど お芝居は大好きだす。
女優さんに会うたこともあります。
ものすご すてきな人やった。
(黒木)
君も そうなれるかもしれないんだよ。
てんご言わんといて。
芝居のシの字も知らん ど素人やのに。
いやいや… まだ何にも知らない
君みたいな子の方がいいんだ。
千代ちゃん… 君ならできる!
君ならできる! 君ならできる!
あかん… もうあかん。


何が何やら よう分かれへん。(黒木)大丈夫?
はあ はあ…。
そやかてな うち 今日の朝まで大阪にいてましたんやで。
生まれて初めて京都来て
ここで働かしとくなはれ言うて→
これから女給として頑張ろ思た時に
「女優になれへんか」て。
うち ずっと道頓堀で見てきたさかい
分かってますねん。
そない やすやすと
女優になれるはずあれへん。
せやけど 女給かて
そない楽なもんやあれしまへんわな。
そら 女給よりは女優の方が…→
女優よりは女給の方が…。
うう~… 女給? 女優?
うう~… 女給で女優か!
ちょっ お… 落ち… 落ち着いて! ねっ。
あ~!
あっ じょじょじょじょじょ… 女給!?
女優!女優で女給の… 女優が女給!?
じょじょじょじょ… じょっ!?
女優!?女優!ゆっ!?
♪♪「オレンジのクレヨンで
描いた太陽だけじゃ」
♪♪「まだ何か足りない気がした」
♪♪「これは夢じゃない(夢みたい)」
♪♪「傷つけば痛い(嘘じゃない)」
♪♪「どんな今日も愛したいのにな」
♪♪「笑顔をあきらめたくないよ」


♪♪「転んでも ただでは起きない」
♪♪「そう 強くなれる」
♪♪「かさぶたが消えたなら」
♪♪「聞いてくれるといいな」
♪♪「泣き笑いのエピソードを」
♪♪~
結局 千代ちゃんはやるとも やれへんとも返事をできず→
明日 もういっぺん
この黒木さんと会う約束をしました。
ああ うう~… 行け。
やめられま 千代ちゃん。
女優なんかぁ やるもんじゃないちゃあ。
しょうがないね。ここは私が 代わりにしてあぎっちゃ。
何や 結局 自分がやりたいだけやんか。
ねえ 頼むちゃ 千代ちゃん。私と代わってま。
そないに女優になりたいの? 何で?
憧れやちゃ。
こんなふうに きれいになって
すてきな役者さんと結婚するがが→
私の夢ながやちゃ。
それに有名になったらあ家出した故郷の家族も→
何もかんも みんな見返せるしぃ。
家族…。
女優になってえ
堂々と胸張って会いに行くがやちゃ。
うちな 小さい頃 離れ離れになった
行方知れずの弟がいてんねん。
そうながけ。
もし うちが有名になったら→
会いに来てくれるかも分かれへん。

そうなるかもしれんちゃあ。
うち やってみるわ。
おおきに 真理ちゃん。うち やるわ!
う… うん 頑張られ。
ほな うち お風呂行ってくる。
私が 背中押してしまったわ…。
そこは 昔 千代ちゃんの家の裏にあった竹林に よく似た場所でした。
今朝早く 千代ちゃんは 汽車の中から
風にそよぐ竹林を見ました。
(汽笛)