♪♪~
<事件に巻き込まれたのは
10年前>
<後遺症で
左半身がまひしています>
<経営していた会社は廃業>
<収入は全くなくなりました>
(
男性の声) なぜ 被害者ばかりが負担を強いられて→
加害者は
知らぬ顔で通るのかなって思います。
(
鈴の音)
<当時
26歳の…>
<結婚の結納のため訪れた大阪で
事件に遭いました>
<奪われた命に対する償い>
<加害者に損害賠償を求める裁判を起こしました>
<息子の無念を晴らすために…>
<しかし 驚きの現実が待っていました>
<苦渋を強いられる
犯罪被害者達>
(
古賀さん) 泣き寝入りは絶対したくないです。
<賠償金不払いの実態を
追いました>
<10年前の事件で
重傷を負った男性>
<体に重い障がいが残りました>
<月に3~4回の通院を続けています>
(
医師)これが硬いんだ ここ痛い?
感覚が分からへん
。
(
医師)伸ばしてみようとしてみて。
あ~
あかんの… 引っ張ってみて。
あ~
はいはい…。
顔の感覚って
同じですか?左が鈍いですか?
若干…
ほとんど変わんない。
(
医師)こんな感じで色付けると…。
それは…
よく この状態で頑張ってるねと思うぐらい→
脳をやられてて…
。
<通信の設備工事のため
出張していた愛知県で→
事件に遭いました>
<従業員と翌日の朝食を買おうと→
コンビニエンスストアに
立ち寄った時のことです>
<男女4人が乗った車と→
すれ違いざまに口論となりました>
<突然
30歳代の男から顔面を激しく殴打され→
後ろに転倒します>
<後頭部を強打し→
意識不明の重体に陥りました>
<救急搬送され 20日間生死の境をさまよいました>
<急性硬膜下血腫
脳挫傷…>
<家族は医師から
最悪の事態も覚悟するようにと→
告げられていました>
<脳のダメージで記憶障がいにも苦しんでいます>
(スタッフ)
事件前の44年間のこと→
というのは
記憶は…?
ポツン
ポツンと出て来るんですけど→
消えてしまう時もあるんです
。
今
質問されても…。
答えようがない
。
答えたことが→
合ってるのかも分からないし。
すごく
あやふやな→
記憶しかないから
。
<朝から晩まで→
1日のほとんどを台所で過ごしています>
<働くことのできない体になり→
障がい者への手当てなどで切り詰めた生活をしています>
<国から支給された…>
<医療費や 家のバリアフリーへの改修費などで→
あっという間に
消えてしまいました>
<年老いた母は
施設で暮らしています>
<週に一度は
顔を見に行きます>
<事件直後の息子の姿が→
母の記憶から消えることはありません>
お仏壇に
こうして…。
助けてください
助けてください助けてください 言うて。
私の命
ぜ~んぶ あの子に換えことしてもええから→
あの子にあげてください言うて
。
よう
そない言うて拝んでましたね。
助けてください
助けてくださいって ホント…。
うん…
。
母親を送るまでは→
頑張って生きときたいなって思います。
それじゃあね
。うんうん 気をつけて帰りよ。
気をつけて帰り…
。はいはい。
<30歳代の加害者は→
懲役3年6か月の実刑判決を受け→
刑務所に入りました>
<被害者の男性は服役中の加害者に→
損害賠償を求める
民事裁判を起こします>
<裁判所は
医療費や将来の介護費など→
およそ1億6000万円の
賠償金の支払いを命じました>
<刑務所から出た加害者は
保護観察中→
国の担当者に
こう述べていました>
<
「賠償金をどのように支払うべきかについては→
被害者側の弁護士に
必ず連絡します」>
<
「賠償金は 誠意をもって支払います」と…>
<しかし
被害者側の弁護士には一切連絡がないまま→
5年が過ぎました>
(前田弁護士) 事実上ね…。
<刑事裁判の時の弁護人や→
当時 住んでいたアパートをたどりましたが→
加害者の消息は
分かりませんでした>
<事件前に働いていた
土木関係の雇用主によると…>
<…ということでした>
<加害者の親から 代わりに支払うという申し出もありません>
<賠償金の不払いだけでなく→
さらに追い打ちを掛ける現実があります>
<判決文は
10年経つと効力が消え→
ただの紙切れになるのです>
<男性は 同じような境遇の犯罪被害者と→
連絡を
取り合うようになりました>
<消滅時効の10年を前に
再提訴>
<再び裁判を起こすことで→
判決が延長されることを知ります>
<しかし
新たな印紙代や→
弁護士費用の負担が生じるため→
諦める人も少なくありません>
3200万円の判決が
出たんです。
だけど
もう時効になっちゃって。
それは納得できてないけれども…
。
まぁ
しかしないやつから取りようがない。
(
大竹さん) 10年経ってもう時効になりました。
はい
それで終わりですっていうことに対しての→
もう…
自分達でできる…。
それしか
方法がないんやね…。
せめて
再延長して→
それが
ささやかな自分の→
政府に対する
私は抗議の形やと思っとんです。
<やむにやまれず
再提訴に踏み切った遺族がいます>
<福岡県の
古賀敏明さん>
<傷害致死事件で
息子を失いました>
これはと思って…
。
(
鈴の音)
<2001年>
<結婚前の結納のため大阪を訪れていた→
長男の彰浩さん>
<繁華街で すれ違った男2人から言い掛かりをつけられ→
暴行を受けて
亡くなりました>
<正義感が強く
初月給で旅行をプレゼントしてくれた→
親思いの息子でした>
<結納金の300万円は→
逃走していた
犯人の情報提供を求める→
懸賞金に充てました>
<犯人2人は10か月後に逮捕され→
遺族は
息子の無念を晴らしたいと→
民事裁判を起こします>
<大阪地裁は加害者2人に→
およそ8900万円の損害賠償を
命じました>
<ところが→
信じられない現実に直面します>
<10年間で回収できたのは→
強制執行による わずか10万円>
みんな…
。
訴訟を起こしても
。
<古賀さんは時効が来る前に
再提訴しました>
<大阪までの新幹線代の他…>
<裁判はわずか1分で終わり>
<判決は10年間
延長されました>
<この日
自分の目でどうしても確かめたい場所がありました>
<
Facebookに載っていたネイルサロンです>
<加害者と代理人によると→
ネイルサロンは母親の店で→
本人は刑務所で
難病にかかったため→
出所後は生活保護を受給している
ということでした>
会っても分からんやろうけどね
向こうはね。
分からんと思うけどね…
。
どういう格好しとるか
見たいですね。
<再提訴から3年>
<地元 福岡県の弁護士会に向かいました>
(スタッフ)
10月に…。10月の7日に入ってるけど→
これ以降は入ってないですね
。
<判決の後
代理人同士の話し合いで→
加害者2人からは
毎月1万円が振り込まれるようになりました>
<しかし1人からは
途中で支払いがなくなったといいます>
(
弁護士) 率直なお気持ちを伺いたいんですけど→
お聞かせ願えますでしょうか?
そう思いましたよ。
(
世良弁護士) 最初から加害者は一生かかったって→
払い切れやしないんだからと
言って→
開き直ったり逃げたりすれば→
その現状を受け入れざるを得ないのは→
被害者や
その ご遺族になられると思うんですよね。
それが
ホントにいいんだろうか?っていうのは→
国や自治体に一度
ちゃんと考えてもらわないと→
いけないんじゃないかと
思うんですよね。
<犯罪被害者の支援がテーマの
1つに取り上げられました>
<2015年の調査で→
殺人など 重大犯罪について→
賠償金や示談金を
全額 受け取った人はゼロ>
<支払いが一切なかったケースも
6割に上ることが分かりました>
<日弁連では
北欧→
スウェーデンやノルウェーの
制度に注目しています>
<国が
独立した犯罪被害者支援の役所を設置>
<被害者への補償金を
国が立て替え→
加害者からの回収も行います>
<ノルウェーでは→
国の暴力犯罪補償庁が
被害者に補償し→
次に
回収庁が加害者に求償という取り立てを行います>
<一方
スウェーデンでは民事裁判の判決文が出ると→
強制執行庁に託し→
国が加害者から取り立ててくれます>
<回収が不可能な場合は→
犯罪被害者庁が被害者に補償金を立て替え→
加害者から
取り立てる仕組みです>
それによって…
。
<一方
日本では→
おととしから
法政審議会で→
民事執行法の改正についての
議論が行われています>
<賠償金不払いへの対策として→
裁判所が 加害者の銀行口座の情報を→
金融機関に回答させる制度が
検討されています>
<しかし…>
<口座に預金がなければ回収できないのは→
今と変わりがありません>
<仮にあったとしても差し押さえの手続きは→
被害者自身が行わなければ
ならないのです>
<日本では
民事裁判はあくまで当事者同士の争いだ→
…という前提があります>
<このため 賠償金の回収も→
訴えを起こした被害者本人に
委ねられているのです>
<息子を亡くして17年>
<加害者から来た謝罪の手紙は→
たった2通だけです>
<傷害事件に巻き込まれ重い後遺障がいに苦しむ男性>
<あと1年半で
民事裁判の判決が消滅時効を迎えるため→
弁護士に相談に訪れました>
時効 止めるんだったらそれこそ もう…。
(
男性) 先生に延長をお願いせんといかんし…。
訴えのやり直しというか
。
再び
訴えるっていう方法を取らないと→
時効を延長できないってことには
なりますよね。
その時に
やっぱり問題になるのが印紙代。
で
また…。
それ全部をね…
。(男性) あと 先生の費用やよね…。
まぁ
それよりもまずは印紙代ですよね。
まぁ
とりあえず…。
延長を
先生に依頼して…。
そうですね
お願いします。
(
弁護士)印紙代とか どうされるんですか?
(
男性) あの… 頑張ります。
まだ2年間あるから
ちょっとずつ先生のおっしゃったように→
ちょっとずつ…
。
切り詰めて頑張って行きます
。
延長裁判は
もう しますので。
(
弁護士) 全額ね?はい。
(
弁護士) 分かりました。
<お金を掛けて再提訴しても→
加害者から支払いがあるという保証はありません>
<新たな出費で
生活はさらに厳しくなります>
<それでも
決意したのは→
泣き寝入りだけは
したくなかったからです>
頑張らんとね
やっぱ…。
このままでは終わりたくないしね
。
<最近
盲導犬を目指す子犬を預かる→
ボランティアを始めました>
カム…。
ノー
ノー カム…。
(
男性) カム。
<今の自分を支えてくれる
唯一の存在です>
こうやってね
軽く 引っ張ってくれるから 助かるんです。
(スタッフ)
歩きやすいですか?はい。
左足が前に出るから…
。(スタッフ) なるほど…。
(
男性) このコおったらここまで出るんですよ。
<置き去りにされる
犯罪被害者>
<時間だけが過ぎて行きます>
<55年前日本海で消えた息子が→
北朝鮮で生きていた>
一度でいいから日本の土を踏ませたくて。
<数奇な運命に翻弄されて来た→
母と子の記録です>
2018/01/22(月) 00:55〜01:25
読売テレビ1
NNNドキュメント「泣き寝入り…〜犯罪被害と賠償金の行方〜」[解][字]
犯罪被害者に支払われるべき賠償金の不払いが横行している。加害者の逃げ得を見逃さないため弁護士や国も動き始めた。裁判の後に直面する被害者の泣き寝入りの実態を追う。
詳細情報
出演者
【語り】
藤田千代美
番組内容
犯人が逮捕され、裁判で判決が言い渡される。しかしその後の現実はあまり知られていない。傷害事件に巻き込まれ脳の一部を欠損するという重傷を負った関西地方の男性(55)。仕事ができない体になったため、損害賠償を求める裁判を起こした。約1億6千万円の損害賠償が認められたが、加害者からは1円も支払われていない。横行する不払いを見逃さないため弁護士や国もようやく動き始めた。果たして賠償金の行方は…。
監督・演出
堀川雅子
制作
ytv
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント