2018/04/23(月) 22:25〜23:10 プロフェッショナル 仕事の流儀▽運命の1冊、あなたのもとへ〜書店店主・岩田徹[解][字]

えられますよね、そういったあったかい地域社会になっていけばい
いなと思いますよね。
この冬も8mの雪に見舞われた北海道屈指の豪雪地。
ここに 全国から注文が殺到し
3,000人待ちという本屋がある。
だが…。
今 新たな試みで注目される…
岩田が 11年前に始めたのは…
ホームページに応募してきた客一人一人に→
一万円分の本を選ぶ。
(岩田)「あなたは素晴らしいあなた方は素晴らしい。→
過酷な灼熱の太陽の下で
すっくと天を仰ぐ→
大輪の花のように
とてもとても素晴らしい」。
客からは 感激の声が寄せられる。
廃業の危機に何度さらされても闘い続けた町の本屋。
北の大地の書店店主。
静かで熱い日々に 密着。
岩田の仕事は
もう この時間から始まっている。
それは 書店店主の最も重要な仕事
読書。
書店に並べる本を探すため
1時間以上 読む。
出版時期やジャンルに関係なく→
面白そうであればえり好みせず 幅広く読む。
岩田は こうして年間200冊→
生涯では 本と雑誌を合わせ1万冊 読み込んでいるという。
開店30分前 届いた本を店に出す。

多くの書店の場合並べている本の大部分は→
問屋が薦める新刊や
売れ筋のものだ。
ところが岩田は そうした
はやりの本は ほぼ置かない。
自らが読んで面白いもの
のみ並べる。
9時すぎ 店の営業をしつつ→
いよいよ一万円選書を始める。
一万円選書は 年に数回
ホームページで募集し→
6,000件余りの応募が集まる。
その中から抽選で月に100件ほどの選書を行う。
岩田がこの日 選書するのは
埼玉に暮らす この女性の本。
黒木さんは
2月に父親を病で亡くした。
その看病で
しばらく本から遠ざかっていた。
同じく本好きの夫と 岩田の本を
読める日を心待ちにしていた。
岩田は応募者の読書歴
現在の境遇などから→
人物像をあぶり出し
1時間ほどかけ選書していく。
一万円選書の料金は
書籍代と送料のみ。
手数料は取らない。
丸一日 選書に費やして5人が限度。
利益は1万円ほどだ。

岩田が黒木さんに選んだのは11冊。
ふだん 黒木さんが
手にしなさそうな海外作品や→
歴史小説。
そして 詩集など。
岩田が考える 町の本屋の役割。
3日後 黒木さんのもとに本が届いた。
まず 手に取ったのは詩集。
岩田はなぜ 人の心に届く一冊を選び抜く事ができるのか。
実は 岩田が「カルテ」と呼ぶ→
客に書いてもらうアンケートが大きな力を発揮している。
この人に
選書を体験してもらう事にした。
読書好きで知られ
自ら小説も書いている。
あっ ありがとうございます。
カルテには年齢や家族構成→
更に 心に残っている20冊を
書いてもらう。
だが それだけではない。
「これまでの人生でうれしかった事苦しかった事」。
…など 踏み込んだ質問もある。
高山さんはアイドルになって7年になる。
何だろう…
選書に応募してくるのは 人生に悩みを抱えている人が多い。
岩田によれば
依頼者はカルテを書く事で→
その悩みと冷静に
向き合えるようになるという。
岩田が選んだ本に込める 思い。

この日 高山さんは最後までカルテを書き切れなかった。
何だろう… ええ~…。
4日後。
高山さんは岩田のもとへ向かった。
(岩田)はい ありがとうございます。
岩田がカルテを受け取り
読み込み始めた。
そして 計13冊の本を選んだ。
中でも 高山さんに特に読んでもらいたいと薦めたのが→
この一冊。
落語をテーマにした青春小説だ。
うだつの上がらない落語家が
話す事の苦手な男女と→
落語教室を始める物語だ。
大勢の前で うまくしゃべれないという高山さん。
岩田の本は響くのか。
2週間後。
本を読み終えた高山さんを訪ねた。
岩田の本は 時に人生を変える。
2年前 一万円選書を申し込んだ…
田中さんは 幼い頃から常に本と共に歩んできた。
田中さんのカルテ。
高校時代 患った突発性難聴で→
和太鼓奏者の道を諦めた
田中さんに 岩田が送った一冊。
哲学の神髄に迫る小説
「イモータル」。
主人公の兄の遺品から見つかった
本が時空を超え→
世界を巡るという物語だ。

田中さんは この本をきっかけに再び太鼓を始めた。
更に 本屋になりたいという
新たな夢を見つけた。
田中さんが 岩田に宛てた手紙。
(笑い声)
お疲れさま 乾杯。
岩田さんは 妻と娘さん夫婦→
そして
3人の孫に囲まれて暮らす。
今 幸せをかみしめる岩田さん。
しかし 町の本屋の生き残りを懸けた闘いは→
長く険しいものだった。
岩田さんは 昭和27年北海道美唄で生まれた。
美唄炭鉱で働いていた父。
そこで得たお金を元手に→
岩田さんが6歳の時
書店を始めた。
娯楽の大きな柱だった
漫画や雑誌。
問屋から送られるものを
並べさえすれば→
飛ぶように売れた。
両親が忙しく 岩田さんはひたすら本を読んで育った。
それから17年後 23歳の時。
父が体調を崩し それまで札幌で商社マンをしていた岩田さんは→
書店に戻り 働く事になった。
店はうまくいっていた。
でも その仕事に
やりがいは あまり感じなかった。
状況が変わったのは90年代。

バブル崩壊後の不況の中売り上げが激減した。
岩田さんは蓄えを取り崩し
店舗を改装。
売り場を広げた。
営業時間を延ばしたり宅配サービスを始めたりした。
でも 利益はほとんど出ず
赤字が続いた。
町にあった本屋は
次々閉店していった。
ある日。
岩田さんは店のトイレで下血し倒れた。
すぐに緊急手術を受け
何とか一命は取り留めた。
病院のベッドで
岩田さんは考え続けていた。
「自分は何のために
本屋をやっているのか」。
答えが出ないまま店に戻った
岩田さんは→
一冊の本と出会う。
歴史書 「逝きし世の面影」。
幕末から明治の日本を訪れた
外国人たちの記録から→
当時の日本の姿を 鮮やかに
浮かび上がらせた一冊だ。
岩田さんは 問屋が送ってくる本を
そのまま並べるのをやめ→
自分が面白いと思う本を
注文する事にした。
そして 本の面白さを

もっと知ってもらえるよう→
書評を店のホームページや
地元紙に ひたすら書いた。
店は相変わらずの赤字。
それでも パスをつなぎたい本をもっと探そうと→
ますます本を読んだ。
そんな ある日。
高校時代の先輩に窮状を話した。
すると 先輩は一万円を差し出してこう言った。
岩田さんは早速 店に戻り
先輩の人となりや→
これまでの読書歴から本を選んだ。
先輩は面白い本ばかりだと絶賛し→
一万円選書を
知り合いに宣伝してくれたが→
なかなか広まらない。
格闘を始めて10年以上が過ぎ蓄えは底をつきかけていた。
でも 本屋をやめたくなかった。
岩田さんは その後も意地で一万円選書を続けた。
すると ついに地元紙や
利用した人の口コミから→
評判が高まっていった。
そして今 一万円選書は3,000人待ちとなり→
店に足を運ぶお客も増えた。
岩田が いつになく悩んでいた。
隣町の中学校から これまでにない
選書の依頼が届いていた。
生徒の利用が少ない図書室を
刷新するため→
16万2,000円分の本を

選んでほしいという。
岩田に選書を依頼したのは
全校生徒126人の奈井江中学校。
(取材者)こんにちは。
こんにちは。
2018/04/23(月) 22:25〜23:10
NHK総合1・大阪
プロフェッショナル 仕事の流儀▽運命の1冊、あなたのもとへ〜書店店主・岩田徹[解][字]

書店店主・岩田徹。全国から注文が殺到!北海道の小さな本屋。3000人待ちの「1万円選書」の舞台裏。目利きのプロが、客の人生に寄り添う「運命の1冊」を選び抜く。

詳細情報
番組内容
北海道で小さな本屋を営む岩田徹(66)。岩田が行うのは、予算1万円で客に合った本を選ぶ「1万円選書」。いま全国から注文が殺到!実に3000人待ちだ。岩田は、応募者の読書歴や境遇などから、人物像をあぶり出し、人生に寄り添う「運命の1冊」を選び抜く。バブル崩壊、出版不況…何度も廃業の危機にさらされながら闘い続けた町の本屋。ゲスト高山一実(乃木坂46)が1万円選書を体験、岩田の流儀をひもとく。
出演者
【出演】書店店主…岩田徹,高山一実,【語り】橋本さとし,貫地谷しほり


ジャンル :
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