そう呼ばれる 奇跡の清流があります。
世界遺産 熊野古道の
すぐそばを流れる銚子川です。
何が奇跡かというと…→
水の透明度 ご覧下さい。
川の源流から河口まで
どこをとっても→
これほど透明な川は
世界でも極めて まれです。
水が透き通り過ぎて ほら→
カヌーが宙に浮いているみたい。
銚子川では この透明な水のおかげで→
ほかの川では見えないものまで見ることができるんです。
川の中なのに…。
下の方に ゆらゆらともう一つ水面があるみたい。
どうしてなんでしょう。
そして 魚たちが その ゆらゆらする幻の水面に沿って泳ぐ 不思議な姿。
絶滅が心配される珍しい生き物たちも→
この川では普通に見られます。
めったに撮影できない貴重な瞬間も…。
このとおり!
なぜ透明なのか その鍵を握るのは→
地下を流れる もう一つの川。
真っ暗な地中で暮らす
謎の生き物たちを→
世界で初めて発見します。
ほら おった!
お~っ!
おったよ~!
奇跡の清流 銚子川。
見えないものが見える川へさあ ご案内しましょう。
冬の間 冷たかった銚子川の水に
ぬくもりが戻ってきました。
海にいたボラの子どもたちが
一斉に川を遡り始めます。
銚子川は 三重県南部。
源流の大台ヶ原から→
太平洋の熊野灘までを流れる→
全長17キロの小さな川です。
源流から11キロ続く 上流部。
川は岩を削りながら深い谷を流れ下ります。
中流へ来ると
田んぼや集落が出てきますが→
水は青く透明なまま。
市街地のすぐ隣を流れる 下流に来ても→
濁りのない清流が続きます。
源流から河口まで 銚子川は→
高い透明度を保ったまま
海に注いでいるんです。
でも 日本には 美しいといわれる清流が
数多くありますよね。
例えば 高知県の四万十川も
誰もが認める清流です。
しかし 河口付近は ご覧のとおり。
どうしても濁ってしまいます。
一方 銚子川は 河口付近でも→
20メートル以上先まで見渡せます。
銚子川は いわば
清流の中の清流なのです。
ここに足しげく通う
水中写真家 内山りゅうさん。
水中の生き物を撮影する内山さんは→
全国の清流を知り尽くしています。
北海道から沖縄の川まで
含めてですけども→
手当たりしだい 川には入ってますから
いろんな川 見てきてますけど…
…ってことが たくさんある。
水が あまりにも きれいで→
見えないものまで見える
という銚子川。
それが一番分かるのが
河口付近の1キロほど。
汽水域と呼ばれる
川の水と海の水がであう場所です。
普通の川なら 汚れた水が集まって
一番濁るのが汽水域。
ここでは どんな世界が見えるのか?
内山さんと一緒に潜ってみました。
やっぱり きれい。
透き通った青色の世界です。
海水が流れてくる海の方へ
向かっていくと…。
内山さんの体に
不思議なことが起こります。
ほら!
体の下半分と上半分で水が違う色。
そして 蜃気楼のように
ぼやけて見えます。
よく見ると 水中なのに
何やら もう一つ→
水面のように見えるゆらぎ。
そのもう一つの水面をかき混ぜてみると…。
ゆらゆらと
水に溶かしたガムシロップのよう。
実は ゆらゆらする下の水は
塩分を含む海水。
上は 川を流れる淡水なんです。
地元では これをゆらゆら帯と呼んでいるそうです。
海水と淡水は混じり合わず→