2018/04/30(月) 00:55〜01:25 NNNドキュメント「ゆりかごから届く声〜赤ちゃんポスト11年〜」[解][字]

♪♪~
<10歳代で妊娠してしまった
女性です>
<追い詰められた彼女は
生まれて間もない命を→
ある場所に託しました>
<それは…>

「こうのとりの ゆりかご」>
<親が育てられない子供を
匿名でも受け入れる…>
<熊本の慈恵病院が運用を始めて
去年で丸10年>
<130人の子供が
ゆりかごに託されました>
<それに対し出された報告書>
<130人中 半数近くは→
誰にも相談できずに
母親が自宅などで産み落とす→
危険な孤立出産でした>
<また 入れられた130人中26人は→
生みの親が分かりません>
<それでも病院側は揺らぎません>

蓮田理事長) やはり…。
[外:FBD48A799B4F6802745508A76590E3BC]
(着信音)
<こうした中
 病院には→
予期せぬ妊娠に悩む女性からの

電話相談も→
全国から殺到しています>
<「不倫相手の子を妊娠した」>

「万ヶ一の時は→
赤ちゃんポストに
預けてもいいか?」>
<設置から
 間もなく11年>
<ゆりかごから届く声に
耳を澄ませます>
<熊本市の中心部から
少し離れた→
閑静な住宅街にある…>
(赤ちゃんの泣き声)
<通常の産婦人科や内科もある→
ベッド数98の病院です>
<ここには
 日本でただ1つの赤ちゃんポスト→

こうのとりの ゆりかご」が設置されています>
<その
 ゆりかごへの入り口は→
正面玄関から少し離れた場所>
(吉村)ゆりかごへの通路を進むと…。
高い木
 そして反対側には生け垣があります。
<周囲から目立たないように
造られた 狭い通路の長さは→
30mほど>

<わが子を抱いてこの道を歩く母親は→
一体
 何を思うのでしょうか>
<やがて見えて来るのが
「こうのとりの ゆりかご」→
赤ちゃんポストです>
<小さな扉は二重になっています>
<親に宛てた手紙を取ると
ロックが外れ→
保温されたベッドの上に→
赤ちゃんを入れることができます>

ブザー)
<ゆりかごに
赤ちゃんが入れられると→
病院内ではブザーが鳴り→
看護師が駆け付けてモニターを確認>
<すぐに保護できる体制が
24時間 取られています>
<そんな
 ゆりかごが誕生した きっかけ>
<それは
 熊本県内で→
赤ちゃんが捨てられ
死亡した事件>
そういう記事を見た時は→
ホントにね 涙が出ましたね。
自分で
何で助けられなかったのかと。
自分はね

 ただ傍観者にすぎなかったじゃないかと。
<こうして…>
<予期せぬ妊娠に悩む女性と→
その赤ちゃんを救いたい>
<数年前 ゆりかごにわが子を託した女性に→
話を聞くことができました>
<現在20歳代の みさきさん>
<妊娠したのは
 親元を離れ→
まだ学校に通っていた
10歳代の時>
<相手の男性に妊娠を告げると→
連絡を絶たれたといいます>
<たった1人で思い悩み→
みさきさんは追い詰められて行きます>
<気付けば
 中絶ができる時期は過ぎていました>
<そして…>
<産んだのは一人暮らしの部屋のトイレ>
<へその緒は
 自分で切りました>
<生まれたのは男の子>
<みさきさんは わが子の動画を→
今も大切にしています>
<赤ちゃんには名前も付けました>
<でも
 親には言えない>
<まだ学生で
 お金もない>
<1人で育てることは

できないと思いました>
<出産して1週間後
みさきさんは熊本へ>
<テレビや新聞で
話題になっていた→
赤ちゃんポストを
思い出したのです>
<そして
 わが子を胸に抱き→
ゆりかごへ>
<去年3月までにゆりかごに入れられたのは→
130人>
<その中には障がいのある子供や→
外国人の子供もいました>
<死亡した赤ちゃんを入れ逮捕された母親もいます>
<ゆりかごに入れられた子供は→
特別養子縁組などで新たな親子関係を築いたり→
思い直した親が引き取ったりする
ケースもある一方で→
28人は→
児童養護施設などで暮らし続けています>
<熊本市が設置した
 ゆりかごの運用を検証する専門部会は→
去年9月
 報告書を提出>
<その中で
 特に問題とされた実態があります>
<それは
母親が医療的なケアも受けず→
自宅や車の中で1人で産む→

孤立出産の増加です>
<ゆりかごに入れられた
子供の数は→
当初より減っています>
<しかしその中に占める→
孤立出産の割合は→
増えていました>
<報告書は→
ゆりかごがあるから危険な孤立出産を→
増やしているのでは
ないかと→
分析しています>
<さらに 入れられた130人中→
26人は身元不明>
<報告書は匿名でも受け入れる ゆりかごが→
子供の出自を知る権利を
損なっていると指摘しました>
<この報告書を受け
慈恵病院は…>
<匿名のゆりかごは
必要だと訴える 蓮田理事長>
<その裏には
病院が直面している→
もう1つの現実がありました>
<匿名のゆりかごは赤ちゃんの命を守るために必要>
<そう主張する慈恵病院が→
最も大切にしていることがあります>
[外:FBD48A799B4F6802745508A76590E3BC]
(着信音)
<それは

 フリーダイヤルで24時間 受け付けている→
電話相談>
<ゆりかごの設置に合わせて始めた取り組みです>
そうなんですね

うん
 うん う~ん。
<昨年度
全国から寄せられた相談は→
7444件>
<予期せぬ妊娠で孤立する女性からのSOSが→
殺到しています>
<「不倫相手の子を妊娠した」>

「主人の子かレイプの子かわからず→
悩んでいる
」>

「万ヶ一の時は→
赤ちゃんポストに
預けてもいいか?」>
<こうした声に寄り添い
解決策を一緒に考えます>
<相談することで→
ゆりかごへ入れることを踏みとどまった人も多いと→
病院側は言います>
<そして この電話相談から→
命のリレーが始まることも>
(赤ちゃんの泣き声)≪あ~ ありがとうございます≫
<慈恵病院で

産声を上げた男の子>
<電話相談をして来た女性が
出産しました>
<この日のうちに→
新しい家族の元に託されました>
撮りたい!
撮りたい 撮りたい 撮りたい。

女性) 撮ってください。
<これまでに
313人の赤ちゃんが→
特別養子縁組で
新たな親子関係を築いています>
<実は
匿名の ゆりかごのそばにも→
相談を呼び掛ける看板が>
<そして 扉の横にもインターホン>
<さらに
 内扉を開けるため手に取る手紙には→
思い直した際の
連絡先などが書かれています>
<しかし
 こうしていくら相談を呼び掛けても→
匿名のゆりかごに
すがりたい親がいる>
<母子共に救う
より良い手だては→
他にないのでしょうか>
<去年12月>
<慈恵病院は

新たに動き始めました>
<ゆりかごを推進した
蓮田理事長の長男→
蓮田
 健副院長がこの日 発表したのは…>
お母さんも含めて
という意味では…。
…という思いでおります

<内密出産>
<それは 女性が相談機関には身元を明かし→
病院では本人と知られることなく
匿名で出産できる制度>
<すでに
ドイツで実施されています>
<父親が始めた
 ゆりかごの意義を認めながらも→
孤立出産や出自不明の子供を→
少しでも減らしたい>
<そんな思いで
蓮田副院長は 今年2月→
内密出産制度を視察するため→
ドイツへ向かいました>
<今年2月
 内密出産制度を視察するためドイツを訪れた…>
<まず
 向かったのは→
ドイツ北部の町
 ハンブルクです>
<そこは

 住宅街にある幼稚園>
<その外壁に
設置されていたのは…>
<…と名付けられた
ドイツの赤ちゃんポストです>
<日本と同じように
赤ちゃんの遺棄事件が→
社会問題となっていた
ドイツでは…>
<一時
 その数は100か所に上りました>
<慈恵病院のゆりかごは→
この施設をモデルにしたものです>
<しかし
 その後→
子供の親が分からないことが
問題視され→
政府の諮問機関が
ベビークラッペを廃止すべきと勧告>
<代わりに進められているのが
内密出産です>
<次に向かったのは
その内密出産制度で→
母親が実名を明かす相談機関>
<貧困やDVに苦しむ女性を支援する→
民間団体が運営しています>
<現在 ドイツには政府から認可された相談機関が→
およそ1600か所あります>
<内密出産を希望する女性は→
こうした相談機関に

実名を明かし→
医療機関では匿名で出産>
<生まれた子供は養子に出され→
16歳になると
生みの親を知る権利を持ちます>
<4年前から内密出産が始まった
ドイツでは→
これまでに
 300人以上がこの制度で出産>
<ベビークラッペに託される
赤ちゃんも 減ったといいます>
<しかし…>
<ドイツで蓮田副院長が感じたこと>
実際
 今…。
今の
 この… この時にでも→
日本のどこかで
自宅出産をしている母子が→
あるのかもしれませんので

<今後
 慈恵病院は熊本市などと協議を重ね→
内密出産制度の実現を
目指します>
<学生だった数年前
ゆりかごに わが子を託した→
あの
 みさきさんです>
<実は

 ゆりかごから立ち去ろうとした時→
偶然いた看護師に
声を掛けられました>
<そして
 みさきさんは→
涙ながらに
こう相談していたのです>
<できることなら
学校を卒業した後→
子供を育てたい>
<その言葉通り今 みさきさんは→
働きながら
わが子と一緒に暮らしています>
<でも…>
(スタッフ) じゃあ これから…。

みさきさん) そうですね。

「こうのとりの ゆりかご」が→
母親になる道を
残してくれました>
<設置から
 間もなく11年>
<託された子供
 130人>
<ゆりかごに入れられた
子供達は→
これから次々に
思春期を迎えます>
<その時

 彼らは自らの境遇を→
どう受け止めるのか>
<ゆりかごから届く声に→
耳を澄まさなくてはなりません>
これから向こうはみんな空き家です。
<たった6人の限界集落が
ついのすみか>
<消えゆく
 ふるさとをつなぎ留めようとする→
人々の姿を見つめます>
2018/04/30(月) 00:55〜01:25
読売テレビ1
NNNドキュメント「ゆりかごから届く声〜赤ちゃんポスト11年〜」[解][字]

親が育てられない子どもを匿名で受け入れる日本唯一の赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」開設からまもなく11年。託された子どもは130人。様々な課題を抱えている

詳細情報
出演者
【ナレーション】
美村里江
番組内容
親が育てられない子どもを匿名で受け入れる日本唯一の赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」開設からまもなく11年。託された子どもは130人。命を救うために設置されたが出自の分からない子どもを生みだし、母子ともに危険な孤立出産の割合が高いことがわかってきた。一方で病院には妊娠で悩む女性からのSOSが殺到。駆け込み寺のような存在に。赤ちゃんだけでなく孤立した母親を救うため病院は新制度の検討を始めた。
制作
くまもと県民テレビ


ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント