そう。これは…。
ここは 皇帝の護衛が立つ場所だったと

いわれています。
なるほど。
つまり 床のくぼみは…。長年の足の跡。
そう。 何年も何年も 護衛が
ここに立っていたということです。
昔の人々の気分を味わうには これほど
ふさわしい場所はありません。
アヤ・ソフィアは 15世紀に 教会から
イスラム教のモスクに変わりました。
およそ900年間 教会だったのが
その後 およそ500年間 モスクとなり→
この80年ほどは博物館です。
ヨーロッパとアジア 2つの大陸の間という戦略的な位置にあるため→
イスタンブールは 宗教的にも政治的にも
争いの絶えない場所でした。
イスタンブールは 常に 東洋と西洋の
地政学的な綱引きの場であり→
絶えず 選択を迫られてきました。


激動の歴史が いかに街を変えたのかを探るため→
スキャンチームは 街の中心部の
3Dモデルを作成します。
(ショー)
3次元の写真測量という方法を使います。
膨大な量の写真を撮り…→
全ての画像をコンピューターに取り込んで 処理します。
すると 精細な3Dモデルができるんです。
3Dモデルは 街がおよそ2,000年の間に→
どのように変容してきたのかを
明らかにします。
また アヤ・ソフィアが建ち続けてきた
構造上の秘密も明らかにします。
最初の3Dモデルが出来上がりました。
やあ どうぞ よろしく。こちらこそ。
楽しみにしてきました。 これですね。
ええ。 3次元の写真測量で作った3Dモデルです。
うわ~! 見事だな。
中央にあるのが アヤ・ソフィア。
あれですね。
これから 非常に興味深いものが見られますよ。
ハハハハハッ。 中に入った!
現実じゃ ありえませんね。
壁を通り抜け 飛んで 中に入るなんて…。
すごいですよね。
実際に 現場では気付かないようなことも
分かるんでしょうか?
ええ。 ドームを見てみましょう。
こうして スキャンしてみると ドームが実は 真ん丸ではないことが分かります。
凸凹しているんです。

これまでの地震の影響です。
ドームの てっぺんと底辺が
出っ張っているのが分かりますね。
実際に その場で見たときには
全く 気付きませんでした。
目で見る場合は 無意識に
修正してしまいますから。
外側から見ると 凹凸は
より明らかになります。
ほら。
今 見えているのはドームの内側の層です。
凸凹していますよね。
ええ。
スキャンによって確認できるのは
損傷だけではありません。
驚くほどの創意工夫も見られます。
アヤ・ソフィアは 何度も地震に見舞われています。
実際に ドームが崩れたこともあります。
ドームを再建するときに用いられた技術の1つが→
ろっ骨のような補強用の骨組みです。
ドームの重さを 下の梁に伝えます。
ここの三角形の構造部分も
とても重要です。
ドームは 丸い構造ですが
その下は 四角い構造をしています。
三角形の部分が それを
変化させているんです。
そして ドームの底の円形の部分に
かかった重さを→
地面まで下りている4つの柱に

伝えています。
あそこにいたときには
こんなことは考えもしませんでした。
美しい天使たちに目を奪われて…。
まるで 天使たちが 天井を支えているかのように感じました。
そうですね。
次は 外に出てみましょうか。建物の断面を見ることができます。
真ん中に 先ほどのドームが 両脇には
それぞれ 半分の大きなドームがあります。
空間を広く 大きく見せるためです。
巧みな構造ですが 長年の間に補強用の壁が いくつも造られ→
対策が施されてきました。
全体を支えるために。ええ 崩れるのを阻止しています。
礼拝の時間を告げる塔 「ミナレット」が
増築される前の姿も→
3Dモデルなら 再現することができます。
3Dスキャンは 歴史家や建築家技術者にとって 得難いツールですね。
3Dモデルは 建物の状態だけでなく
たどってきた歴史まで教えてくれる。
コンスタンティノープルは ローマ帝国皇帝