若干異なっている。
そのため ジャッキを上げると
重たい手前側に屋根が傾き→
台に重さがかかっていたのだ。
そこで大山は ジャッキを追加し→
屋根が傾いたまま もっと高く上げ→
台から浮かせようと考えた。
ジャッキアップ スタート。
台がウソのように抜けていく。
そして いよいよ トラベリングである。
巨大屋根を レールで動かす。
スタートします。
はい スタート!
史上初
巨大屋根のトラベリングが始まった。
1mずつ 合計12mの距離を
半日かけて動かしていく。
高層ビル4棟分にも匹敵する
巨大鉄骨の大移動だ。
移動開始から5時間。
大屋根が建物の本体の部分にさしかかった。
移動する屋根が→
既に出来ている建物の本体部分と→
ぶつかる危険がある。
大山が 一番気がかりだったのが屋根が最も下にへこんでいる中央部分。
作業用の手すりが
ギリギリの高さに作られている。
屋根は 数ミリ単位 数センチ単位で
ギリギリ 通過していった。
大成功だった。
この作業を あと8回繰り返し→
有明アリーナは
2019年12月 完成の予定である。
その1km先。
ネオ東京のもう一つのシンボル→
アクアティクスセンターでは→
最大の難工事にさしかかっていた。
大林組のエース 阿部長が今度挑むのは→
7,000トンの巨大屋根の定着だ。
前回のリフトアップ工事では
巨大屋根を 高さ34mまで吊り上げた。
今度は その反対。
屋根を吊り下げる リフトダウンを行い→
屋根を柱に固定させるのだ。
その際に この免震ゴムを挟み込む。
巨大地震に
びくともしない建物を目指すには→
完璧な精度が要求される。
実は この巨大屋根→
今は ワイヤーで
吊られているだけなので→
海風に吹かれ
常に 数cmの幅で揺れ続けている。
問題は 屋根が揺れたままの状態で→
柱に定着させないといけないことだった。
風に揺れ 傾いたまま屋根を下ろすと→
しっかりと定着せず免震が不十分になってしまう。
そこで 完璧な定着を行うために
新たな部品が開発された。
オスメスジョイント。
屋根と免震ゴムの接合部を→
通常とは違う 丸みを帯びたタイプを
新たに開発したのだ。
接合部が球面であるため→
屋根が少々傾いていても免震ゴムに自然と定着していくのだ。
定着作業 当日。
出だしは順調だった。
だが 最後の最後に 思わぬ事態が起きた。
問題が発生したのはオスメスジョイントのすぐ隣。
地震の揺れを抑える 免震装置だった。
この時 リフトダウンは→
オスメスジョイントが
あと50mm下がれば 完了だった。
だが 隣の免震装置を下げられる余地は
34mmしかない。
このままでは オスメスジョイントが
下がり切らず 柱に定着できない。
鉄骨は 当日の気温や風の強さによって
体積や位置が変動する。
ミリ単位のズレが成否を分ける
精緻な闘いなのだ。
(無線)今の状況だと当たります。
時間かかるよ。
これ 自然に載っかって
終わりでしょうよ。
いや それ 俺 知らねえ。
下がってるかもしんないよ。
混乱の中 接合部の所にいた職人たちが→
事態を解決するアイデアを生み出していた。
免震装置下の受け台のボルトを一旦外し→
免震装置を僅かに下げれば→
定着が完了できるという提案だった。
了解。
ボルトを外しても 後で再調整できるため
建物の構造上は問題ないと分かった。
阿部長は ゴーサインを出した。
ボルト たたくよ。
変なとこ 手 入れてんなよ!
は~い!
いいよ 抜いて。