特に力を入れているのが、レストラン。
フェリーのメニューといえば、
軽食程度のものしかないのが普通。しかし、
ここでは和洋中40種類の料理を
そろえている。
そのメニューを考えているのが、
今回の主人公、
三宅二郎53歳だ。
もともと大阪で、
肉料理を中心に出す人気店を営ん
でいた。
料理人としての腕を見込まれて、

3年前にヘッドハンティングされた。
>>アスパラを載せるときに気を
つけて。
こっちに向いたり、こう、
こうになるから。
こっちがお客さん側やから、こっ
ちに向けて。
>>三宅の生み出した料理の数々。
その中に、大人気のある看板メニ
ューが。
女性も男性も、
年齢を問わず、
多くの乗客が手に取っていく。
しかしこの料理ができるまでには、
ちょっとした苦労があった。
おれんじおおさかが就航する21
日前、
三宅は試食会を開いた。


>>おれんじおおさかの就航に向けて、
新しいメニューの提案をしたいと
思います。
>>新メニューとして考えたのは、
愛媛県の特産、
マダイを使った郷土料理。
ごはんにあぶったマダイの刺身を載せ、
甘みの効いたたれをかける。
さらに、
卵黄を合わせて食べる宇和島風鯛
めし。
三宅の自信作だ。
>>遅い時間、
お客様が乗船されたあとで、
軽く何かこう、
おなか入れていただきたいなとい
うようなことでですね。
>>試食をするのは、
愛媛の本社に勤める社員たち。
感想は思わぬものだった。
>>タイではちょっと力不足やないんかなと。
腹が減ったから食べるんじゃなく
て。
>>愛媛でタイは当たり前。
ほかに提案したタイ茶漬けも、酷評を受けた。
料理人として、
安易にタイに決めたことを厳しく指摘されたのだ。
>>お客様の顔を見て、
その方向を向いて、やっぱりこう、
ごちそうさまでした、

ありがとうございました、
おいしかったよって聞くいうのが、
コックさんとしてのこれからの考え方やし、
魂やと思うんよ。
やっぱり、
コックさんの魂が見えん。
>>料理人としての魂が見えない。
こんなことを言われたのは料理人
人生で初めて。
会社が看板メニューに力を入れる
のには、理由がある。
会社は今回、
古いフェリーを引退させて、
およそ160億円を費やして、
新たに豪華なフェリーを2隻も造った。
ねらいはメインの利用者であるト
ラックの運転手だけでなく、
旅行客の割合を増やすこと。
>>お客の大体、
収容が15%なんですね。
だけどその15%をもっと伸ばすために、
従来のフェリーではだめだと。
>>旅行客を呼び込む目玉として力を入れたのがレストラン。
そのために、会社は三宅を迎え入
れた。
看板メニューの開発がうまくいか
なければ、
三宅の存在意義が問われてしまう。
高知県の清水港。
タイ以外にいい魚はないのか、三

宅は愛媛ではなく、
高知の漁師に助けを求めた。
>>今、
新しい船の就航に向けて、
看板になるような食材を探してるんですけど。
>>これ、
どういうふうに調理するんですか?
>>皮を取って、薄造り、
それとアラは煮付ける。>>身自体煮つけにしても問題が
ないですか?

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